Home > ニュース > 国際評論  > 量的緩和は日本経済の低下をくい止められない
量的緩和は日本経済の低下をくい止められない
2012年 11月 4日11:03 / 提供:人民網日本語版

 日本銀行(中央銀行)は先月30日に行った金融政策決定会合で、国債などを買い入れる基金の総額を11兆円引き上げることを決定した。日銀は9月にも金融緩和を実施しており、2カ月連続での実施は異例だ。日本はあらためて国内経済の復興とデフレ脱却を目指す態度を示したといえる。「経済参考報」が伝えた。  

 日銀が2カ月連続で金融緩和を実施した背景には、欧米が相次いで無制限の量的緩和政策をうち出したことが原因としてある。円高が続く日本は反撃に転じざるを得ないが、客観的にみれば、今回の金融緩和は弱まりつつある日本経済を活性化させようとするものともいえる。  

 野田第三次改造内閣が10月1日に発足すると、前原誠司内閣府特命担当大臣(経済財政政策)は政府を代表し、同月5日に行われた日銀の金融政策決定会合に出席した。会合では国内の景気判断が前回の「持ち直しの動きが一服している」から「横ばい圏内の動き」に下方修正され、グローバル経済の減速や中日関係の悪化によってもたらされた輸出と生産の停滞を反映することになった。その後、日本経済にプラスの情報は少なく、マイナスの情報は次々に現れる。主なマイナス情報には次のようなものがある。  

 (1)自動車産業の不調:日本自動車メーカー8社が10月26日に発表した9月の国内自動車生産台数のデータは、前年同月に比べて12.2%減少しており、一年ぶりの減少となった。

 (2)世帯消費の減少:日本の総務省が10月30日に発表したデータによると、9月の2人以上世帯の平均消費支出額は26万6705円で、物価変動要因を考慮した実質では前年同月比0.9%のマイナスとなり、7カ月ぶりの減少となった。  

 (3)鉱工業指数の大幅な低下:日本の経済産業省が10月30日に発表した9月の鉱工業指数(速報値)は86.5で、前月比4.1%低下して、3カ月連続の低下となった。海外市場向け普通乗用車および中国市場向け自動車部品が不調だった。  

 (4)貿易赤字の拡大:日本の財務省が10月30日に発表した貿易統計データ(通関統計)によると、10月上旬には輸出から輸入を引いた貿易収支は3150億円の赤字で、4カ月連続の赤字となった。  

 (5)就職率の低下:日本の厚生労働省が10月30日に発表した9月の有効求人倍率は0.81倍で、前月比0.02ポイント低下し、2009年7月以来の低下となった。

 (6)デフレ脱却の目標達成の困難さ:日銀が10月30日に発表した報告書によると、2014年度の消費者物価指数(CPI)は13年度比0.8%上昇する見込みだ。世界経済の減速にともない、日銀がうち出したデフレ脱却に向けた目標値の1%を達成するのは現実的にみて難しい。

 日銀が2カ月連続で金融緩和をうち出すのは異例のことだが、市場はそれほど評価していない。10月30日の日本円レートは、米ドルに対してもユーロに対しても下がらず、反対に上昇した。東京証券取引所の日経平均株価は前日比87円36銭安の8841円98銭となり、過去2週間で最低だった。  

 日銀の金融緩和を受けて13年末には国債などを買い入れる基金の総額が91兆円となり、金融機関からの国債買い入れ、金融機関による通貨の放出、大量の通貨の流動という段階をたどる見込みだ。目的は投資と消費を活性化することにある。だがあるアナリストによると、経済の先行きへの不安感から、企業の投資や国民の消費に大きな影響が出るとみられ、長期的には日本政府や日銀の目指す目標の達成は困難だという。  

 日本経済は苦境に陥っている。世界経済の減速や円高の影響ばかりでなく、日本の政治が足を引っ張っていること、野田政権が釣魚島(日本名?尖閣諸島)「国有化」という茶番劇を演じたことが、中国市場における日本のリスクを増大させている。野田政権は極右化しており、韓国との関係が緊張し、中日韓自由貿易交渉にも影を落としている。米国が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟も、国内に強い反対の声があるため難しい。日本の政局が変化しなければ、日本経済の見通しに明るさが戻ることはないといえる。

関連記事