Home > ニュース > 経済IT  > 中国贅沢品ECサイト、急成長の後に閉鎖が相次ぐ
中国贅沢品ECサイト、急成長の後に閉鎖が相次ぐ
2012年 9月 6日9:59 / 提供:人民網日本語版

 中国国内のネット業界には、「再編のサークル」が存在している。これは新たなインターネットビジネスが誕生し、驚異的な発展を経た後、再び業界の再編が行われ、強者が残されるという過程を指す(共同購入サイト等)。今回「淘汰」の対象となったのは、贅沢品ECサイトだ。北京日報が伝えた。

 中国電子商務研究センターはこのほど、「2012年(上)中国電子商取引市場データモニタリング報告」を発表した。同報告によると、中国贅沢品電子商取引市場の規模は年々拡大されており、2012年上半期の時点での市場規模は、2009年の28億6000万元の5倍弱の135億元(約1688億円)に達した。

 市場規模が急拡大する一方で、贅沢品ECサイトに春風は訪れておらず、むしろ経営者は寒さを感じている。業界内には、ブランドライセンスがない、商品の真偽を判別しがたいといった問題が存在する。急拡大の後、走秀網、佳品網、唯品会等を含む主流の贅沢品ECサイトからは、融資獲得の失敗、資金チェーンの断裂といったマイナス情報が伝わっており、一部のサイトは人員削減により苦境を脱しようとしている。一時期、贅沢品ECサイトの「衰退期」がささやかれるようになった。

 ◆市場規模拡大も赤字計上

 贅沢品ECサイトが中国市場に登場した2009年から2年余りの間、中国の贅沢品ECサイトは雨後の筍のように増加した。垂直型B2C贅沢品サイトが相次いで誕生し、一部の大型ECサイトやポータルサイトもまた、自社サイト開設や他社サイトへの投資により、贅沢品業界に進出した。

 中国の贅沢品ネットショッピング市場規模は、短期間内に約5倍に拡大したが、奇妙なことに、市場の活況にも関わらず贅沢品ECサイトは赤字に陥っている。

 走秀網の紀文泓CEOは、「当社は300−500%の販売増加率を達成できると予想していたが、今振り返ると余りに急ぎすぎたきらいがある。贅沢品電子商取引業界は、昨年高度成長を実現した。各サイトは市場の将来性を高く見積り過ぎた結果、自サイトの需要を上回る投資を行い、大きな資金圧力が形成された」と語った。

 走秀網と比べ、その他の贅沢品ECサイトはより苦しい経営を強いられている。今年の年初より、佳品網と唯品会が大規模なリストラを実施するという情報が相次いで伝わっている。ポータルサイト・網易の開設する網易尚品、新浪の開設する新浪贅沢品、耀点100は、閉鎖を宣言した。

 ◆問題点

 中国の贅沢品ECサイトの発展当初より、偽物の販売、ブランド品取り扱い資格、アフターサービスの不足といった問題が解決されていない。

 ある業界関係者は、「中国の贅沢品販売の主な供給源は、海外での代理購入という方式だ。彼らは個人と異なり、海外のブランド代理店と取引を行っているため、規模の面で優位を占める。しかしブランドライセンスを持たず、また価格面で競争力をつけるため、海外の割引店や小売商が第1の供給源となっている。このような手段により、贅沢品が安値で購入できるようになったが、品質とアフターサービスは余り保証されていない」と分析した。

 他にもまた、一部の贅沢品ECサイトは消費者を獲得するため、利益を犠牲にしたマーケティングを展開しており、業界の発展のリスクとなっている。販売価格が仕入れ価格を下回るため、一部の販売者は偽物を混ぜることで収支バランスを整えている。これにより、中国人消費者は贅沢品ECサイトに対して、半信半疑の態度を示している。

 贅沢品業界に詳しい楊馨芳氏は、「贅沢品は中国で巨大な市場を持つが、一部のECサイトは間違った道を選択した」と語った。  

 ◆活路は独自の特長を持つこと

 統計データは爆発的な成長を示しているが、その一方でサイトの閉鎖が相次いでいる。「再編のサークル」に直面した現在、贅沢品ECサイトの活路はどこにあるのだろうか。

 対外経済貿易大学の周渚有教授は、「再編のサークルを抜け出すためには、供給源の問題を解決すると同時に、独自の特長を持たなければならない。商業的な角度から見れば、贅沢品は一部の富裕層を対象とする市場だ。しかし現在、中国のECサイトは低価格によりこれを大衆化しようとしており、品質やアフターサービスの面でさまざまな弊害が生まれている。ビジネスに対する考え方がそもそも間違っているのだ。それと同時に、海外のECサイトの利益獲得方式を単純にまねており、自サイトの特長などまったくない」と苦言を呈した。

 周教授は、「供給ルートを強化し、低価格戦略を改める他に、自らのビジネス方式を見つけ出し、自サイトの特長を形成し、リピーターを獲得するべきだ。成功している世界的な贅沢品ECサイトの企業戦略、経営方式、核心的価値等は、オリジナリティが豊かだ。贅沢品電子商取引業界において、高い付加価値を持つ商品があれば、偽物が氾濫することはない。自社の独特なオリジナリティと価値を創造するか、ライバルに包囲され締め出されるかの、いずれかだけだ」と語った。

関連記事