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海外帰国者の創業、北京・上海・広州を避ける傾向
2012年 7月 30日16:44 / 提供:人民網日本語版

 海外の華僑関連の情報サイト・僑報網はこのほど、「現実的な圧力から、北京・上海・広州を離れることは多くの若い中国人の選択肢となっているが、海外の中国人が帰国する際の現実的な選択肢ともなっている」とする内容の記事を掲載した。このような大都市特有の問題点が改善されなければ、都市の発展が制限されるだろう。人民日報海外版が伝えた。

 上述した記事の内容は下記の通り。

 中国・グローバル化研究センター、北京大学光華管理学院イノベーション創業センターはこのほど、「中国海外帰国者の創業発展報告(2012)」を発表し、「現実的な圧力から、海外の中国人は帰国の際に、北京・上海・広州ばかりを選択しなくなった。彼らの創業の場は、これらの大都市から中小都市に移り変わりつつある」と指摘した。

 各種資源と政策の優勢を一身に集めた北京・上海・広州はこれまで、創業者達にとって第一の選択肢であった。今や多くの青年がこれらの大都市を避けているが、その理由は何か。大都市が人材を拒んでいるのだろうか。実際にはそうではなく、大都市は人材招聘を強化し続けてきた。北京や上海は近年、海外の中国人にとって魅力的な政策を実施しており、時には現金により人材確保を推進してきた。例えば北京市大興区の北京経済技術開発区は、第12次五カ年計画期間(2011−2015年)、毎年1億元(約12億5000万円)を奨励金として拠出し、高級人材の同開発区での創業を促す。また大都市には多元化された文化的雰囲気、グローバル企業や業界大手の進出による規模効果がある。これは創業者にとって、理想的な環境・雰囲気であると言える。

 しかし帰国者の集団的な転向からは、大都市のこれまでの優位が失われつつあることが分かる。北京・上海・広州は人口が増加しており、都市の面積が拡大され、交通渋滞が発生し、各種コストが上昇している。一方で中小都市はさまざまな優遇政策を実施し、生活に適した環境の整備を推進している。各都市間の競争が激化し、差が縮小されており、人材が大都市に押しかけるといった現象が過去のものと化している。

 帰国者はより理性的な選択に傾いており、これまで創業環境について「ハード優先」であったのが、「ソフト・ハードの重視」に変化している。特に帰国者は中小都市で創業する際に優遇政策の適用対象となり、同時に自らの技術資源および海外とのコネを利用することができる。彼らは内陸部中小都市の経済発展の原動力、海外との提携の架け橋となる。帰国者が大都市から中小都市に移ることで、中国の人材構造が改善されるため、これを奨励・促進するべきである。

 帰国者の選択はまた、北京・上海・広州等の大都市の管理者に対して、拡大を続ける都市に対する管理の必要性を示している。帰国者のみならず、北京・上海・広州は国内の大卒者や労働者からも避けられている。不動産価格や交通を始めとし、大都市では人件費と経営コストが高騰している。これらの大都市特有の問題点が改善されなければ、高級人材はおろか、一般的な労働者さえも引き止めることができず、都市の発展を制限するだろう。

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