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「中国脅威論」、安倍政権の「法理の基盤」に
2014年 5月 17日10:27 / 提供:チャイナネット

安倍晋三首相は10日間の訪欧中に中国の悪口を広め、「中国脅威論」を誇張した。特にNATO本部での演説では、中国のイメージダウンに全力を尽くした。安倍氏の再任以来の中国に関連する発言を振り返ると、常に「中国脅威論」を忘れておらず、口から離れないほどの狂気じみた程度に達していることが分かる。

その他のバージョンと比べ、安倍氏が作成した日本版「中国脅威論」はより扇動的で、欺瞞性と危険性が高い。その内容は、主に次の三つの部分によって構成されている。(1)中国の軍事費の用途が不透明。(2)中国が東中国海と南中国海で、力により一方的に現状を変えようと試みており、日本周辺の安全環境が著しく悪化している。(3)中日の開戦は避けられない。

安倍氏はあちこちで「中国脅威論」という使い古したデタラメを繰り返しているが、いずれも上述した内容が基調となっている。安倍氏は政府首脳として国際的な慣例を破り、中国を何度も名指しで批判しており、中日の対抗を喧伝している。安倍氏はなぜこれほど執着し、盛んに気炎をあげているのだろうか?

まず、安倍氏の「中国脅威論」の喧伝は、自国の軍拡の地ならしとなっている。安倍氏が2012年末に再任した後の初年度に、中国の脅威に対応することを口実とし、11年ぶりに軍事費を大幅に増加した。陸自・海自・空自の武器水準を全面的に引き上げ、米国製の最新の戦略兵器を大量調達し、「統合機動防衛力」の構想、離島奪還の目標を実現しようとしている。4大臣による国家安全保障会議を設立し、首相官邸の外交・国防政策の方針決定に対する権力を強化した。

次に、安倍氏は「中国脅威論」を喧伝することで、改憲と集団的自衛権の解禁の「口実」としている。安倍氏は再任後、「中国の脅威」を誇張し、仮想敵国を作り、積極的に挑発をし、中日関係の緊張を強めた。安倍氏は国内外で、「中国の脅威」により周辺の安全環境が日増しに悪化しており、平和憲法を改正し、集団的自衛権を解禁し、「戦後体制」から徹底的に脱却しなければ、日本は「平和」を維持することも、「正常な国」になることもできないと印象づけている。

それから、安倍氏は「中国脅威論」を、対中包囲網の構築の口実としている。安倍氏の地域外交政策の重点は「中国の脅威」への対応で、アジア諸国との協力を強化しようとしている。安倍氏は就任から1年も経たないうちに、ASEAN10カ国を歴訪した。安倍氏はさらに休むことなく、いわゆる価値観外交を提唱し、インド、ロシア、モンゴルなどの中国の隣国を訪れ、中国の周辺に包囲の壁を構築し、米国のために「中国対抗の急先鋒」の役割を演じようとしている。

「中国脅威論」は、日本に右傾化の道を狂奔させるため安倍氏が出した動員令、舗装石、宣言書であり、その政権運営の基盤となっている。安倍氏にとって、「中国脅威論」は賈宝玉の「通霊宝玉」であり、これがなければ、安倍政権の国内外の政策が「法理の基盤」を失うことになる。(筆者:呉正龍 元中国大使、中国国際問題研究基金会上席研究員)