Home > ニュース > 経済IT  > 世界富豪の資産隠し13兆ポンド 米日GDPに相当
世界富豪の資産隠し13兆ポンド 米日GDPに相当
2012年 7月 24日13:41 / 提供:人民網日本語版

 あるメディアが22日に伝えたところによると、世界のスーパー富豪たちは各国の税制度の隙間を利用して、オフショアに総額13兆ポンド(約1580兆円)の資産を隠しているという。この数字は米国と日本の国内総生産(GDP)の合計にほぼ匹敵する。「国際金融報」が伝えた。

 米国のコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの元チーフエコノミストのジェームズ・ヘンリー氏と租税回避地(タックスヘイブン)のある専門家は、このほど新しく発表した報告書の中で、このような新しい資産隠しによる税金逃れの行為について詳細な統計分析を行っている。それによると、プライベートバンクの支援を得て、少なくとも13兆ポンド、多ければ20兆ポンド(約2430兆円)の資産が複数の国からスイスやケイマン諸島などの秘密口座に流れ込んでいるという。

 ヘンリー氏によると、富豪は税金逃れのために、プライベートバンク、法律、会計、投資の有能な人材を高い報酬で雇い入れることを厭わない。富豪はますますボーダーレス化し、垣根が低くなった世界経済の税金逃れの道を大いに利用しているという。同氏の調査によれば、世界のプライベートバンク上位10行のうち、スイスのUBS AGとクレディ・スイス、米国の投資銀行ゴールドマン・サックスが2010年に手がけた資金は4兆ポンド(約485兆円)に上り、5年前の1兆5千億ポンド(約182兆円)から大幅に増加したという。

 富豪の税金逃れは、債務危機が蔓延する現在では非常に敏感な話題になっている。ヘンリー氏の見積もりによれば、世界の人口の0.001%にあたる9万2千人が、6兆3千億ポンド(約764兆円)の資産を保有している。税金の公正に関するサイトを運営する英国のジョン・クリスチャン氏は、「こうしたデータから驚くべき誤解が明らかにされる。実際の貧富の差は公式の統計よりずっとずっと大きく、一般庶民は実際の情況がこれほど不公平だとは想像もしない」と話す。

 イギリス労働組合会議(TUC)のブレンダン・バーバー事務局長は、「世界各国は現在、赤字削減の巨大な圧力に直面しており、各国政府はこれほど多くの資産が外部に流出するのに耐えられなくなっている」と話す。ある分析によると、13兆ポンドの資産から毎年平均3%の利益が上がり、政府がこれに30%の税率で税金を課すことができれば、政府の財政収入は1210億ポンド(約14兆円)増加することになる。これは豊かな国が発展途上国への支援で拠出する年間の金額よりも多い。

 2008年に金融危機が発生して以来、銀行システムにおける秘密保持の原則が経済の混乱を激化させていると広くみなされるようになり、主要20カ国(G20)は租税回避地の閉鎖を繰り返し承諾している。だが多くの国は引き続き、徴税機関が入手したその国における個人資産の詳細を公表することを拒絶する。

 

関連記事