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中国の「台頭」は21世紀における最大の出来事(8)=成玉麟氏
2012年 5月 22日14:27 / 提供:掲載元:サーチナ
中国の「台頭」(経済及び全般)に関する世界19カ国の国際世論調査
121年ぶりに世界第2位の経済大国に復帰するまでの道
導入部「中国の台頭に対する世界各国の様々な受け止め方」

 2010年8月12日に、米紙「THE WALL STREET JOURNAL」が、右図の大変興味深い調査結果を発表した。内容はWashington, D.Cにある米シンクタンク「The Pew Research Center」が実施した中国の「台頭」(経済及び全般)に関する世界19カ国の国際世論調査である。

 19カ国には、先進国の他に、BRICsの名付け親Jim O’Neill氏が最近、「Growth economies」と新たに名付けた8カ国(China, Russia, Brazil, India, Indonesia, Turkey, South Korea, and Mexico)の中で、中国とブラジルを除いたもの、更にアジア、中東・アフリカと、南米の国々の名があった。

 この調査の結果について、WSJ紙は、世界各国の多数の人々が、中国の「台頭」に対し、「肯定的な見方」(Having positive views of China)をしているとの結論を伝えたほか、世界第2位の経済大国になろうとする中国は、その経済力を日本がEnjoyしているようなソフトパワーに転換していくために、現在なお努力中との指摘もした。

 右図から各国の中国に対する「Mixed views」のグルーピングをしてみよう。「Negative」から「Positive」への順で整理すると以下の結果が現れてきた。

 まず、中国に対し、「経済(Economy)」と「全般(Overall)」の両方で否定的見方(Negative views)を有する国のグループには、仏、独、トルコ、インド、韓国の5カ国がある。

 次に、中国の「全般」に対し否定的見方、「経済」に対しては肯定的見方(Positive views)を持つ国には、日本とレバノンの2カ国がある。その中に、日本世論の43%は中国の「全般」に対する厳しい見方をし、19カ国の中でも最多という結果となった。一方、32%の世論は、中国の経済発展について肯定的な見方をしていて、ジレンマがあることも判明。

 第3グループ(調査国の米国、スペイン、ポーランドの3カ国)は、前項と正反対で「全般」に対し、肯定的な見方をし、「経済」面では否定的な見方をする国々である。

 第4グループには、「経済」も「全般」もすべて肯定的見方をしている国々である。イギリス、ロシア、エジプト、ヨルダン、インドネシア、パキスタン、アルゼンチン、メキシコ、ナイジェリアといった先進国から発展途上国まで、または、欧州大陸から、アジア、中南米、中東、アフリカ大陸までの広範な国々。全19カ国の中の9カ国で47%を占める。

 上記の国際世論調査結果のグルーピング分析から、以下の結論を導くことができる。

○中国の「台頭」は、今世紀に至って広範な国々に様々な影響を与え、国際社会にインパクトの大きい出来事となっている。

○中国の台頭について、「経済」Or/and「全般」を「脅威」と感じ、否定的見方をしている国は、調査対象国の中でも「少数派」と言える。

○国際社会の大多数の国々は、中国の台頭と経済発展から受けた影響を好意的に受け止めている。

○その中、対中世論が厳しいとされる調査国アメリカ自身の中国「全般」に対する肯定的見方(13%)が、「経済脅威論」の見方をする人々(7%)よりも多いという結果は留意に値する。

 2010年末に、この国際世論調査結果を公表した後の4カ月弱で、中国国民は冷静かつ新しい目標へ向かう中で、121年ぶりに世界第2位の経済大国の座に復帰する時を迎えた。

 写真は、2010年8月12日付「The Wall Street Journal」紙に掲載していた「The Pew Research Center」の中国台頭に関する国際世論調査。(執筆者:成玉麟)

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