Home > ニュース > 国際評論  > サイバー空間を戦場にしてはならない
サイバー空間を戦場にしてはならない
2013年 2月 28日9:14 / 提供:人民網日本語版
 米国はあるコンサルタント会社の報告を借りて、再び中国ハッカー脅威論を煽り始め、中国の顔に泥を塗ろうと企てている。まずメディアが騒ぎ立て、いわゆるセキュリティの専門家が中国人ハッカーがワシントンのほぼ全ての重要機関を攻撃していると主張。ホワイトハウスは時機を逃さずに「企業機密窃取行為対応戦略」を発表し、「この件について米政府は中国に対抗すべきだ」と無責任な主張をする者さえ出てきた。一連の事態の推移は連続テレビドラマのようで、示唆に富むものだ。

 米国がハッカーの脅威を煽る発端となった報告は、極めて専門家らしからぬ内容で、同業者には相手にもされないものだ。米国のあるネットセキュリティ専門家は「報告は厳密な手法をとっておらず、全てにおいてまず中国を非難するという偏見がある」と指摘した。実はこうした非専門的方法による中国非難は目新しいものではない。過去2年、自動車修理や調理で有名な中国のある専門学校がハッカーの大本営として米国に非難された。

 実際には、米国こそが名実相伴うハッカー帝国である。米メディアの報道によると、米国は早くも2002年に世界初のハッカー部隊を組織した。2011年に米軍はサイバー司令部を正式に設置した。イランのウラン濃縮などのインフラは「スタックスネット」など高度なウイルスによる攻撃を受けた。その背後の黒幕も、すでに公然の秘密となっている。米国の軍当局と情報機関は毎年ハッカー大会に仰々しく出席しており、世界トップレベルのハッカーはペンタゴンに集まっている。

 米メディアはこれを興に乗って報じ続けている。英誌エコノミストは先日、米国はサイバースパイ分野の新米ではないと指摘した。フランスのサイバー監視当局幹部は、昨年のフランス大統領選時に米国がスパイソフトを使ってサルコジ大統領(当時)のコンピューターに侵入したとしている。2012年に中国が外部から受けたサイバー攻撃のうち、最も多かったのは米国からのものだ。

 中国のハッカーの脅威を煽り、いわゆる「サイバー機密窃取」を人為的に作り上げる背後には、中国の発展を前にした焦慮以外に、自らのサイバー攻撃発動に大義名分を与える狙いがある。米国は大々的にサイバー戦力の構築を推し進め、サイバー軍事同盟を拡大し、サイバー抑止を主張し、サイバー戦の規則を制定するよう国際社会を促し、自らの先制サイバー攻撃戦略にうわべばかりの合法性を得ようと企んでいる。サイバー戦場を切り開き、サイバー空間で国家間の衝突が勃発するリスクを高めたことは、現在のネットセキュリティ問題の根本的原因であり、ネットセキュリティ問題における各国の協力の雰囲気とネットセキュリティ促進への国際社会共通の努力にとって無益である。

 中国はサイバー攻撃の被害国だ。近年、中国は米国を含む30数カ国・地域と2国間取締り協力制度を構築。サイバー犯罪とサイバー攻撃の取締りの面で比較的整った制度を持っている。遺憾なことに、米国のメディアと一部の者はこのことを選択的に無視している。

 本質的に言えば、様々な中国脅威論と同様、中国ハッカー脅威論も米国の一部の者による中国を「悪魔扱い」する企ての一部である。世界のインターネットの中心的存在である米国は、サイバー空間を新たな戦場にするのではなく、各国と共に平和で安全、開放的で協力的なサイバー空間の構築を自らの務めとすべきだ。さもなくば、人を傷つけても己を利することにはならないのがおちだ。(編集NA)