Home > ニュース > 経済IT  > 米下院報告書「華為・中興は安全保障上の脅威」
米下院報告書「華為・中興は安全保障上の脅威」
2012年 10月 9日16:20 / 提供:人民網日本語版

 米国下院の情報特別委員会は約1年にわたる調査を経て8日に発表した報告書の中で、中国の電気通信設備メーカーである華為技術有限公司と中興通訊株式有限公司は米国の安全保障上の脅威であると非難し、両社と取引のある米国企業に「他のメーカーを選ぶことを検討する」よう呼びかけるとともに、米連邦政府に両社の米国での合併買収(M&A)活動を阻止するよう要求した。「人民日報」が伝えた。

 同報告書は、両社はいわゆる中国のサイバースパイ活動を支援している可能性があるとの見方を示す。米国政府のシステム(特に機密システム)や米国政府のプロジェクト請負業者に両社の設備や部品を除外するよう勧め、対米外国投資委員会は両社に関わりがあるすべてのM&A案件を阻止するべきであるという。また情報特別委は調査で華為が不法移民や収賄など米国の法律に違反しているとの「確かな」情報をつかんでおり、これを米国の司法部門に送るとしている。

 情報特別委のマイク・ロジャース委員長(ミシガン州選出の共和党下院議員)とダッチ・ルパスバーガー下院議員(メリーランド州選出、民主党)は同報告書の中で、取得した機密情報および非機密情報に基づけば、両社が外国政府の影響を受けていないとは信じられないため、両社は米国や米国のシステムにとって脅威であるのだと指摘した。

 この報告書に対し、華為は8日に公式サイトで声明を発表し、情報特別委が主導し、11カ月をかけて完成させたこの報告書が、明確な情報や証拠を提出して同委の懸念を実証できていないことは合理的なことであると述べた。また同報告書は伝聞が多く、その本質や目的は中国企業の米国市場への参入を阻止し、競争から阻害することであるとの見方を示した。

 中興は、同社は米国市場にとっていかなる安全保障上の脅威にもなっていないとし、米国の関連機関や関係者が今すぐやらなければならないことは、視野を広げて電気通信産業の供給チェーン全体をしっかり眺めることだと指摘した。

 同報告書の結論や非難に対し、華為米国法人のスポークスマンのプランマー氏はメディア向けの声明の中で、このような非難はまったく根拠のないものであり、危険な政治的な攪乱行為であると述べた。またこうした非難は技術やビジネスの実態を無視したものであり、米国の雇用やイノベーションにとっての脅威であり、米国の安全保障にとって何のメリットもないものであるという。

 ロジャース委員長とルパスバーガー下院議員が中心となった情報特別委は昨年11月、両社は中国の情報機関のため、重要な通信部品・システムに悪意あるハードウェアやソフトウェアを組み込んだ疑いがあるとして、両社に対する調査の発動を発表した。今年9月13日に開催されたこの問題をめぐる公聴会で、両社の代表は米議員がうち出すさまざまな根拠のない非難や疑問に一つ一つ回答し、両社の設備に安全保障上の問題があるとの疑いを否定した。華為の丁少華高級副総裁によると、華為の製品にはバックドアなどの安全保障にとって脅威になる問題は絶対に存在しないし、第三者や政府のために自社の商業的利益および整った顧客ネットワークを損なうようなことはこれまでもしていないし、これからもしない。また華為はグローバルネットワークの安全レベルを高めるため、これまで数多くの措置を取ってきたという。中興の北米・欧州事務の責任者である朱進雲高級副総裁によると、中興は国有企業ではないし、政府のコントロール下にもなく、一つの独立した、透明性の高い、グローバル化した、オープンに上場する電気通信会社であり、責任を負うのは株主に対してだけだという。

 だが業界ウォッチャーが予想するように、華為や中興がどのように説明しても、米国の議員たちは満足しない。ロジャース委員長は米CBS放送の番組の中で、「私が今日もしも米国の企業だったなら……別のサプライヤーを探すだろう。あなたがあなたの知的財産権に関心があるなら、あなたがあなたの消費者のプライバシーに関心があるなら、あなたが米国の安全保障に関心があるなら(別のサプライヤーを探すだろう)」と述べている。

 米国側の根拠のない疑いや干渉を受けて、両社の米国での業務展開はにっちもさっちもいかない状態になっている。ブルームバーグ社は、今回の報告書は両社の米国市場での業務展開にとってより大きな障害になると分析する。

 米国の世論では次のような見方が出ている。米国の一部の利益集団や政治勢力による一見立派に聞こえる非難の背後には、人に言えないような目的が隠されている。それは経済問題を政治問題化し、国の安全保障への脅威を旗印にして、中国企業が米国やグローバル市場で発展するのを阻害し、中国の勃興を押さえつけようという目的だ。CBSは、「米国経済の実力低下や中国の勃興に関心があるなら、華為のケースはまたとない格好の研究事例だ」としている。

 プランマー氏はCBSは取材に応える中で次のように述べた。華為は米国でビジネスをする多国籍企業の一つに過ぎず、シーメンスやサムスンやヒュンダイと同じような一企業だ。華為は毎年、米国のサプライヤーから60億ドルの部品を購入しており、間接的に米国人3万5千人を雇用している。華為が米国向けに売り出す最新の電気通信設備は米国の安全保障上の脅威にはならない。華為に対する多くの非難は雲をつかむようなあやふやなものだ。華為はビジネスではビジネスに徹して、世界に信頼され尊重される企業だ。世界150カ国でビジネスを展開し、昨年の営業収入は324億ドルに達し、うち70%は中国以外で得た収入だ。こうしたことから、華為の製品の安全性と完成度の高さを証明できるという。

関連記事