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安倍首相、現実主義外交への転向も
2013年 10月 19日9:45 / 提供:チャイナネット

日本のメディアが伝えたところによると、安倍晋三首相は17日、「内閣総理大臣」名で「真榊(まさかき)」という供物を私費で奉納し、靖国神社への参拝は見送った。外交問題が緊張していることから、参拝は「時期的にふさわしくない」と語った。15日の政策演説でも安倍首相は、憲法改正や集団的自衛権の問題には触れなかった。これは安倍首相が客観的情勢に迫られて価値観外交から現実主義外交に転向する可能性があるということだ。「環球時報」が伝えた。

安倍首相は第2次政権発足以来、価値観外交を積極的に進め、中国周辺国に足を運び、「中国脅威論」を唱え、日本の技術とインフラを売り込むとともに、「中国の対外拡張を共同で抑制」する懐柔活動を積極的に展開してきた。先の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で安倍首相は米国と一緒になってASEAN諸国の支持の下、中国に「行動準則」を受け入れさせたかったが、結果は彼の予想外で、ASEANの多数の国が中国の主張を受け入れ、日米の主張に共鳴したのはフィリピンだけだった。フィリピンの大統領も李克強総理と会談後、中国との関係改善に意欲を示し、日本は孤立状態に陥った。

自民党内で安倍首相と同じ派閥だった野沢太三元法務大臣はかつて、「安倍首相は自分の意見を固持する人ではない。状況を見て現実主義外交を取るだろう」と語った。安倍首相は今、現実外交に転向する瀬戸際にきているようだ。日本メディアの論調から、その原因として次の3つの点が挙げられる。

1)安倍首相と日本の主流は日本の力をあまりに高く見積もり、経済援助というカードで中国周辺国を抱き込み、中国に圧力をかけ、中国に譲歩を迫ることができると考えたが、各国は経済援助を歓迎しつつ、中国牽制には興味を示さなかった。しかも、中国が日本のこそこそした外交を無視し、実際には相手の出方を見て王道方式によって日本の外交空間を縮小し、日本はどうすることもできなくなった。

(2)中韓連携で日本に圧力。日韓両国の間に問題はあるが、韓国が朝鮮の脅威があるため、日米、米韓軍事同盟関係の枠組みから離脱することはないと日本は考えていたが、今では中韓両国が戦争認識の問題で「統一戦線」を構築し、日本に大きな圧力をかけている。

(3)米国は日本よりも中国を重視。6月の8時間にわたる中米首脳会談で米国の中国重視がより鮮明になった。オバマ大統領は先のAPEC首脳会議やASEAN首脳会議を欠席し、中国の指導者との衝突の可能性を回避したことで、日本の知識界は「日米安保条約」への懸念を深めた。

日本に安定した政権が出現すれば、戦略的に日本外交の可能性を考えるようになるはずだと筆者はずっと考えている。安倍政権が長期政権になる可能性は大きい。ということは戦略的に中日関係を調整するいい機会だ。彼の右派の本質を見る一方、客観的情勢によって安倍首相が現実主義への転向を余儀なくされる可能性にも注意しなければならない。(福島県立大学名誉教授 凌星光)