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中国の「台頭」は21世紀における最大の出来事(4) =成玉麟氏
2012年 5月 10日9:48 / 提供:掲載元:サーチナ
オバマ大統領

121年ぶりに世界第2位の経済大国に復帰するまでの道
導入部(2005−2010年)「科学技術発明大国への再登板」

 2011年1月26日の米大統領一般教書演説の中に、半世紀前の1957年10月4日に、旧ソ連の人工衛星「Sputnik1」が打ち上げられた時の、米国民が受けた大きな衝撃の瞬間を表現する言葉「Sputnik moment」が登場した。

 オバマ大統領は、今現在のアメリカ社会は、53年前のショックの瞬間を再度体験していると語り、原因として、世界TOP500のス−パ−コンピュータにおいて、長年アメリカ製がリードしていたその牙城に、中国の「天河1号A」という史上最速のスパコンが、2010年11月に出現したためと明言した。

 また、中国の教育水準の代表格である上海市の15才の中学生達は、OECDが主催した2009年の各国学生評価プログラム「PISA」という国際試合で、「数学・科学技術・読解力」という全試験項目に於いて、最高得点に達し、米国学生の30、23、17位を大差で引き離したことや、加えて各国がしのぎを削る再生可能クリーンエネルギーの太陽光発電分野に関しても、中国が現在世界最大の民間研究開発施設を有すること等も、米国の「Sputnik moment」を招く要因であると警鐘を鳴らした。

 中国の科学技術や教育面の「脅威」を大統領がこれまでも何度か公衆に語り掛けたことがあるが、今回の真の狙いは、合衆国議会両院の議員達から協力を取り付け、「Win the future」の為の開発予算を獲得するところにある。その目標に向けて政権内の優れた連携プレーにも感嘆するものがある。

 2カ月ほど前の2010年11月29日に、オバマ政権のエネルギー長官を務めるSteven Chuは、ワシントンにある「the National Press Club」で行ったスピーチで、中国優勢の以下の七つの産業分野について、中国をはじめとする他国の成功は、アメリカにとって「New Sputnik moment」になると訴えた。

中国優勢とされる七つの産業分野
1.High Voltage Transmission(高電圧送電線)
2.High Speed Rail(高速鉄道)
3.Advanced Coal Technologies(石炭関連の先端技術)
4.Nuclear Power(原子力発電所技術)
5.Alternative Energy Vehicles(電気自動車)
6.Renewable Energy(再生可能エネルギ-)
7.Supercomputing(ス−パ−コンピュ−タ)

 中国はこれらの科学技術と共に、「世界知的所有権機関」(WIPO)が右のグラフィックに示すように、05年以降は発明等の国際特許出願件数も急増し、2010年には、更に前年度より56.2%の爆発的な増加率に達し、まるで掘削する石油が一気に油井から噴出するような「井噴現象」を呈している。

 WIPOが2011年2月9日に発表した「International Patent Filings Recover in 2010」のデータによると、2010年に全世界の国際特許出願件数は16万2900件、そのうち、中国の出願件数は1万2377件で全体の7.6%を占めており、件数順位は09年に4位の韓国と交代して5位から4位に躍進した。

 科学技術発明の分野に於いても目覚めた獅子の猛追の姿がある。(執筆者:成玉麟)

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