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安倍首相の中国包囲網 壁にぶつかるのはなぜ?
2014年 6月 7日10:18 / 提供:人民網日本語版

日本の安倍晋三首相は主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の開催直前、西側の主要国に集団で中国を非難するよう要請すると公言した。だが願いとは裏腹に、サミットが4日に発表した声明には、東中国海と南中国海の情勢に注目するといったことが記されるにとどまった。余計なお世話というものだが、日本に肩入れしていないことははっきりしている。外国の力を借りて自らの地位を高め、他国と連携して中国を包囲しようとする日本のたくらみはまたもや失敗したことになる。このような結末になったことは、不思議でも何でもない。(文:田文林・中国現代国際関係研究院副研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

 戦略的な位置づけと利益の相違により、西側諸国は日本が振る「指揮棒」には従わなかった。

 西側諸国は一枚岩ではなくG7内部にも実は3つの世界がある。第1の世界は、唯一の超大国である米国の世界だ。力が衰えつつあるとはいえ、米国は引き続き世界の盟主であることに意欲満々で、先日もオバマ大統領が、米国は次の100年も世界をリードしていくと発言した。そこで台頭しつつある中国に対し、米国は戦略的焦慮を多分に感じており、主に中国を牽制するために戦略の重心をアジアにシフトしようとしている。日本は第2次世界大戦の敗戦国で、西側世界では第3の世界に属する。戦後の国際秩序によって、軍事的な権利と政治的な権利が厳格に制限されてきたことから、日本は長らく「経済は大人、政治は子ども」といういびつな状態にある。そこで日本の右翼政治家は起死回生を遂げて「普通の国」になることを目指し、ひいてはアジア太平洋の秩序を再び主導しようとしている。ここからわかることは、米国と日本は終了したばかりのアジア安全保障会議で意見が一致し、相手と調子を合わせて中国を悪者扱いしたということだ。米国と日本という両極の間には、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダといった第2の世界がある。こうした国々はアジア・太平洋地域から遠く、世界の覇者になろうという野心はもたないため、中国の復興・台頭をうらやましがったり、ねたんだりするということがあまりない。注目するのは経済的チャンスであり、戦略的焦慮ひいては戦略的パニックといったことにはそれほど関心をもたない。こうした国々が中国と交流する場合は、衝突する部分より協力できる部分の方が大きい。欧州連合(EU)は現在、中国にとって1番目の貿易パートナーであり、利益があることで、こうした国々の対中政策は米日のそれより抑制的だ。利害という観点から考えると、英国、フランス、ドイツなどは日本のために立ち上がって、中国を敵に回す必要はまったくない。

 歴史的な経験と国際的な道義という点でも、日本は孤立して何もできずにいる。

現在の国際秩序の主な枠組みは、世界が反ファシズム戦争に勝利したことの成果だ。英・米・仏・露・中は反ファシズム統一戦線を結成し、数年にわたって血みどろの戦いを繰り広げた結果、人類社会を再び文明の進歩という軌道に戻すとともに、ファシストの名残を「妖魔を鎮める宝塔」である戦後国際秩序の下に押し込んだ。こうして戦後の国際秩序の維持は中国とロシアにだけ責任があるのではなく、米国や欧州などの西側諸国も含めた共同責任となった。米欧露はこのたび過去の恨みを捨て去り、ノルマンディー上陸70周年をともに祝い、目先の利益をめぐって争うことなく、歴史の教訓と国際的な道義を忘れずにいることを明らかにした。一方、安倍首相はたびたび軍国主義の亡霊を呼び戻そうとしており、徐々に日本を戦後国際秩序の転覆者にしようとしている。ここから発されるマイナスのエネルギーは中国に害を与えるだけでなく、既存の国際秩序をひっくり返し、進歩的な反ファシズムという価値観を崩壊させようとするものだ。西側諸国はこうした事情をよく理解しており、日本のために火中の栗を拾おうとはしない。

 マクロ的な視野でみると、日本の中国への対抗にはまったく未来がないといえる。

 過去数千年にわたり、中国はアジア・太平洋地域で自然に中心的国家となっていた。近代の産業革命で生じた大きな変化により、中国は一時的に出遅れ、先に産業化を果たした日本にカーブで追い抜かれた。だが現在の中国は当時のような「東アジアの病人」ではなく、「眠れる獅子」でもない。主客が入れ替わる中で、日本が取るべき賢明な戦略的位置づけは、平和を志向し、原則を着実に守ることだといえる。安倍首相が古い思考を抱えたままで、中国と対抗しようと決意を固め、「大東亜共栄圏」の夢を再現しようとするなら、日本は後戻りできなくなる。失敗し、かく乱する。また失敗し、またかく乱する。最後は完全な失敗に至るという運命に、安倍首相は最終的に直面することになるだろう。