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日本経済:長期的に見て、楽観論を持ちかねる
2011年 4月 30日15:32 / 提供:第一財経日報 上海交通大学上海高級金融学院副院長朱寧

 この間の短期的な円高の原因は、震災後に多くの海外資産が回流し、日本の復興建設を支援するという背景で、国際投機家がこの趨勢を利用することである。しかし、これが短期的な動向ではなく、3〜6カ月続くと思う。

 短期の円高は、もう一つの要因は、日本円が日本経済の発展態勢を反映することである。復興建設は日本経済、GDPに対して、強い推進力を持ち、大規模に資金を投入する。短期の円高は、全世界が短期的に日本経済の復興に対する予想を示した。

 中長期から見ると、日本の経済は楽観できないと思う。日本は財政赤字が大きい。世界第2位の経済大国であった日本は、国際投資家のリスク分散に大切な役割を持っていた。だが、中国が日本の代わりに世界第2位の経済大国になり、米ドルの重要性が弱まると共に、新興市場は自分の資産の構造を多様化するため、国際投資家の日本国債の保有量を減少させつつある。  

 日本経済に楽観論を持ちかねるもう一つの理由というと、日本の老齢化問題を考えるべきだと思う。震災後、一部の若者が海外に移住し、人材流失する上、人口構造の老齢化問題を深刻化させる。また、日本の原料供給に頼っていた外国企業が今、リスクを分散するために、(日本の高い労働力コストと高い税率のためにも)一部の生産拠点を他の国に移す。これも日本経済の空洞化をスピードアップさせる。  

 この4兆円(復興建設に使う資金のこと)の調達先は、一つは外貨準備高、もう一つは国内融資で、また国債の発行も重要な資金源だと思う。外貨準備高は為替変動の準備であるため、肝心な時に使うしかない。もし大量の米ドルを売ったら、急速な円安を招くのである。これはきっと日本政府の望むところではない。  

 一般的に、国際投資家に信頼される国の国債なら、信頼度が高ければ、収益率への要求が低くなる。一方、信頼度が低ければ、収益率への要求が高くなる。こうして、国家は融資のコストを高める。日本が量的金融緩和政策を実行できるのは、国際市場で国債を発行するからである。現在、大震災に放射能漏れの事故を加わり、国債収益率と国家の融資コストはこれと共に上昇すると思う。  

 そのため、中長期的に見ると、国債の利率が高まると共に、国家の融資能力が下がる。今後、日本で実施される経済刺激政策は、こういう情況に制限される。一種の悪循環に陥る。  

 現在、日本の情況は、世界経済の景気回復には大きな影響を与えないと思う。まず、日本経済の刺激政策は、日本自身の経済成長に有利で、復興活動が日本経済の発展を促進する。第二に、日本製造の製品は世界市場で独特な存在であり、代わりのものが少なく、生産拠点を移転するには時間が必要である。他の国は、日本をコピーできないため、大きな影響を受けない。  

 日本銀行は、マネーサプライが多いが、世界的影響が少ない。それは、その通貨が自国経済の復興に使われ、国際商品価格に波及しない。逆に、米国のFRBの量的緩和計画は商品価格に影響する。それは、国際商品の価格が米ドルで決算するからである。また、国としても、会社としても、資産配置に、円の比率は米ドルより夥しく小さいのである。  

 しかし、日本の放射能漏れ危機の不定性は、確実に未来の世界エネルギーの供給について人々の不安を深めた。世界経済の成長に従い、エネルギーの供給に長期的な圧力がある。  

 日本の災難は、世界経済に大きな不利影響を与えないと思う。過去20年に、日本のインフレレートがマイナス1%であるため、インフレが起こっても、日本にとっては良いニュースだと思われる。また、日本の復興建設に必要な巨額支出は、主に国内の需要を満たし、世界中インフレーションの環境にマイナス効果にならない。  

 日本の復興建設は、中国経済に向上の原動力をもたらすかもしれない。その理由は、日本の復興建設がインフラストラクチャーに使う素材と原材料への需要を大量に増やし、日本の最大の貿易相手国である中国にとっては、日本の経済刺激政策が中国の関連商品に対する需要を上げる。それと同時に、中国では生産能力の過剰の業界、特に鉄鋼業が受益となる。このような情況で、中国経済にも資産価格の高騰とインフレのリスクがある。

(実習編集:郭炎君)

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