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困難を抱える今こそ中日韓は協力すべき
2013年 10月 16日15:47 / 提供:人民網日本語版

「強靱なアジア太平洋、世界成長のエンジン」をテーマとするAPEC首脳会議とASEAN関連首脳会議が先日インドネシアとブルネイで成功裏に開催され、東アジア、さらにはアジア太平洋地域の多国間協力モデルに再び注目が集まった。アジアを世界経済のエンジンとするなら、中国、日本、韓国を中心とする3国の経済圏はこのエンジンのコア部品の1つだ。3国は地理的に隣り合い、経済、人、文化のつながりが緊密だ。総人口は15億人を超え、GDPの合計は世界全体の20%以上を占める。アジア地域の協力における中日韓協力の役割は重要性を増している。(文:岩谷滋雄・中日韓三国協力事務局長。環球時報掲載)

 中日韓協力の制度化はスタートは遅かったが、急速に進展した。1999年に3国首脳はASEANプラス3(中日韓)首脳会議期間に初の会談を行い、2008年からはASEANプラス3の枠組み外で会議を行い、2010年には「中日韓協力ビジョン2020」も発表した。中日韓協力は今日までに首脳会議と19の閣僚級会議、100以上の具体的協力事業を含む全方位的で広範かつ多層的な立体的協力システムに発展した。

 2012年後半以降、中日間、日韓間の政治関係に困難が生じたため、3国のハイレベル協議制度は一定の影響を受け、今年の3国首脳会議はまだ開催されていない。3国協力の見通しに悲観的な人もいる。私は今年9月に第2代三国協力事務局長としてソウルに着任した。韓国メディアは「危機の時に命を受けた」と報じた。

 日本の外交官として私はかつて中国で働き、今また韓国に常駐しており、3国間の争いについて多少理解している。困難を抱える今こそ、3国は3国協力の推進に全力を尽くすべきだと私は信じている。3国協力は前途有望であるだけでなく、それ以上に3国の民衆に恩恵をもたらし、3国の共通利益であるからだ。

 まず、3国は協力強化という政治的意志を持つ。2012年に3国政府の発表した共同宣言は、戦略的観点から3国協力を見定め、把握し、相互尊重、平等及び互恵、開放及び透明を基礎に、善隣及び相互信頼、包括的協力、互恵及び相互利益、共同発展の方向へと3国関係の前進を促す必要性を指摘した。2国間関係にどのような問題が存在しようとも、協力が3国関係の主流であるべきだ。長期的に見ると、いかにして中日韓協力の「多角性」を明確に位置づけ、2国間の争いによる打撃を回避し、3国協力の安定性を強化するかが、3国の研究すべき課題だ。

 次に、3国間には堅固な利益の結びつきがある。現在中国は日韓両国にとって最大の貿易パートナーであり、日本は韓国にとって第2の貿易パートナー、韓国は日本にとって第3の貿易パートナーだ。中日韓自由貿易協定(FTA)交渉が鳴り物入りで進められている。FTAが締結されれば、北米とEUに次ぐ世界第3の経済圏が築かれ、域内の経済、貿易、投資、人的資源の高度の整理統合が実現し、3国の民衆が最大の受益者となる。

 さらに、3国協力には厚い民意の基礎がある。3国協力はすでに伝統的な政治、経済の両次元を遙かに超えている。強化され続ける社会的、文化的つながり、日増しに緊密化する人的交流が、3国協力を後押しする「第三極」のパワーとなりつつある。他国間の「外交官対外交官」式の伝統的外交と比べ、中日韓協力は明らかに市民の参画と体験が最も活発であり、3国の民衆に実益をもたらしてもいる。3国協力の潜在力と活力の源もここにある。2国間関係に対する3国の民衆の論争は、3国協力に対するものではない。例えばFTA締結、文化的相互交流、民間交流といった3国協力の新構造を形成しつつある大きな潮流は、3国の民衆にもっと認知され、同意され、もっと拍手と喝采を得てしかるべきだ。これには3国各界、特にメディアが3国協力の成果を宣伝し、評価することも必要だ。(編集NA)