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中日韓FTA:将来性は素晴らしいが多くの難題に直面
2013年 9月 11日9:16 / 提供:人民網日本語版

 

 第9回中国・北東アジア博覧会では、年末に行われる中日韓自由貿易協定(FTA)交渉の第3回会合が議論の焦点となった。各国の参加者は、最終的にFTAが締結されれば、関係国さらには地域経済の推進に重要な影響を与えるとの認識を示した。だが現在存在する問題を考えると、中日韓FTA交渉は将来性は素晴らしいものの、曲折を経ると見られる。新華網が伝えた。

 中日韓FTA交渉は2012年11月に始動。今年3月に韓国・ソウルで初会合が行われた。7月には中国・上海で第2回会合が行われ、製品貿易やサービス貿易について話し合われた。また、年末に日本で第3回会合を行うことで合意した。

 中国の高燕商務副部長(商務次官)は北東アジア協力ハイレベルフォーラムで「中日韓FTAと中韓FTAがまだ交渉段階にある以外、北東アジアには地域経済協力のキャリアーがまだない。各国は北東アジア協力フォーラムなどの場を通じて、共通認識を固め、域内各国の協力メカニズムの構築と整備を推し進め、北東アジア経済の融合と発展の実現に貢献すべきだ」と指摘した。

 日本・IBC Japanの森谷一郎会長は新華社の取材に「中日韓FTAの締結を大いに歓迎する」と表明した。森谷氏は日中ビジネスネットワークの構築に長年携わり、日中両国企業の海外投資のコンサルティングをしている。日本経団連の米倉弘昌会長も、日本が経済協力を推進する過程で、地域経済協力協定がカギになるとの認識を示した。

 「韓国経済界全体にとって、中日韓FTAの締結は非常に大きな機会となる」。韓国・glasslockの羅喜中海外事業部長は「協定のできるだけ早い締結を希望する。我社により多くの機会と利益をもたらすからだ」と述べた。

 2012年に中日韓の経済規模は世界全体の約20%に相当する14兆3000億ドルに達した。中日韓は貿易大国でもあり、昨年の輸出入総額は世界全体の35%に相当する約5兆4000億ドルに達した。だが中日韓FTA交渉は予定通り始動したものの、困難は過小評価できず、経済、社会、政治など各方面に起因する難題に直面しているとの声も上がる。

 吉林省社会科学院朝鮮・韓国研究所の張玉山所長は「経済面で各国共に懸念の重点と敏感な分野がある。例えば中国は農業や繊維業で比較優位を備えるが、従来型産業やサービス業では日韓が先発の優位を備える。3カ国は現有の溝を適切に解決し、各国の懸念する敏感産業に配慮した上で、相互開放を拡大すべきだ」と指摘した。

 韓国・慶煕大学国際大学院の金達鉉客員教授も以前「韓国は中国の農産物の競争力を非常に懸念している。韓国の農民は中韓FTAは米韓FTAよりも危険性が高いと考えている」と指摘した。

 日本・EnMan Corporationの今泉睦夫社長は「両国の民間企業家の相互信頼関係を構築すべきだ。中日の民間企業家が相互信頼を構築すれば、一時的な気分で経済貿易協力の成否が左右されるような状況は生じない」とも指摘した。(編集NA)