Home > ニュース > 経済IT  > 伊藤忠152億円出資し山東如意と資本提携
伊藤忠152億円出資し山東如意と資本提携
2011年 9月 5日17:43 / 提供:「人民網日本語版」

伊藤忠商事株式会社(本社大阪)はこのほど、中国の繊維・アパレル大手「山東如意科技集団」(本社済寧市)の株式30%を2億ドル(約152億円)で取得することを明らかにした。これを受け、同グループ傘下の上場会社山東如意の株価が同日、6.12%高と大幅な値上がりを見せた。また山東如意は経営再建中の日本のアパレル企業「株式会社レナウン」の筆頭株主であるため、同社の株価も同日、東京証券取引所で一時28.21%高と急伸。伊藤忠の株価も3.02%高となった。人民日報傘下の経済紙「国際金融報」が報じた。

伊藤忠は今後、山東如意と協力して中国でのサービス業務を拡大する方針。同社はアジア各地に工場を有しているだけでなく、すでに中国繊維大手「杉杉集団」の持ち株会社に資本参加したり、香港に現地法人プロミネントアパレル香港を設立したりするなど、中国市場開拓に向けて着実に足場を固めてきた。

一方、山東如意も2010年5月には約40億円を出資してレナウンの株式41.18%を取得し、筆頭株主となった。そのため、伊藤忠は今回の資本提携で、間接的にレナウンに約12%出資することになった。

伊藤忠と山東如意はこれまで羊毛など繊維原材料取引が中心だったが、今後は伊藤忠が持つ高級アパレルブランドの中国販売などでも協力し、共同で中国市場を開拓する方針。また両社は将来の海外戦略協業も視野に入れている。

山東如意はこれまで科学技術のイノベーションをモットーに成長を続け、2010年1月には同社が独自開発した「高効率・工程短縮」の新型組み込み式紡績技術で製造している極細ウール糸(人の毛の半分の細さ)「如意紡」が中国「国家科学技術進歩一等賞」に選ばれた。この世界一の細さを実現した繊維・羊毛紡績技術を伊藤忠側は高く評価している。山東如意の邱亜夫理事長は「科学技術イノベーションが企業の革新を促進していけるような道をこれからも探っていきたい」としている。

錦宏中国価値基金研究員の銭亜龍氏は「紡績企業の“革新”はかねてからの難題で、伊藤忠にとって、山東如意がもつ現地での原料供給能力や科学技術イノベーション能力が魅力となったのだろう。一方、山東如意からすると、自社の原料生産技術だけに頼ってブランドを構築していくには、多くの資金や人材を必要とするため、相当の時間がかかる」と今回の資本提携に至った経緯を分析。

一方、市場では、自社のブランド力が不十分というのはこれまでずっと中国の紡績企業を悩ます問題で、今回の資本提も山東如意の繊維原材料やアパレル商品のサプライヤーという立場を変えることにはならないだろうとの声も聞かれる。これに対して、山東如意の宣伝部・劉凱部長は「自主ブランド構築は避けることのできない問題で、60年、もしかするともっと長い時間かかるかもしれない。でも困難だからといって立ち止まることは許されず、前に進み続けなければならない」としている。