Home > ニュース > 経済IT  > 日本企業がブラジル造船大手に出資 中韓に対抗
日本企業がブラジル造船大手に出資 中韓に対抗
2013年 10月 29日9:55 / 提供:人民網日本語版

 三菱重工業、今治造船、大島造船所、名村造船所、三菱商事の日本の企業5社がこのほど、ブラジル造船大手のエコビックス?エンジェビックスと合意に達し、総額約3億500万ドルを投入してエコ社の株式の30%を取得することを明らかにした。日本の造船業の海外投資としては過去最大規模になる。人民日報が伝えた。  

 エコ社はブラジル造船業の大手企業であり、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスと密接な関係にある。このたびの日本企業との提携協力を通じて、海上での石油開発?採掘に利用する船舶と設備を建造することを主に計画している。ブラジルの石油埋蔵量の70%は深海にあり、ペトロブラスは今後5年間で船舶の輸送能力を50%以上拡大することを目指す。2011-15年の投資計画には、総投資額の31%にあたる706億ドルを投じて製錬業務と輸送業務を強化することが明記されており、このうち浮体式石油採掘船、石油貯蔵船、石油積み出し船の計8隻、および掘削船7隻の建造を含む第一期プロジェクトは総額402億ドルに上る見込みだ。  

 世界の海洋石油開発業者や関連の設備メーカーの視線の先にはブラジルがある。ブラジルの中国・アジア太平洋地域研究所のセベリノ・カブラル所長は取材に答える中で、ブラジル造船業は海上石油の開発に海外からの投資をより多く呼び込み、チャンスをつかまえて造船業の再興をはかりたい考えだ。これはまた、ブラジル政府が自国の「再工業化」を推進する上でも重要な取り組みになると述べた。  

 ブラジルは1970年代に日本に次ぐ世界2位の造船国になったが、設備の切り替えが後れたり、技術の研究開発が十分でなかったりしたため、造船業は斜陽産業になってしまった。そこで外部の力を借りて造船業の復興をはかることが切実な目標となった。ブラジル側は日本との協力を通じ、2020年をめどに国内で使用する船舶の70%以上を国産化するとの目標を達成したい考えだ。  

 日本の造船業界の今回の動きは、ブラジルと手を結ぶことにより、ライバルである中国や韓国の造船業との競争で有利な地位を占めることが狙いだ。日本の造船業は生産能力の過剰が深刻であり、国内の企業再編を加速させ、手を取り合って新興市場を開拓することがかねてより業界の共通認識になっていた。ある日本メディアの報道によると、三菱重工業を中心とした日本の造船企業は、液化天然ガス(LNG)輸送船の建造で独自の技術的優位性を備えている。日本からブラジル造船業へ出資する今回の協力計画は、エコ社に技術的支援を提供して、ブラジル造船業の競争力を高めること、特に海上で採掘?探査を行う船舶の技術水準を引き上げることが主な狙いだ。日本の造船企業はブラジルに進出することで、市場を獲得すると同時に、建造コストの引き下げやさらなる競争上の優位点の獲得が可能になる。

 世界の造船業は現在、史上最大の構造調整に直面している。英国の調査会社クラークソン?リサーチ?スタジオズが発表した最新の統計データによると、世界規模の造船企業の数は08年7月の620社から、今年6月は482社に減少し、市場の淘汰率は20%を超えた。ある海上石油?天然ガス設備メーカーの関係者によると、世界の造船産業では中国、日本、韓国の「三国鼎立」の競争局面が基本的に形成されており、中国は建造量が1位だが、今、重要なことは技術のグレードアップだ。深海の開発プロジェクト船や科学調査船などの船舶および関連装備の製造の分野でトップに立つことが必要であり、日本と韓国の造船産業はこれらの分野を主軸に据えている。  

 韓国の造船企業は深海の石油?天然ガス開発に必要なボーリング船の建造で実績があり、何年も前からブラジルへのアプローチを始めている。05年にはサムスン重工業がブラジルのアトランチコスル造船所に船舶の設計図面と経営管理技術の提供を開始し、その後、同造船所への出資も行っている。  

 ある分析によると、日本の造船産業がこのたびブラジルに進出したことは、「南半球への投資」指向の現れだ。中韓両国の企業がブラジルに頻繁に「顔を出している」のをみて、特に電子通信などのハイテク分野で大きなシェアを占めているのをみて、日本企業はブラジルと技術レベルの協力を行うと同時に、南半球でより多くのチャンスをつかみたいと考えるようになった。こうした動きを背景に、ブラジルでの競争は今後より激しさを増すことが予想される。

関連記事