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中国の「台頭」は21世紀における最大の出来事(6)=成玉麟氏
2012年 5月 15日15:46 / 提供:掲載元:サーチナ
オリエント(東方)へのロマンチックな新シルクロード構想
 121年ぶりに世界第2位の経済大国に復帰するまでの道
導入部「三大陸の新シルクロード構想」

 英ロンドンのKing's Cross駅から、「Orient Express-style」の時速350キロの中国高速列車に乗って、英仏海峡トンネルを経て、出発48時間後に中国の首都北京に到着する。

 大陸横断のこの雄大で野心的な鉄道計画を語ったのは、中国高速鉄道分野の第一人者の王夢恕教授(中国工程院士)。2010年3月8日付の香港英字紙「the South China Morning Post」に前日の同氏へのインタビュー記事を掲載した後、この「オリエント(東方)へのロマンチックな新シルクロード構想」は、たちまち日米欧等の各国メディアにクローズアップされ、注目を浴びた。

 王教授によれば、この計画は、もともと中国自身が打ち出したわけではなく、幾つかの関係国と協議の中で、中国に対して、関係国からの要請があったため、中国政府は真剣かつ慎重に検討を重ねた結果、17カ国に同構想を提案したもの。鉄道の敷設ルートには、下記三つの協議検討中のものがある。

●イギリスを終起点とするロシア経由の欧州・中国ルート
ロンドンを欧州の終起点とし、仏独のパリ、ベルリン、ポ−ランドのワルシャワ、ウクライナのキエフ、ロシアのセントピーターズバーグ、モスクワ、エカテリンブルグ、カザフスタンのアスタナ、ロシアのイルークツク、モンゴルのウランバートル、ロシア極東のハバロフスク、中国のハルピンを経由して北京への全長8160キロのルート。

●欧亜ランドビリッジルート
ドイツを欧州の終起点とし、途中からトルコ、イラン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、中国の新彊ウルムチを経由して、中国国内の欧亜ランドビリッジと繋がって北京等へのルート。

●ASEAN経由の第三ルート
欧州からイラン、パキンスタン、インド、ミャンマ、中国の昆明を分岐点にしてベトナム、ラオス、タイ、カンボジア、マレ−シア、シンガポールへと南下するルートと、北上する北京へのルート。ただし、その後、ベトナムについては、このルートから外れ、昆明とラオス等の鉄道建設を先行した。

 完成予定は、10−15年後の2020−2025年である。

 中国の高速列車は、2004年に世界初営業用のリニアモ−タ−カ−(最高時速431キロ、ドイツから技術導入)が、上海浦東国際空港への30キロ区間で稼動して以来、2008年に北京・天津間に最高時速330キロの高速鉄道を運行開始し、2009年12月26日に武漢−広州間に最高時速350キロと走行スピードを徐々にあげてきた。

 更に2010年12月3日に、2011年6月に開通予定の北京・上海間のパイロットエリアの総合試運転では、最高時速486.1キロへと記録を更新した。

 2011年中に最高時速600キロの真空高速列車を試験し、10年以内に商業運行を開始するとの計画も発表しており、併せて最高時速2万キロの真空列車の研究にも着手した。

 一方、中国と南アフリカの間では、南アの高速鉄道線の建設への融資について、2010年9月に基本合意に達しており、今後欧亜大陸間で計画・建設中の高速鉄道は、アフリカ大陸へと更に延伸し、新陸上シルクロードによる三大陸の結び付きが強まることへの期待感が高まっている。

 写真は、Orient super express: From London to Beijing by train... in just TWO days(出所:MailOnline 9th March 2010)。(執筆者:成玉麟)

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