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微信、表情アイコン有料化 LINE成功例を見本に
2013年 8月 27日9:32 / 提供:人民網日本語版

 「表情アイコン5セット、各セット6元(約97円)、有料」。無料メッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」が5.0版にバージョンアップされた後、新しい表情アイコンが有料化されたことで、現在中国では熱い論争が巻き起こっている。これ以前にも、騰訊のインスタントメッセンジャー「QQ」や出会い系携帯アプリ「陌陌(momo)」などいくつかの携帯SNSが専用の表情アイコンを有料化している。単なる表情アイコンだからと、記号の背景にある潜在的な経済価値を過少評価すべきではない。「人民日報」が伝えた。

 中国では、ネット上で使用されている表情アイコンの質が無料通話・無料メッセージアプリ「LINE」に劣っていると不満の声をあげる人は多い。アイコン開発者によると、「LINEのスタンプ・表情アイコンはあくまでも日本や韓国のユーザーに適している。微博(ウェイボー・ミニブログ)の表情アイコンはより動きに重点を置いたデザインがなされており、ネット流行語や話題の時事ネタを取り入れるなど、中国ネットユーザーのライフスタイルや表現方法により即している」と語る。

 ■消費習慣の違いが利益の妨げに 有料化は作者の著作権を保護する

 有料の表情アイコンで利益をあげている会社といえば、最も成功しているのは韓国NHNが出資する日本LINE株式会社による無料通話・無料メッセージアプリ「LINE(ライン)」だ。某メディアによると、LINEの四半期の売上高は5800万米ドル(約57億3968万円)で、うち30%をスタンプ・表情アイコンの収入が占めている。有料スタンプでは、有名キャラクターのスタンプ・表情アイコンを購入する人が比較的多く、スタンプ商店ではユーザーは1種類170円で可愛らしく表情豊かなスタンプをいくつも購入することができる。

 LINEは中国のSNSプラットフォームに非常に素晴らしい成功例を示したが、この成功モデルを真似するのは容易なことではない。多くの中国ユーザーは無料でサービスを受けることに慣れている。表情アイコンにお金を支払うことを受け入れるのはそう簡単ではない。

 微信5.0の表情アイコン有料化のニュースが流れると、多くのユーザーから不満の声があがった。「ニューバージョンの微信がLINEのやり方を真似ているのは明らかだ。表情アイコンはLINEに劣っているのに、さらに有料だなんてありえない」という人や、「どうせ基本の表情アイコンしか使わないから、有料だろうと関係ない」とコメントする人もいた。しかし、微信5.0が発表されると、ネット上ではただちに「微信5.0有料表情コメントのクラッキング方法」とするスレッドが立ち上がった。

 「表情アイコンの無料化は、著作権に対する意識の欠如をユーザーにもたらす。これでは健全な生態系は築けない」という見方を示す業界関係者もいる。この意見に対し、陌陌の広報担当?文亜娟氏も賛同の意見を示している。文氏は、「表情アイコンのデザインは他の芸術作品や創作物と同様に作者の心血が注がれている。中国の消費者は徐々に絵画を買うという行為を受け入れ始めているが、一方表情アイコンといったバーチャル商品の価値は認めていない。表情アイコンを購入することによって、作者の著作権を支持することができ、中国のオリジナル商品を開発するという目的を支持することにつながる」と考えている。

 ■ユーザーの消費習慣を育成する

 より多くの人に有料表情アイコンを使用させたいのなら、プロモーションにおいて多くの対策が必要となる。表情アイコンのほかに、LINEでは企業向けの有料カスタムスタンプのサービスも行っている。お金さえ払えば、自分だけのオリジナルのスタンプ?表情アイコンも作れる。このほか、LINEは非常に莫大な宣伝費をかけてテレビ局でCMを流している。LINEの多種多様なプロモーション方法と大規模な宣伝展開に比べると、中国のSNSが行っている有料表情アイコンの宣伝は随分と控え目だ。

 如何にうまく有料の表情アイコンをユーザーに広めるかについて、中国の某SNS管理人は、「最も重要なのはユーザーに商品の良さを認めさせ、より頻繁に使用させること」という見方を示し、「一つ目は表情アイコン自体の質にかかっており、二つ目はノウハウを駆使して表情コメントを使用する機会を増やし、ユーザーの表情アイコンに対する認知度を高めること」と分析する。

 有料の表情アイコンは独特のビジネスモデルで人々の注意をひきつけ、ますます多くのSNSが表情アイコンの潜在的な経済価値に注目し始めている。表情アイコンがもたらす経済の未来において、表情アイコンそのものは商業化へのトライアルでしかないが、より重要なのはユーザーの消費習慣を育成することだ。