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日本経済、背水の一戦が開始
2013年 4月 8日9:25 / 提供:チャイナネット

日本の安倍晋三首相が打ち出した金融緩和、財政刺激、成長戦略は総称して安倍政権の「3本の矢」と言われる。黒田東彦新総裁率いる日銀は4日、新たな金融緩和措置を打ち出し、最初の矢がついに正式に放たれた。

日銀の政策改革は市場の予想を大きく上回るものだった。2%というインフレ目標達成に向け史上前例のない2年という期限を設けただけでなく、マネタリーベースを2倍、長期国債など毎月の日本国債の買い入れを2倍に拡大するほか、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の買い入れを拡大すると宣言した。

ただ、矢が風速や風向きの影響を受けるように、大胆な金融政策が成長を促すかも総合的に数々の方面の影響に配慮する必要がある。第一に、大幅な金融緩和は国内の経済運営コストを引き上げる。持続的な円安によって国内の原料やエネルギー価格が上昇する。価格上昇が早過ぎ、上昇し過ぎれば、日本企業の競争力が落ち、企業が海外移転して産業の空洞化が加速し、反対に輸出や成長に影響する恐れがある。

第二に、日銀のやり方は国際政策協調コストを拡大する。日銀はこのところ政治家に指図されている嫌いがあり、すでに国際社会は強過ぎる「安倍カラー」に日銀の独立性を疑っている。日本は他国と慎重に協議し、主要経済国が日銀への基本的信頼を失い、競争的な通貨切り下げや世界貿易戦争に発展するのを防ぐ必要がある。

第三に、金融緩和は政府と日銀を新たな難局に陥れる可能性がある。日本の公的債務は先進国の中で最も多い国内総生産(GDP)の230%に相当する。国債買入計画は債務の規模を拡大する。もともと余裕のある日本の国内貯蓄は近年の高齢化などで急速に縮小、これまでのように巨額の財政赤字を支えられなくなっており、債務のリスクがどんどん累積している。

このほかに注目しなければならない点として、流動性の大幅な増加は資産の価格を引き上げるが、全体的な物価水準も上昇する点がある。インフレ予想が上がれば、政府に金利調整の圧力がかかり、金利が上昇すれば政府は重い利息支払いの圧力を背負うことになる。債務は雪だるま式に増え、日本はギリシャのように苦しい債務再編を始めるか、日銀が紙幣印刷・国債買い入れを続け巨額債務のバブルを膨らませるかの難題に直面する。いずれにせよ、日本経済は大きな代償を支払うことになる。

過去の経験をみると、政府と金融市場が中央銀行に対する過剰な依存を断つのは難しい。中央銀行が政治家の著しい影響を受けている状況にあると特にそうだ。そうなると、中央銀行のどんな撤退にも多大なコストを伴う。

多くの変数に直面しているものの、現在の状況を見ると、安倍首相と日銀はやはり険しい旅を始める決意をしたようだ。当面のカギは日銀が新たな政策を表明した後、安倍首相が第2、第3の矢を放ち、財政的手段によって短期的な成長を保てるかということだ。それには大きな構造改革で長期的な生命力を活性化し、財政収入と税収で債務堆積のスピードに勝ち、経済改革全体の論理の鎖に大きな食い違いがないようにする必要がある。さもなければ戦略的配置、市場心理、日本経済自体が急直下する危険がある。

こうした意味からすると、日銀の急進的措置は、20年を失った世界第3の経済大国に背水の一戦のラッパを吹き鳴らしたということだ。