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中国の「台頭」は21世紀における最大の出来事(5)=成玉麟氏
2012年 5月 11日13:49 / 提供:掲載元:サーチナ
写真は、2008年9月27日「神舟7号」船長タク志剛の宇宙遊泳と、BeiDou(COMPASS)Navigation Satellite System。
121年ぶりに世界第2位の経済大国に復帰するまでの道
導入部「宇宙大国への昇り道」

 2008年9月27日。遥かな宇宙を背景に、五星紅旗を振る「Spacewalk」の映像が、世界中を駆け巡った。船長タク志剛、宇宙飛行士劉伯明、景海鵬の3人を乗せた中国の有人宇宙船「神舟7号」は、宇宙遊泳と呼ばれる船外活動のミッションを無事に終えた後、地球帰還への途に着いた。世界第三の有人宇宙飛行大国の地歩を固めた瞬間と視された。

 「神舟号」の宇宙探査と同様に注目を集めたのが、「北斗(BeiDou(COMPASS)Navigation Satellite System)」の構築である。アメリカの「GPS」、ロシアの「GLONASS」、EUの「GALILEO」とともに、世界四大衛星ナビゲーションシステムの一角を占めている故である。現在「北斗」は、以下の三部構成で構築を進めている。

・第1段階(BeiDou-1) 2000−2003年。
三個の衛星によるパイロットシステムを構築し、国内向けのサービスを開始している。

・第2段階(BeiDou-2) 2012年までに。
2007−2010年に衛星7基を打ち上げ、2011年4月の1基を加え、計8基の衛星を配置済み。更に今後数基を打ち上げた後、アジア・太平洋全域向けにサービス提供を開始する。

・第3段階 2020年までに。
合計35個の衛星を打ち上げ、CDMA方式による「Positioning、Navigation and Timing」のグローバルサービスの無料提供を開始する。

 上記第2段階の2003−2007年の間に、特記すべき事項が一つある。すなわち、中国はこの期間において、EUの要請を受けて「GALILEO」の開発プロジェクトに一旦参画したものの、開発情報の共有、自国の役割及びアジアマーケットにおける競合の可能性等の不都合により、共同開発の計画から脱退を決定したのである。「GALILEO」はその後も、開発資金の調達などの問題により、いまだに実験衛星2個を打ち上げたままの初期段階にあるため、2010年に一部オペレーション開始の予定が2013−2014年にずれ込み、打ち上げる予定の30個の衛星によるフルサービスも2020年以降の開始となる見込み。

 月の探査と月面着陸は人類にとってのロマンである。そのためか、アメリカのアポロ宇宙船や日本のかぐや月探査機のネーミングは、「ギリシヤ神話」の太陽神アポロと、「竹取物語」のかぐや姫の名前から由来する。それと同様に、中国の月探査機である「嫦娥1・2号」も、中国の古代神話集「淮南子」「山海経」にある伝説上の仙女嫦娥(Cheng`e)から命名したものである。不老不死の薬を服用し、月へと昇り、月の神の美女となった「嫦娥」の名は、2007年10月24日に打ち上げた中国の月面有人着陸計画の第1号機「嫦娥1号」の名称となった。

 2009年3月1日に、無人探査機の「嫦娥1号」は、使用寿命が到来する前に、月面衝突による土サンプルを採取した。2010年10月1日に打ち上げた「嫦娥2号」も、姉妹機の「嫦娥1号」と同様に、月の高解像度の画像撮影や月周回探査を行ったが、半年間の使用寿命到来の今は、最後の貢献をするべく今後4項目の科学探査を続ける予定である。

 今後は、「無人機の月軟着陸」、「無人機による月面土壌のサンプル回収」等のプロセスを経て、最後に2020−2025年の間に「有人月面着陸及び帰還」が行われる見通し。

 太陽探査の「夸父計画」(Kuafu project)と火星探査計画も、今後各々2012年と2013年に実施の予定。

 「夸父追日」は、太陽と競走する人間の勇気と、走る人間にとって水が必要と同じように知識を絶えず吸収し、時代と共に前進する中国の古代物語である。2010年までに中国の宇宙大国へと昇る「神舟号」は、「夸父追日」から投影された面影がある。  (執筆者:成玉麟)

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