Home > ニュース > 国際評論  > 経済低迷が続く日本 東京ではハーフコートが流行
経済低迷が続く日本 東京ではハーフコートが流行
2012年 2月 3日17:42 / 提供:人民網日本語版

 1月の東京の気温は北京と比べればまだ温かい方だが、空港ターミナルビルを出る時にはやはり、冬の風に頬を打たれる寒さを感じる。半年ちょっとぶりに東京の街中をぶらついてみて気がついた、例年との最大の違いは、男性のコートが短くなったことと、女性のスカート姿が少なくなったことだ。男性のコートは以前よく見かけた膝まで覆うものではなく、スーツより少し長い丈のものが多い。スカート姿の女性は、最もファッショナブルな港区一帯でも10人中2、3人に減っていた。(文:趙剛・中国社会科学院日本研究所日本問題専門家)

 日本人は装いの見た目を最も重視する。男性は真夏でもスーツにネクタイ姿で我慢するし、女性は寒さ厳しい真冬でもスカート姿で我慢する。実は服装の変化には、社会の現状がよく映し出されている。ある小説に、男性のコートは昔の武士の甲冑に似て、長いと一層自信があるように見えるとの一節があった。バブル経済が崩壊したばかりの頃、日本の街中でミニスカートが流行した事も思い出す。経済指数が1ポイント下がると、スカートの裾は一寸短くなるといわれる。就職が難しくなっても、面接の際にミニスカートをはけば、セクシーな一面をよりアピールし、男性面接官の視線を引きつけることができるのだ。

 それでも自分の直感に余り自信がなく、書店でファッション誌を立ち読みしたり、ネットで今年の冬の流行スタイルをチェックしてみたところ、男女ともにカジュアル系が主流で、私の観察が正しかったことが証明された。数日の間に日本の友人と何人も会い、昨年3月11日の東日本大震災とそれに関連する放射能漏れ、低迷し続ける経済、政治の混乱、今後の日本の発展や前途に対する不安について話し合った。どれも溜息をつくものばかりだ。雑談の中で、男性のコートと女性のスカートにも言及した。日本の男性のコートが短くなったのは、不景気で以前の自信を失って控え目になり、人前で目立つのを望まなくなったから、女性のスカート姿が少なくなったのは、生活に追われて疲れ、以前のゆとりをなくしたからで、日本全体が萎縮と不安、将来への自信喪失の中にある、との少し極端な見方も出た。

 ウォール・ストリート・ジャーナル・アジア(1月25日付)は「日本の輸出大国時代の終わり」という記事で、過去数十年間、家電や自動車を主力に牽引されてきた日本の輸出産業に警鐘を鳴らし、「企業の競争力が低下する中、日本の輸出はすでにかつての猛烈な勢いを失っている」と指摘した。日本財務省が25日に発表した2011年度貿易統計速報でも、輸出が2.7%減少する一方で輸入が12%増加し、年間の貿易赤字が2兆5000億円に達したことが明らかにされた。1980年以来の赤字転落だ。

 この赤字の原因としては、東日本大震災で東北地方の工業チェーンが破壊され、一部工業部品の供給がストップしたことによる輸出の停滞が確かにある。だがそれよりも大きいのは、中国をトップとするBRICsの急激な発展を前に、これまでハイテクを基礎にしてきた日本工業が次第に優勢を失っていることだ。このほかに円高の持続も日本経済の復興を妨げる大きな要因として挙げられる。1985年の「プラザ合意」によって、1ドル239円だった円の対ドル為替レートは、わずか3年間で約2倍に上昇した。2011年は基本的に1ドル80円前後で推移した。円が10ポイント上昇するごとに、輸出は8ポイント減少すると専門家は計算する。こうした全てが、震災後の復興過程にある日本にとって、追い打ちとなっていることは間違いない。特に目立つ技術的優位性を欠く中、高い生産コストに高い価格が加わり、日本製品の貿易競争力は下がり続けている。こうした状態が近いうちに顕著に改善されない場合、日本は対外純債権国から債務国に転じる可能性が極めて高い。本当にそうなった場合、国債発行量から見て、日本経済の展望は現在債務危機の最中にあるギリシャと異なり、楽観の余地はない。

 バブル経済の崩壊に伴い、日本の失業率は1990年代中頃から5%前後を推移している。数字を見ただけでは、西側諸国の中では低い方に見える。だが日本では終身雇用の伝統の下、失業者は適切な仕事を見つけることが難しい。また、手薄な社会保障のために失業者とその家族は生活を維持できず、結果的に自殺の増加を招いている。統計によると日本では07年以降、毎年3万人以上が自殺している。自殺者の年齢も本来社会の中堅であるべき20潤オ40歳が中心だ。1930年代に小林多喜二が当時の労働者の苦難に満ちた生活を描いた小説「蟹工船」が、08年にベストセラーとなった。多くの日本人が「蟹工船」に自分に似た姿を見て、共感を覚えたのだ。

 もちろん、天が日本にもたらしたものは悪い事ばかりでもない。様々な困難を前に、日本社会は団結が力であることに気づいたようだ。昨年末に発表された「今年の漢字」は「絆」で、「災」と「震」が僅差で続いた。自然災害と経済的苦境を前に、日本社会は人間関係の稀薄化を反省した。これ自体は良いことだ。旧暦の新年にあたり、日本が苦境から順調に抜け出せるよう祈るとともに、日本が世界的視野に立って、「絆」の範囲を周辺国にまで拡大し、善隣友好と共同発展を図ることを希望するものである。