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性差別、日本経済の足を引っ張る
2014年 4月 21日10:02 / 提供:人民網日本語版

 日本政府は4月7日、配偶者特別控除の廃止による、既婚女性の職場進出を検討した。青年参考が伝えた。

 性差別が日本経済に代価を支払わせた。安倍首相は、女性の職場進出が経済発展を促す秘密兵器であることを意識した。

 ◆日本企業の女性差別

 東京大学を卒業したばかりの川端さん(女性)は、日本の最高級人材の代表者だ。川端さんの母は米国人、父は日本人であるため、日本企業の社員に不足している英語力、グローバルな視野を持つ。彼女は求職の際に日本企業には目もくれず、国際的なコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社した。

 川端さんは英国の経済週刊誌「エコノミスト」に対して、外資系企業を選択したのは、日本企業の文化的雰囲気に合わないからだと答えた。日本企業に勤務する若者は長時間の勤務に耐えなければならず、一日の勤務を終了してからも同僚と酒を飲まなければならない。日本の多くの若者は、このような活動により上司と絆を結び、出世しようとする。日本では以前、女性が公の場で飲酒することは奨励されなかった。川端さんは、「女性社員も今は、上司に覚えてもらうため、チューハイを飲む」と語った。しかし彼女は、これを「進歩」とはとらえていない。

 米週刊誌「タイム」の記者であるハンナ氏は、日本から米国に帰国してから書いた記事の中で、「日本では、女性差別が普遍的だ。商談の時に会うのは男性で、コーヒーやお茶菓子を出してくれるのは女性だ。彼女は一流大学を卒業し、高いビジネス分析能力を持っているのだろうが」と溜息を漏らした。

 これは日本のビジネス界だけではなく、政界にも見られる現象だ。議会に占める女性議員の比率に関する調査の結果、日本は189カ国中123位だった。

 日本企業は男性・女性社員を同時に募集するが、男性は管理職候補者になり、女性は一般職員として育成される。マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィスのジョージ氏はエコノミストに対して、「外資系企業は日本企業の性差別を利用し、多くの優秀な女性を雇用している」と語った。

 川端さんもその一人だ。彼女は日本企業の女性差別から逃れたが、無視できない障害が依然として存在している。彼女は結婚により、仕事の理想から遠ざかることを懸念している。彼女は就職後に初めて彼氏の父親に会い、数年後に仕事を続けるかを再検討すると約束した。

 ◆仕事と子供、二者択一を迫られる

 川端さんの上述した約束は、日本のエコノミストを今最も悩ませている問題だ。日本政府のデータによると、既婚女性のうち仕事をしている人は63%のみで、先進国のうち最低水準となった。1人目を出産後、70%の女性は専業主婦になる。米国のこの数値は30%だ。

 日本の多くの人は軽率に辞職せず、定年退職まで一社で勤め続ける。管理職を占める女性は非常に少ない。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、日本企業の管理層のうち、女性が占める比率は2011年の時点で4.5%のみだった。女性は出産後に職場復帰しても、自らに適した仕事を見つけられない。多くの企業の中高級のポストには空きがないからだ。ジャパン・タイムズは、「職場復帰する女性の多くは、給与が少なく、福利厚生も社会保障もないアルバイトやパートを選択せざるを得ない」と伝えた。日本の2012年のアルバイター・パートタイマーのうち、77%が女性であった。

 ◆女性の職場進出、経済発展の秘密兵器に?

 労働力不足は、日本経済の発展を制限している。安倍首相は、女性の職場進出が経済発展を促す秘密兵器であることを意識した。

 女性の就職率が男性と同じ水準に達すれば、日本の労働力は800万人増加する。多くの女性が給与を手にし、内需をけん引する。

 小泉政権は2005年に、男女平等の促進という同じ主張をしていた。しかし保守的な自民党は、女性に家を守らせることは、経済にとって非常に有益であると考えていた。女性が多くの子供を産み、労働力不足を解消するというのだ。

 この推測はひとりよがりに過ぎなかった。女性の就職率は上昇せず、出生率も改善されなかった。日本の2012年の合計特殊出生率は1.41人となった。日本の労働人口は、2050年に40%減になる見通しだ。

 ヘッドハンティング会社の責任者で、女性管理者を専門的に発掘する福井氏は、「女性の雇用増が、唯一の活路と見られる」と述べた。

 米ウェスタン・ケンタッキー大学の根本久美子(音訳)教授はUSAトゥデイに対して、「安倍首相は本気ではなく、日本の世界的な評判のために発言した」と語った。

 福井氏は、「局面の打破に、まったく希望がないわけではない。2年ほど前に、当社は中小企業から女性管理者の仲介を依頼されるようになった。状況は好転しているが、非常に緩慢だ」と指摘した。

 ◆配偶者特別控除の廃止を検討

 日本政府は2014年4月7日、配偶者特別控除の廃止の検討を始めた。

 ゴールドマン・サックスのアナリストの松井氏はエコノミストに対して、「女性の雇用促進の最も簡単な方法は、税制改革だ。現行の政策によると、世帯主(一般的には男性)の配偶者の年間所得が103万円以下の場合、38万円の特別控除が認められる。妻の年間収入が130万円を下回る場合、年金を支払う必要はない」と説明した。

 三井住友アセットマネジメントのチーフアナリストの宅森昭吉氏はブルームバーグに対して、「税制の改正は有益だ。妻が家を守る家庭が減税の損失を被ることで、収入源を確保するため女性が就職するようになる」と分析した。別の専門家も、「既婚女性の職場進出で、日用品、衣料品、外食、交際などの費用が増加し、アベノミクスの良性循環を形成する」と語った。

 安倍首相は2013年9月、国連安全保障理事会で演説した際に、日本に存在する性の格差を認めた。タイム誌は、「安部首相の発言は、『女性よ、前進せよ』というシグナルを発した。女性にとって快適な業務環境を創造し、女性の雇用機会を拡大することは、もはや日本の一つの選択肢ではなく、非常に差し迫った課題となっている」と報じた。日本政府は今、ついに行動を開始した。(編集YF)