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中日の若者の差、想像するほど大きくない
2014年 8月 27日16:11 / 提供:チャイナネット

  蟻族(高学歴だが良い給料の職を手にできない若年層)が中国社会で広く注目されたが、このような現象は中国だけではなく世界にも存在する。筆者は2007年から研究チームを率い、中国の現代の若者が抱える問題を研究した。『蟻族』が出版されると、海外からも注目を浴びた。日本は『蟻族』の版権を最も早く取得した国だ。

  『蟻族』(日本の書名は『蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ』)は2010年9月に、勉誠出版から出版された。訳者は有名な中国問題専門家の関根謙教授だ。関根教授は1951年に福島県に生まれ、現在は慶応大学文学部長に就任している。本書には中国問題専門家、東京大学社会学部の加々美光行教授が解説を寄せている。本書が日本の読者の間で好評を博したのは、関根教授ら長期に渡り中国に注目してきた日本人学者の貢献の他にも、何か深い理由があるのかもしれない。

  デイリー·テレグラフ紙によると、東京在住のある男性、5平方メートル未満で家賃が145英ポンドの部屋で暮らしているという。この男性は細々した日用品に埋もれて暮らしており、名実相伴う蟻族になっている。東京には少なくとも1万人のホームレスが存在するという。この1万人には、カプセルホテルの宿泊者のような、ホームレスの予備軍が含まれない。また多くの人は金銭面の都合により、24時間のネットカフェやスーパー銭湯で夜を越さなければならない。

  日本社会にも近年、高学歴の低所得者層が存在し、中国の蟻族の現象は日本にとっても馴染みがある。高学歴の低所得者層という集団は、中日の社会に共通する社会現象だ。より深く分析すれば、蟻族の裏にある、両国が共に直面する時代的·構造的な問題が見えてくるだろう。 高齢化社会により、日本の若者は重い負担を強いられており、未来の生活を強く懸念している。中国の高齢化は日本ほど深刻ではないが、富を築かないうちに高齢者になるという懸念が、社会のホットな話題になっている。中国の高齢者数は2013年に2億人の大台を突破し、高齢化率も14.8%に達した。中国の高齢化は加速を続け、21世紀中頃に高齢化のピークに達する。60歳以上の高齢者が4億人超になり、総人口の30%以上を占める見通しだ。中国の若い世代も、強い圧力に直面している。この問題があり、中国と日本の若者には似通った点が存在している。

  蟻族から透けて見える、中日の若者が共に直面する社会的な問題は、私たちにどのような教訓を与えてくれるのだろうか?グローバル化とインターネットの発展が各国の若者を席巻し、時代に共通する問題が異なる国と地区で見られている。これは両国関係を観察する際に、国家と民族の視点だけではなく、時代という視点に立つことも同じく重要であることを教えてくれる。改革開放から30数年間の激変により、中国の若者はかつての若者にはない成長の経験を持つ。中国の若者は時間軸から見ると、完全に以前の若者と異なる存在になっている。しかしグローバル化とインターネットの発展は同時に、各国の若者に横のつながりをもたらしている。

  現在の中日の若者は、個人の発展を重視する世代であり、類似する多くの問題を抱えている。これは両国の若者の交流における強い「共感」の基礎となっている。インターネットとグローバル化の強い波が、今流行りの文化を全世界の若者に共通する趣味にしている。日本のアニメ、中国版LINE「微信」は、国境を超えた両国の若者に共通する成長の背景となっている。中日の文化交流は古く長い歴史を持つが、上述した要素はかつてのいかなる時期にも存在しなかった。

  中日の若者は自分たちの広い視野の欠如とその必要性を認識しておらず、相手国の歴史に対する理解にも大きな差がある。しかし国や歴史の要素を乗り越え、時代という視点に立てば、両国の若者の間にある差は、それほど大きくないように見える。中日の若者の交流では、時代という視点に立つことで、中日関係の未来の発展の「共感」の基礎を構築してみてはどうだろうか。この激動の時代に双方が持つ共感は、若者の国際交流、異なる層の若者間の共通認識の形成において、重要な力を発揮するはずだ。

  中日両国の若者が各国の未来と運命を担っており、民族的な感情をコントロールできず、長期的な対立に陥れば、必ず共倒れになるだろう。これは歴史と事実によって証明されていることだ。中日の国民、特に若者は両国の未来に自信を持ち、交流の強い意欲を持ち、共感を強めることで、中日関係を未来に導くべきだ。