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4G営業許可証発行へ 変わるキャリア勢力図
2013年 12月 6日9:55 / 提供:人民網日本語版
ついに4Gの時代がやってきた。工業・情報化部(工業・情報化省)は4日、国内の電気通信キャリア3社に4Gの営業許可証を発行したことを明らかにした。これにより数カ月にわたって通信業界を混乱させてきた問題がついに片づくことになる。同部の計画によると、今回は中国移動、中国聯通、中国電信の三大キャリアが3Gの延長であるTD-LTEの許可証を取得。その次の規格であるLTE-FDDの許可証発行は、まだしばらく先のことだという。「京華時報」が伝えた。

 ▽キャリアの勢力図が書き換えられる

 通信産業ウォッチャーの項立剛さんは、4Gがもたらす影響について次のように話す。4G営業許可証の発行は電気通信キャリアの勢力図に大きく影響する。中国移動は3G時代、TD-SCDMAネットワークの成熟が不十分で、メーカーの支援も弱かったため、経営難に苦しんでいだ。だが4Gの登場で、3G時代にみられたネットワークの受け入れ能力の不足という大きな問題は解決された。たくさんのユーザーが4Gに移行し、データ業務と通話業務の質が改善されることになる。4Gは中国移動にとってまさに長い日照りの後の慈雨だ。中国聯通と中国電信にとっては、4Gは必要なものだが、3G時代の優位を失ったことが最大の問題であり、これから競争の圧力が増大するとみられる。両社は今後、4Gへの投資と建設を拡大するが、資金などの圧力を受けて、建設ペースは中国移動よりも遅くなるとみられる。中国移動を制約してきた通信規格の違いという要因が基本的に消滅し、今後の政府の管理コントロールには新しい理念と新しい方法が必要だ。

 ▽ネット利用料金が値下がり

 項さんによると、中国が4G営業許可証を発行したことは、電気通信設備メーカーにとってチャンスだといえる。特に国内の設備メーカーや携帯電話端末メーカーにとってはチャンスだ。また一般の消費者にとって、4Gは5つの大きな変化をもたらすものになる。その変化とは、▽ネットワークの速度が速くなる▽通話の質が改善する▽ネット利用料金がある程度値下がりする▽異なるネットワークで端末を利用できる可能性があり、端末購入時に通信規格を選択する必要がなくなる▽国際ローミングサービスをより便利に利用できるようになる、の5つだ。

▽兆単位の投資を牽引か

 国泰君安証券の投資顧問トップの趙歓さんによると、4G営業許可証の発行で牽引される投資の規模は兆単位に達する可能性がある。需要を効果的に牽引し、消費のグレードアップを促進するだけでなく、新たな経済成長源の誕生を促すとみられる。最も重要なことは巨大な規模の情報消費市場が出現し、設備メーカーや端末メーカーといった産業チェーンの振興・発展を促進し、関連の上場企業が長期にわたり利益を受けるとみられることだ。

 ネットワークサイトの融合網の呉純勇執行編集長は、「4G営業許可証の発行は、関連の産業チェーンに重大な影響を与えることは確実で、その推進力は三網融合(電話網、放送網、インターネット網の三つのネットワークの融合)や光ファイバーの家庭への普及といった動きにも劣らない」と話す。4G発展の初期には、設備メーカーや端末メーカーなどが最初の受益者になる。4Gネットワークの改善と成熟にともない、将来はコンテンツプロバイダーやサービスプロバイダーなどが最終的な受益者になるという。

 大手の設備メーカー、チップメーカー、測量・テスト製品メーカー、ネットワークの改良や建設を手がける企業にも一定のチャンスがもたらされる。ネットワーク建設コストは3千億元を下ることはなく、長期的な運営・メンテナンスコストは5千億元ほどと見込まれ、電気通信設備メーカーにとっては一種の強心剤になるとみられる。

 ▽2G、3G、4Gは長期間共存する

 中国では2009年に3Gの営業許可証が発行され、それから5年も経っていない。海外での例をみると、3G業務から4G業務へ移行するのには10年くらいかかるのが一般的だ。3Gから4Gへの周期が短いことについて、一部の業界関係者は3Gへの投資が十分に回収されていない情況で4Gへの投資をスタートすれば、投資の浪費という問題が発生する可能性があると懸念する。

 これについて同部関連部門の関係者は次のように話す。現在の情況を考えると、これから長期にわたり、2G、3G、4Gが共存し、ともに発展していくことが考えられる。言い換えれば、3Gネットワークが直接淘汰されることは考えにくく、相当長い期間にわたり引き続きユーザーにサービスが提供される見込みだ。またネットワーク構築の初期段階に、4Gは主にネットワーク利用が盛んな地域をカバーし、4Gネットワークがカバーしていない場所では、4Gの複数規格対応の端末(2G、3G、4Gの各規格に対応したマルチ端末)であれば自動的に2Gや3Gのネットワークに切り替えて通信を行う。これなら4Gネットワークの初期の建設規模がそれほど大きくなくてもよく、コストも合理的な範囲に収まることになる。

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