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中国と日本の経済改革がアジア経済を左右
2014年 4月 10日9:55 / 提供:新華経済

 世界銀行は7日、2014年のアジアの開発途上国の経済成長率を2013年と同水準の7.1%と予測した。総じて楽観的な見方だが、懸念もある。4月8日、第一財経日報が伝えた。

 今後のアジアや世界経済を占うにあたって、中国と日本の経済改革が鍵となるのは間違いない。HSBC中国の屈宏斌首席エコノミストは今年を中国経済の改革元年と位置付ける。政府は経済の「市場化」を進める方針を強調し、民営企業の参入障壁を下げたり増値税(付加価値税)改革を進めるなど矢継ぎ早の施策を打ち出している。これまでの高成長路線も見直し、安定成長への移行を図っている。

 世界銀行は今年の中国経済の成長率を前年より0.1ポイント低い7.6%と予測している。世界的なプライベート・エクイティ・ファンドのKKRはマクロ経済展望報告で、改革の断行が中国の経済成長を支えると期待している。

 中国の経済改革と並んでもう一つ焦点となっているのが日本の経済金融改革だ。十年以上に及ぶ停滞は簡単に脱出できるものではない。アベノミクスは弱い市場にとってカンフル剤となり、市場は短期的には回復している。経済協力開発機構(OECD)は今年の日本の経済成長率を1.5%と予測する。異次元の金融緩和や柔軟な財政出動、民間投資の刺激を柱とするアベノミクスが長期にわたる経済停滞を本当に打破できるかが、今年のアジア経済の動向に大きな影響を与えるだろう。

 インドネシアなどの東南アジアは、インフラ投資の活発化などで成長を続け、輸出も増えている。しかし、インド経済はインフレやインフラ投資不足など不安要素も多い。

 経済のグローバル化が進むにつれ、アジア経済にとって外部環境も重要な要素となっている。2013年後半から現在にかけて、米国の雇用統計は経済の力強さを示している。回復のスピードに遅れも見られるが、全体としては市場の予測に沿ったものだ。米FRBが緩和縮小を続け、経済成長の余地はまだあると見られている。

 一方、ユーロ圏経済体が危機を脱出し、回復軌道に入ったことも、アジアの輸出にとってプラス要素だ。英スタンダード・ライフ・インベストメントは報告書で「米国の貿易赤字が縮小し、中国の内需と消費は拡大している。日本の輸入も増えている」と分析した。

 全体的には楽観的な見方が強いが、リスクは絶えず存在している。米ドル高による資本流出は、インドネシアやタイ、マレーシアの財政に打撃を与えている。台湾、韓国の貿易も予想を下回り、金融緩和が続く日本でも「資本過剰」という負の影響がみられ、中国にも改革の不確実性や金融市場リスクが存在している。