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米国防長官:中国を飛ばした「中国訪問」(写真)
2011年 10月 29日12:55 / 提供:「人民網日本語版」

 パネッタ米国防長官が10月21日から28日にかけてインドネシア、日本、韓国を歴訪した。就任後初のアジア訪問だ。中国軍の近代化から「南中国海問題」まで、パネッタ長官は行く先々で中国に言及した。中国を訪問せずに、中国に大声で呼びかけ続けるその「奇妙な言動」には疑問を抱かざるを得ない。「国際金融報」が伝えた。

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パネッタ長官

 ■真の狙いは中国か

 今回のアジア歴訪に中国は含まれなかったが、ここ数日間のパネッタ長官の発言を見ると、その中国こそ最重要目的だったようだ。10月24日にはインドネシアで、9月に米国の発表した総額約60億ドルの対台湾武器売却計画への中国の反応について「プロフェッショナルで賞賛に値する」として、「中米関係の格上げにプラス」とも述べた。

 だが翌25日には突然矛先を転じ、ひどく強硬な姿勢を取り始めた。日本の最有力紙・読売新聞でパネッタ長官は中国について「急速に軍事力の近代化を進めているが、そのプロセス全体が透明性を欠き、懸念を覚える」「南中国海と東中国海での活動はますます横暴になっている」と非難した。同日には日本の野田佳彦首相、一川保夫防衛相と会談し「中国による海洋での活動の活発化にアジア太平洋地域の安全保障環境は不安定性を増している」との見解で一致。「東中国海と南中国海で活動を活発化させる中国にどう対処するかについて意見交換した」。

 パネッタ長官は「中国」に常に言及したほか、「アジア太平洋回帰」にも繰り返し言及。今後10年間で少なくとも4500億ドルの国防予算削減を掲げつつも、アジア太平洋への配備は強化する方針を示した。

 米国が「アジア太平洋回帰」にこれほど執着するのはなぜか?パキスタン・オブザーバー紙は、中国の影響力への対抗が目的と指摘する。

中国外交学院戦略・衝突管理研究センターの蘇浩主任は「パネッタ長官の公の発言からは、中国に強く焦点を合わせていることが明らかだ。地域の緊張を煽り、中国に面倒をかけて、自国の仰々しい東アジア回帰への環境を整えようとしているのだ」と指摘する。

 ■落ち着いた対応が最も重要

 米国は国内景気が後退し、国民の不満が沸騰する中で、アジアへの関与を弱めない方針を繰り返し強調しているが、アジア太平洋の同盟国は多かれ少なかれ不安を抱いている。オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙は、将来的に中米対立の人質にされる可能性への懸念を表明。「オーストラリアのリーダーは『米国はたとえ経済規模で中国に追い抜かれてもアジアを統治できる』と何の心配もせずに考えるべきではないし、『米国の中国封じ込め政策を支持しても対中関係は損なわれない』と無邪気に考えるべきでもない。オーストラリアは米中対立のエスカレートを全力で阻止すべきだ」としている。実は米国の目的はアジア太平洋の同盟国をなだめることにあり、同盟国はその権威を傘にはったりをきかせたいのかもしれない。「だがこのはったりがどれほど有用で、それほどの威嚇効果を持つかは、不確定要素が多い」と中国政策科学研究会研究員の彭光謙少将は言う。「なぜなら中国との対立はこうした国々の利益にならず、引き合わないからだ」。

 上海環太国際戦略研究センターの郭隆隆主任は「『アジアの同盟国を頼りに中国を抑え込む』米国の発想は実情にそぐわないし、同盟国も一枚岩ではない。米国にとってアジア太平洋回帰は両刃の剣だ。アジア太平洋は重要な問題の集中する地域であり、対処が適切なら利益を維持できるが、不適切なら自ら災いを招き、自国の利益が脅かされる可能性が高いからだ」と指摘する。専門家の間では、米国のアジア太平洋戦略に対して中国は冷静さを保つべきとの意見が多い。中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は「米国の『進攻』に対して、中国は泰山のようにどっしりと構えることが必要だ。現在の米国の戦術上の進攻は、戦略上の劣勢の反映だ。したがって中国にとって肝要なのは揺るぎない確信だ。時間は中国の側にあり、誤りさえ犯さなければ、未来は我々のものであると確信することだ」と指摘する。