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中日関係の膠着状態をどう打開するか
2014年 3月 26日15:43 / 提供:北京週報日本語版

今、釣魚島問題、歴史問題、軍事安全相互信頼など多くの問題が同時に発生し、中日関係は国交正常化以来最も厳しい局面に陥っている。今年の全国両会で、「どうやって中日関係を今の膠着状態から抜け出させるか」が盛んに議論された。

多くの問題が同時に発生

李克強中国国務院総理は3月5日、第12期全国人民代表大会(全人代)第2回会議で行った政府活動報告で、「第2次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を守りぬき、歴史の流れを逆行させることは決して許さない」と強調し、中国政府のこの問題におけるはっきりした立場と揺ぎない態度を厳然として明らかにした。

3月8日、第12期全人代第2回会議の記者会見で、「中国の外交政策と対外関係」について国内外記者の質問に答える王毅中国外交部部長。(王翔撮影)

「李克強総理の演説は中国人民の心の声を代表し、平和を守る中国の責任を体現している。我々は完全にこれを支持する」。王毅外交部部長は8日、第12期全人代第2回会議の記者会見で中日関係について日本の記者の質問に答えた際、「中日は隣国であり、本来なら仲むつまじくつきあうべきだ。現在の局面は我々が目にしたくないものであり、中日両国人民の利益にも合致していない」との考えを示した。

現在の中日関係について、全国政協委員・中国駐日本大使の程永華氏は本誌記者の取材を受けた際、「今、中日関係は1972年の国交正常化以来最も厳しく、最も困難な局面に陥っている。主な特徴は、多くの問題が同時に発生していることだ。際立っているのは、釣魚島問題、歴史問題、軍事安全相互信頼問題だ」と述べた。

程永華大使はさらに次のように語った。「2012年9月、日本政府は不法に『島を購入』し、中国の主権をゆゆしく侵犯し、両国が達した共通認識を壊し、釣魚島紛争をしかけてきた。また2013年12月26日には、A級戦犯を奉る靖国神社を日本の指導者が参拝し、もともと困難だった中日関係にさらに新たな政治的障害をもたらした。さらに、近年日本の一部右翼人物や右翼勢力が絶えずいざこざを起こし、故意に『中国脅威論』を唱え、誇張して、これを機に日本の軍事安全保障政策を変えさせようとしている。上記の問題は中国人民の感情を傷つけただけでなく、同時に中日関係の基盤をも壊した」。

程永華氏は「中日関係を発展させる上で、最も根本となるのは中日間の4つの政治文書を適切に順守することだ」と述べ、次のような考えを示した。「この4つの文書とは、1972年の『中日共同声明』、1978年の『中日平和友好条約』、1998年の『平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する中日共同宣言』、2008年の『戦略的互恵関係の包括的推進に関する中日共同声明』である。この4つの文書は、双方が歴史や釣魚島等重大問題を処理する際の原則を明確に記載し、規定している。これは、両国が一連の協議と話し合いを経て合意した重要な共通認識であり、忠実に守り徹底していかなければならない」。

3月4日、第12期全国政協第2回会議グループ討論後、『北京週報』記者の取材を受ける全国政協委員・中国駐日本大使の程永華氏。(石剛撮影)

日本は歴史を正視しなければならない

王毅部長は「歴史と領土という2つの原則的問題において、妥協の余地はない。真摯に過去を償い、言行不一致なことがないようにして初めて膠着状態を脱し、未来を切り開くことができる」と述べた。現在の中日関係が第1次世界大戦前のドイツとイギリスの関係に例えられたことについて、王毅部長は、「2014は1914ではないし、ましてや2014は1894ではない。第1次世界大戦前のドイツについて問題にするよりも、むしろ第2次世界大戦後のドイツを手本にするべきだ」と強調した。

全国政協委員・中国駐ドイツ大使の史明徳氏は、本誌記者の取材を受けた際、「歴史に対するドイツと日本の態度は明らかに異なる。ドイツは歴史を正視し、隣国の信頼を勝ち得た。日本はドイツを見習うべきだ。侵略の歴史を適切に正視し、深く反省し、真に歴史を鑑として初めて、日本がアジアの隣国と和解を実現することができる」と述べた。

2月27日、第12期全人代常務委員会第7回会議は表決の末、9月3日を中国人民抗日戦争勝利記念日とし、12月13日を南京大虐殺犠牲者国家追悼日とすることを決定した。

これについて、全国政協委員・中国外文局局長の周明偉氏は本誌記者の取材を受けた際、「中国が立法の形で抗日戦争勝利記念日と南京大虐殺犠牲者国家追悼日を制定したことは、中国人民が第2次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を守りぬく上での具体的な努力だ。中国人がこの歴史を永遠に記憶に留められるようにし、世界に向けては中国が平和的手段で目標を追求していることをアピールするものだ」と述べた。

問題の処理は単純化してはならない

昨年、中国日報社(チャイナディリー)と日本言論NPOが共同で中日両国で行った調査データによると、双方の90%以上の人が相手の国に好感を持っていなかったが、同時に70%の人が相手国との関係改善を望んでいた。

これについて周明偉氏は、「現在、中日関係の苦境の1つは両国国民間の相互信頼が失われていることだ。2国間関係に重大問題が発生すると、両国国民の感情的な反応が2国間の政策や関係に影響し、感情に支配されたり感情的な思考が理性的な思考に取って代わりやすい」と述べた。

周明偉氏は「中日関係は非常に複雑な関係だ」と述べ、「中日関係の処理においては、決して単純化したり感情的になったりしてはいけない。大括りに日本を敵とし、何かというと日本人がどうこう言い、日本製品を馬鹿にすることでは、問題を解決できない」と強調した。

周明偉氏は、「中日関係は複雑であるため、日本の一般の人々との交流においては、冷静な思考で、忍耐強く、慎重に取り組むことがより一層必要になる。道理を説いて説得し、情をもって心を動かし、感動させる努力をするべきだ」と述べ、さらに「中日関係をうまく処理するには、中日対立と衝突の中で絶えず経験を積み、両国関係が両国の大多数の人々の願いに沿って、地域の長期的安定にプラスになる方向へと発展するよう導く必要がある」とした。

民間外交で膠着状態を打開

「現在中日関係は氷河期にあるが、中日民間交流は中断するわけにはいかない。民間外交の中日関係における積極的役割を発揮するべきだ」。全国政協委員・中国人民対外友好協会会長の李小林氏は本誌記者にこう語った。

李小林氏は次のように述べた。「対外友好協会は日本の親中・中日友好派議員の訪中を招待しようとしている。日本各界はどの角度から見ても一枚岩ではなく、中日友好・親中派と反中派に分かれる。日本の民心を勝ち取り、中日友好・親中派にもっと発言してもらい、ともに第2次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を守りぬき、歴史の流れの逆行を決して許さないようにしなければならない。中日両国の民間友好団体は接触と協力を続け、双方が戦略互恵関係の正常な発展軌道に戻るようともに働きかけていくべきだ」。