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東日本大震災二周年 4大政策は日本の景気回復を牽引するか
2013年 3月 13日10:05 / 提供:人民網日本語版

 東日本大震災二周年にあたり、日本の主要株価指数は地震前の値を取り戻すだけでなく、過去4年半で最高を記録した。日本経済は長期デフレの中で災害による深刻な打撃も受けた。現在は原発の段階的再開、円安、インフレ刺激措置、自由貿易圏交渉の積極的展開といった手段を通じて回復を図っている。経済参考報が伝えた。

 ■大規模な資金投入で衰退の暗雲を吹き払う

 11日の東京株式市場で日経平均株価は終値で1万2349円05銭(65円43銭高)をつけ、8日続伸した。日銀の石田浩二審議委員は同日、力強い金融緩和策の継続を表明。次期日銀総裁候補の黒田東彦氏は2%のインフレ目標を変える必要はないと表明した。

 次期日銀総裁に選出される見込みの黒田氏は所信聴取で、さらなる量的緩和、質的緩和を含め、可能なことはなんでもやってデフレ脱却を図る方針を表明した。言及に値するのは、黒田氏が国債購入についてオープンエンド方式実施の前倒しを検討することに加え、償還までの残りの期間が3年以内という制限を撤廃する方針を強調したことだ。

 日本経済は甚大な災害によって打撃を受けたものの、政府主導の経済再生政策は徐々に効果を見せている。数十兆円の復興予算の継続と流動性の注入によって、日本は再生への道において好転の兆しを見せている。

 安倍晋三首相は11日、東日本大震災二周年のメッセージで「東北に春が来ない限り、日本に本当の春はやって来ない。われわれは復興の歩みを必ずや加速させていく」と述べた。

■円安とデフレ脱却

 生産・製造業の回復を刺激し、活発な経済活動を支えるため、日本は流動性を高める以外に、安全基準を高めた上で原発を徐々に再開しようとしている。これは国内に良好な生産条件を整えるための基礎となる。

 安倍首相は貿易振興の新政策を講じ、「輸出型」経済の日本の国際競争力を高めようとしている。その最も直接的な手段が円安だ。日本の貿易は依然きびしい状況にある。最新統計によると、貿易バランスの悪化に伴い、経常収支の黒字は3カ月連続で減少した。だが新指導層が登場し、明確な円安メッセージを市場に送ったことで、円は過去3年半でもっと安くなり、最近の下げ幅は20%近くに達した。輸出統計の改善が期待される。

 このほか日本の共同通信社のウェブサイトによると、安倍首相はファンロンパイ欧州理事会議長(EU大統領)と今月末に会談し、「経済連携協定(EPA)」交渉の開始を宣言する。初交渉は早ければ4月に行われる。

 安倍政権は「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」交渉参加を近く発表する。中日韓自由貿易協定(FTA)交渉も今月下旬に始まる。共同通信社は、日本はTPP、FTA、EPAを経済成長の戦略的支柱にする考えだとしている。

■頭上にのしかかる天文学的な復興コスト

 政府は経済改善措置を次々に講じているが、震災復興の難しさと高いコストが経済再生プロセスに影響を与えるだろう。

 国際赤十字赤新月社連盟が発表した「世界災害報告」は、東日本大震災による経済的損失は2100億ドルにも達すると指摘。震災の引き起した福島第1原発事故は最も危険な段階は過ぎたものの、英紙ガーディアンは「原発史上最も膨大で複雑なこの廃炉作業は始まったばかりだ。技術者は損壊した原子炉の冷却に取り組み、専門家は溶融した核燃料を取り出す方法を全力で考えているが、完了までには少なくとも1千億ドルの資金と40年の時間を費やすと見られる」と報じた。

 原発周辺の住宅区の除染作業は全く段取りがついていないようだ。放射性物質に汚染された土壌、木の葉、瓦礫は除染業者が片付けた後、全て福島に積み上げられる。そしてこれらの汚染物を最終的にどこに保管するか、政府はいまだに決定していない。日本経済研究センターの見積もりでは、福島の住宅区の除染費用だけで600億ドルに達する可能性がある。

 被災者の消費力が冷え込んでいることもデフレ脱却の足を引っ張る。需要不振という大きな問題をすぐに解決するのは難しい。(編集NA)