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中日韓FTA交渉が今月末に始動 日本の姿勢が全局に影響
2013年 3月 21日9:17 / 提供:人民網日本語版

 商務部(商務省)の沈丹陽報道官は19日午前の定例記者会見で、中日韓3カ国が中日韓自由貿易協定(FTA)の第1回交渉会合を26日から28日まで韓国・ソウルで開くことを明らかにした。FTAの枠組み、交渉分野、交渉方式などを話し合う。第2回は中国、第3回は日本で開く。財経日報が伝えた。

 7年の長きにおよび、各国政府の下でフィージビリティスタディを行ったものの、複雑に入り組んだ政治的要因のため、中日韓の経済統合交渉は始動までに大変な曲折を経た。さらにデリケートな問題は、日本政府が先日環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を正式に発表したことだ。

 申鳳吉・中日韓協力事務局長は「日本は異なる複数の枠組みのFTA交渉に参加して、様々なヘッジ政策を講じており、中日韓FTAにとって最もリスキーな要因かもしれない」と指摘した。

 ■経済的利益を阻む政治的障害

 中日韓FTA交渉の一刻も早い推進こそが、最も3カ国の利益になるというのが、現在東アジア地域共通の認識だ。交渉の本格的な始動は、少なくとも3カ国に十分な政治的意欲があることを物語っている。

 沈報道官は「中日韓は共に東アジアにおける重要な経済国であり、緊密な経済・貿易協力関係にある。FTAのできるだけ早い締結が、3カ国にとって共通の利益であり、地域の平和・発展の促進にもプラスだ」と指摘した。

 申事務局長は「3カ国の新たな指導者はいずれも中日韓FTA交渉を支持するだろう。FTA締結は各々にメリットがあることをみなわかっており、どの指導者もこの問題を軽視することはありえないからだ。したがって、どの国も交渉から撤退することはないだろう」と指摘。「3カ国の経済は農業、漁業が共に弱く、欧米先進国と比較するとサービス業も立ち後れている。3カ国は構造調整を強化し、デリケートな分野の競争力を高めて、発足後の自由貿易圏が競争に対処できるようにする必要がある」と分析した。

 だが3カ国交渉は非経済分野で多くの困難にも直面している。中日関係、韓日関係は最近良くなく、歴史問題や領土紛争などデリケートな問題がひっきりなしに起きている。これは東アジア自由貿易圏の構築にとって試練だ。

 対外経済貿易大学の趙忠秀副学長は「交渉自体の経済的問題を見ると、3カ国は7年の長きにおよび各国政府の下でフィージビリティスタディを行い、すでに様々な可能性について検討し、技術的問題をほぼ予測し終えている。互いに熟知した古くからの友人でもあり、鍵となるのは、いかにして各自の国内政治勢力のバランスを取り、各自の駆引きのバランスを取るかという問題だ」と指摘した。

 ■日本の姿勢が全局に影響

 3カ国が最終的な合意にいたるうえで最大のリスクは、「複数賭け」という日本のはっきりしないやり方だ。

 交渉過程を知る人物によると、次の段階の交渉で最大の鍵を握るのは政治的意志だが、日本の姿勢は最もふらついている。米側の打ち出したTPPを牽制する狙いから、中国は常に積極的な姿勢であり、交渉過程を全力で推し進めるはずだ。

 申氏も同様の見方で「韓国は多国間ではなく二国間協力により関心を持っている。韓国はすでに米欧を含む主要国・地域との二国間交渉を完了し、現在は中国とも二国間協定について話し合っている。市場統合が実現すれば、韓国はアジア貿易のハブとして、投資、貿易双方で利益を得られる」と補足した。

 「北東アジア地域では中日韓FTA交渉は二国間交渉よりも困難だ。中韓が現在進めているFTA交渉は、中日韓交渉より早く妥結するかもしれない。中韓交渉は2012年5月に始まったので、2013年末には妥結したい」と申氏は指摘。「中韓FTA交渉が妥結すれば、中日韓交渉妥結の可能性も少し高まるかもしれない」と述べた。

 日本はかつて、日本が主導し、韓国がそれに続き、さらに中国が続くという雁行型の東アジア経済構造を提唱した。だが韓国は産業の発展に伴い、ハイテク、電子分野で徐々に日本に追いつき、追い越した。中国も徐々に大市場の強みを備えるにいたり、日本は脇へ追いやられている。このため日本は最も望んだ投資協定締結後、FTA交渉始動の意欲が事実上減退している。

 「FTA交渉が始動すると、相互利益を最大化できるのは中韓両国で、日本は米国主導のTPP参加という制約に直面する」と趙忠秀氏は指摘した。(編集NA)