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日中関係について=加藤紘一元自民党幹事長
2013年 2月 14日10:02 / 提供:東方ネット
記者会見に臨む自民党元幹事長、現日中友好協会会長の加藤紘一氏

 自民党元幹事長、現日中友好協会会長の加藤紘一氏は2月13日午後、東京の日本プレスセンターで記者会見し、1月末に村山元首相(日中友好協会名誉顧問)と共に、日中両国関係の現状打開のために訪中した時の中国要人との会談内容や、日中関係の現状と今後についての見解を述べた。

 加藤氏は、中国側のカウンターパートである中国友好協会会長である唐家セン(王へんに旋)元外相の招きで、1月28日からの4日間に北京を訪問し、唐会長の他、李源潮中国共産党政治局員、楊潔チ(竹かんむり+褫のつくり)外相とも会談を行った。

 加藤氏によると、元副首相級であった唐会長は、現在でも中国の対日外交政策に大きな影響力を持っており、今回の会談に用意周到な事前準備があったとの印象を得たと。また、加藤氏自身が1970年代初頭、外務省アジア局中国課次席事務官、後に同省NO.3の立場にあった時代に、同省内で当時NO.4であった齋藤正樹氏が72年の田中角栄元首相の訪中準備の為に、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の地図などを深く研究し、検討したことがあると回顧した。

 記者会見の質疑応答の中で、「当時島問題の棚上げについて、日本政府は中国側と合意があったか?あるとの栗山元外務事務次官の発言や公文書記録も残っているが。。。」との質問に対し、加藤氏は、「周恩来首相と田中首相の会談の中で、周首相からは、最近島の周辺に石油が出るとの話題があった為、島の領有権問題についてはクローズアップされたが、国交正常化の為の両国首脳会談では、この問題を取り上げずに、棚上げしようと話したことはある」と答えた。更に、「日本の外交公文書は、40年が経つと公開するものとなる。当時の会談内容に関する詳細記録がまもなく公開される故、それらを読んだ上で、日中関係についての国内議論はかなりし易くなるのではないか」とも語った。

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日中関係を語る加藤紘一氏     

 また、「40年間も経って、島の周辺からは石油はまだ出て来ないし、アメリカのように、シェールガス、シェールオイルという非在来系のエネルギーも沢山出てきた為、島の問題は解決し易くなるのではないか」と感想を述べた。    

 「重要なのは、両国はこのちっぽけな島の為に武力衝突へと発展させないことだ。レーダー照射の問題を見ても、防衛省や海上保安庁も中国人民解放軍や海監とも協議し、両国の巡視船や航空機の交信周波数を共通のものにして、現場でのコンミュニケーション手段を整備することによって、武力衝突を事前に防げるようにするべき、中谷元防衛長官(現自民党副幹事長)が現在働きを掛けている。中谷氏が今回の北京会談の中で、楊外相にもこのような提案をしており、菅官房長官も中谷氏の国内での調整作業を了解している。

 両国政府はこれぐらいのことができないなら、プロフェションナルにならない。いつまでも互いに「自国固有領土ですから、領土問題存在しない」と外交振り付けのような言葉で言い合ったり、または、「日中間に領土紛争は存在する」と言ったら、すぐに「非国民」の扱いをされたりすると、現状打破は到底できない、と新打開策にも言及した。 

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記者会見現場

 加藤氏は、記者会見の中で、中国の国家、省レベルの現指導者に対するこれまでの会談を通じて得た「秀才の印象」を述べ、指導者が国家長期ビジョンを持つ重要性についても話した。また、「安倍首相は、今後の中国主要外交人事を見極めた上で、高村副総裁を首相親書持参で中国に派遣し、外交実権を持つ関係当局者との会談を行う意向を持っている」とも語った。

(記事・写真とも成玉麟)

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