Home > ニュース > 国際評論  > 9月の日本車販売回復は政策変更などが要因
9月の日本車販売回復は政策変更などが要因
2013年 10月 22日10:53 / 提供:人民網日本語版

 毎年9月と10月は中国自動車市場の伝統的な繁忙期とされ、「金九銀十」と呼ばれている。今年も金九銀十は自動車メーカーを失望させることなく、とりわけ日系車は9月に急激な回復ぶりをみせ、最近では自動車業界の話題の中心になっている。日本車メーカーの責任者の中には、回復という言葉はすでに過去のもので、日系車の売り上げは新たなスピードアップの段階に入ったとの見方を示す人もいる。それでは9月の自動車市場を活性化させたカンフル剤は、市場を楽観視する根拠になりうるものだろうか。「新京報」が伝えた。

 ▽日系6社 販売台数77%増加

 中国汽車(自動車)工業協会がこのほど発表したデータによると、2013年9月の自動車販売台数(卸売台数)は193万5800台で、前年同月比19.7%増加し、前月比17.4%増加した。1-9月の累計販売台数は前年同期比12.7%増加して、1588万3千台に達した。

 このうち日系ブランド車は大幅に回復して、最も目を引く業績を上げた。13年9月の日系乗用車の販売台数は27万8千台で、市場シェアは17.55%に達した。メーカーが発表したデータによると、トヨタ、日産、本田、マツダ、鈴木、三菱の9月の中国販売台数は前年同月より大幅に増加し、増加幅は20%から100%までさまざまだった。

 目を見張る販売データから、日系車が失地を回復し、猛烈な勢いで追撃する様子がうかがえる。ただその原因を考えると、昨年同月には政治的な混乱によって日系車の中国販売台数が「氷点下」まで冷え込んだため、今年9月のデータは比較の対象となる前年同月の数値が低かったということが挙げられる。

 ▽販売増加に対する政策の影響は明らか

 東風日産北京大エリアの関連部門責任者によると、今年9月には一昨年の通常の水準まで業績が回復した。昨年9月は特殊な月だったと考えられることから、今年の前年同月比増加率をみて市場を楽観視してはならない。東風日産の場合、エコカー補助金政策の変化を受けて、自動車購入を計画していた人々の消費力が放出されたことが、9月の販売増加をもたらした大きな原因だという。

 エコカー補助金政策は10年6月にスタートし、国の3つの部門・委員会が多くの車種を組み込んだエコカー普及リストをうち出した。当時確定された補助金支給の対象は、排気量1.6リットル以下で燃費が100キロメートルあたり6.9リットルを下回る自動車で、購入に際して1台あたり3千元の補助金が支給された。11年10月から適用された支給基準ではハードルが大幅に引き上げられ、燃費が同6.3リットル以下とされた。こうして技術的な問題によって、支給の対象はそれまでの420車種のわずか11.5%に過ぎない49車種へと激減した。

 
 今年10月までは、市場に出回る車種の25-30%が3千元の補助金支給の対象だったが、10月1日以降は新たな基準が適用されてハードルがさらに上がった。新基準では、それまで支給対象だった車種の90%が条件を満たさないとされた。

 エコノミータイプ車を購入しようとする人にとって、3千元の補助金は非常に魅力的だ。また9月に各メーカーが自動車の「三包措置」(修理、交換、返品を保証する措置)を相次いでうち出したこともあり、自動車消費が新基準の適用直前の9月に拡大したことは容易に理解できる。

 東風日産の北京三合専売店の販売責任者によると、「ティーダ」をはじめとする1.6リットルクラスのCVT無段変速システムを搭載した車種は、これまですべてエコカー補助金の対象だった。このため政策の影響が販売台数にはっきり反映された。同店では9月末までに、エコノミータイプ車の売り上げが急増したという。

 市場シェアをみるとより明らかだ。同協会が発表したデータによると、9月の乗用車市場ではドイツ車が19.3%のシェアを占め、日系車は17.55%、米国車は13%、韓国車は8.5%だった。日系車のシェアは8月に比べて目立って上昇したが、9月までの累計販売台数をみると、日系車のシェアは前年同月より2.69%減少した。

 ▽新車効果と値下げサービスの牽引ぶりに注目

 政策的要因だけではない。新車の投入ペースの加速も日系車急伸の一因だ。広州本田の北京エリアのディーラーによると、広州本田の製品で補助金の対象は「フィット」と「シティ」の2車種だけで、フィットはここ数年販売台数が落ち込み、シティは生産能力の大部分を今年になって新車の「クライダー」に譲り渡していた。そうしたわけで広州本田の販売台数の回復は政策とあまり関係がないという。

 同ディーラーによると、販売回復の主な原因は、重要な新車であるクライダーと9世代「アコード」が登場して、市場で大きな注目を集めたことにあるという。クライダーは9月に販売台数を急激に伸ばし、特に華南地方の市場で人気を集め、単一の4S店(販売、部品提供、アフターサービス、情報フィードバックを手がける総合的サービス店舗)での月間販売台数は100台を上回った。北京の売り上げはこれほどではないが、同ディーラーの店舗では毎月30台以上のペースを保ち、広州本田車の売り上げ全体の約25%を占めるという。また同ディーラーによると、9世代アコードの登場で、ディーラーは旧タイプ車の価格を引き下げて在庫整理に力を入れるようになり、このことも9月の販売台数を押し上げた要因の一つになった。北京市場ではアコードの2.4リットルクラス旧タイプ車が在庫整理のため4万元値下げして売られており、在庫はもうすぐなくなりそうだという。

 市場価格と販売台数との連動がよりはっきりうかがえるのは、広汽トヨタの「カムリ」だ。9月の販売台数は1万5千台を超え、同クラスの「ティアナ」やアコードの販売台数を約50%上回った。ティアナとアコードの販売台数は約1万台だった。カムリを同クラス車のランキング2位のドイツ系「マゴタン」と比較すると、両者の差はわずか1千台ほどで、カムリがライバルを猛烈に追い上げていることがわかる。

 総合的にみて、エコカー補助金政策の変更と自動車三包措置の実施が、このたびの消費の波を引き起こした重要な要因だ。また値下げという伝統的な手段も、9月の自動車市場および日系車の伸びの大きな原因だ。このように考えると、第4四半期の伸びに対して、メーカーは楽観的な見方をするべきではないといえる。(編集KS)