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温首相、人民元レートと米国債保有などを語る
2010年 3月 15日13:35 / 提供:
国内外記者からの質問に答える国務院の温家宝首相

 第11期全国人民代表大会第3回会議が14日午前に閉幕した。午前10時に、国務院の温家宝首相は人民大会堂で人民元レートと米国債保有などを国内外記者からの質問に答えた。 

 人民元レートについて、温首相は「一部の国が輸出の割合を高めることは理解できる」とした一方、「ある国が輸出を拡大するために、自国通貨の為替レートを引き下げながら、他国に圧力をかけ、為替レートの引き上げを迫る行為は理解に苦しむ。これは貿易保護主義の一つだ」との認識を示した。

 温首相は「国際金融危機の深刻化につれ、保護貿易主義が台頭してきている。各国はこれを警戒すべきだ。中国はさまざまな対応策を講じ、輸入を拡大してきた。最も深刻であった2009年、中国は購買団をアメリカとヨーロッパに派遣し、国際収支バランスの維持に努めてきた」と述べた。

 米国債保有について、温首相は、「アメリカ国債はアメリカという国の信用を担保として発行されたものだ。アメリカには、実際の行動で、国債投資家を安心させることを願う。これは投資家に利益をもたらすだけではなく、アメリカにも意義がある」と述べた。

 温首相は「中国は巨額な外貨準備を持っている。外貨準備に求めることは、まずは安全の確保、次に流動性の確保、最後に価値の維持と増加だ。中国が他の国の国債を購入するのは、多角化経営により、さきほど述べた目標を達成するためだ。世界の主要な準備通貨であるアメリカドルの不安定は、大きな懸念を招いている」と述べた。

 外資系企業について、温首相は、外資系企業が中国で経営活動を行う際、必要となる公平な環境を法律の面から整えるとともに、中国の企業と同様の内国民待遇を提供することを明らかにした。  

 温首相は「金融危機の対応として景気刺激策を実施し、競争入札を採用した。入札には、中国国内企業や台湾、香港のほか、海外の企業も参加した」と述べた上で、「より多くの外資系企業が中国に研究開発部門を設けることを期待する。これは外資使用の質と効率を高めることにつながる」との考えを示した。

 温首相は「欧米各国が中国の経済的地位を認め、ハイテク製品の中国への輸出を緩和することを希望する。中国の貿易額の6割は、外資系企業と合弁会社によるものだ。中国製品に対する輸入制限は欧米各国の企業にとってもマイナスとなる」と述べた。

 さらに、温首相は「現在、最も重要なのは、ドーハラウンド交渉を推進し、公正と公平を前提とした合理的な貿易秩序を構築することだ」との考えを示した。

 温首相は「現在、世界経済のアンバランスは、一部の主要経済体の消費と貯蓄がバランスを失ったことによるものだ。一部の金融機構が自分自身の利益だけを追い求め、過剰に拡張したことで、金融の不安定がもたらされた」と述べた上で、「最も大きな問題は発展のアンバランスである。今回の金融危機で、最大の被害者は発展途上国だ」と指摘した。  

 大陸と香港経済について、温首相は「大陸と接しているという地理的な優位性を生かして、金融、運輸、貿易の国際ハブとしての地位を引き続き維持することを、香港に期待する」と述べた。  

 温首相は「大陸部の大きな市場と急速な経済成長は、香港経済を牽引する潜在力となる。香港は珠江デルタ地域との協力をより強化しながら、比較優位を持つ産業、とりわけ、サービス業をを発展させるべきだ」と述べ上で、「『第12次5カ年計画』は経済分野における香港と大陸、とりわけ、珠江デルタ地域と密接な協力関係を構築することを考えている。その際、香港各界から広く意見を求めるつもりだ」と示した。  

 また、温首相は「香港各界の代表は、国民生活の改善と教育の発展を重視し、一致団結して香港の安定と繁栄を維持すべきだ」と呼びかけ、「香港は今後も経済面では大きな成長を遂げ、政治面では『基本法』の規定を踏まえ、民主政治を順調に発展させていくだろう」との考えを示した。

 両岸経済協力枠組協定について、温首相は「両岸経済協力枠組協定(ECFA)は総合的な、かつ台湾海峡両岸の特色を備えた協定である。この協定の調印により、海峡両岸は平等に協商し、互恵と共栄を求め、相手の関心事を相互に尊重するという三つの原則を確実に守るべきだ」と述べた。  

 温首相は、「協定調印の際に、海峡両岸の経済的規模と市場条件の差異を充分に考慮し、台湾の中小企業と多くの民衆の利益に関心を寄せ、特に台湾農民の利益を考慮すべきである。大陸側は関税の減免を通じて、台湾側に利益を譲る」と述べた。  

 温首相はまた「協定調印は複雑な過程であるが、海峡両岸は兄弟の間柄にあるので、問題は最終的には解決することができる。中華民族は、5000年の歴史と文化を持ち、さらには巨大な結集力を有し、世界をあっと言わせる能力がある。したがってこれまで50年の双方の政治上の相違よって、5000年の文化を捨てるようなことがあってはならない」と述べた。

(編集:章坤良 写真:新華社)

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