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ニュース分析:安倍首相の「戦争立法」はなぜ憲法と民意の障壁にぶつかるのか
2015年 6月 21日10:07 / 提供:新華網日本語

 日本の万人以上の民衆が連日にわたり、国会議事堂や首相官邸といった政治の中枢周辺で抗議集会を行い、安倍政権が国会に審議を提起した安保法案に反対している。反対者には平和憲法の擁護を主張する市民、学者、野党が含まれるだけでなく、もともと憲法改正を主張していた保守派の学者や自民党の重鎮も憤然として立ち上がり、立憲主義や民主主義に背く安倍首相の独裁的な手法を批判し、日本の平和立国路線を変える「戦争立法」を撤回するよう安倍政権に求めている。

 安倍首相による「戦争立法」が人々を憤らせまた普遍的に懸念させていることには、主に以下の原因がある。

 まず、集団的自衛権の解禁に法的根拠を与えることを趣旨とする安保法案に、憲法違反の疑いがあること。

 日本国憲法第9条によると、日本は武力行使と交戦権を放棄しており、軍隊を保有できない。その後、日本の歴代政府は憲法9条に対して、日本が武力攻撃を直接受けた場合、最小限の武力を行使した反撃が認められると解釈してきた。こうして、日本は「専守防衛」の安保基本国策を形成した。

 しかし、安倍政権の安保法案は「専守防衛」の理念を覆し、日本が攻撃を受けていない時でも集団的自衛権の行使を通して、海外で武力を行使しひいては戦争に参加することができると提起した。

 安倍政権の「無法の限りを尽くす」の手法は大多数の憲法学者や法律の専門家の強い反発を招いた。200人を超える憲法学者が共同声明を発表し、安保法案は憲法第9条に違反すると指摘し、廃案を求めている。

 次に、多くの民衆が民意を無視し、「戦争立法」を無理やり推進しようとする安倍首相の政治的手法に対し懸念を感じていること。

 最近の世論調査では、日本民衆の8割が安保法案を理解できないと回答しており、多くの自民党議員も法案の内容を完全には理解できていないと暗に認めている。国会での審議において、安倍首相、中谷元防衛相、岸田文雄外相、内閣法制局長官を含めて、彼らは野党の質問に対して絶えず言い方を変更しており、一部の言い方は自己矛盾しているほどだ。これは法案そのものの手抜かりを暴露しただけでなく、更には安倍政権の国会という立法機関に対する軽視も明らかに示している。

 安倍首相が安保法案を無理やり推進する姿は、自民党内部や政界の重鎮からの非難も招いている。亀井静香元自民党政調会長は、国の未来の行方に関わる重大な問題では国民に意見を求める必要があり、国会議員であることだけを頼りに決めることはできず、「日本は敗戦以来の最大の危機に直面している」と指摘する。

 第三に、安保法案が、日本が戦争に巻き込まれる、あるいは戦争に自主的に参加するリスクを高めたこと。

 安倍首相は、集団的自衛権の解禁後、日本の自衛隊が米国の軍艦の護衛などの米軍を支援する活動を執行でき、日米同盟の強化を通じて他国への抑止力を高め、それにより戦争のリスクを回避できると公言している。しかし元防衛研究所長の柳澤協二氏は、自衛隊が米国の軍艦を護衛した場合、日本がこれにより敵国とみなされ、それにより攻撃され戦争に至るというもう一つの可能性が高まると指摘する。

 政界の重鎮で、元財務大臣の藤井裕久氏は、安倍首相による日米軍事同盟の強化に対し深い懸念の意を表している。藤井裕久氏は次のように指摘する。日本が戦前日英軍事同盟や日独伊三国同盟を締結し、日本を戦争へと深く陥らせる結果になった。安倍首相は集団的自衛権を解禁し、「対等」な日米軍事同盟を打ち出そうと企んでおり、しかも軍事同盟の特徴は仮想敵国を作り出すことだ。これは誤った道を進んでいるといえる。

 第四に、米国に従属する安倍首相の姿や歴史修正主義が、戦争法案の危険性を拡大したこと。

安倍首相は5月上旬の米議会演説で、安保関連法案を今年の夏の国会閉会までに可決させると承諾している。しかし、この承諾の背景にあるのは、それ以前に、日米政府がそれより先に改定された日米防衛協力のための指針だ。この指針の内容を徹底するため、日本は数多くの安保関連法律を改定する必要がある。そのために、野党はこれは米国の需要と利益を日本の上に置いた、徹底的な対米従属であると批判している。

 日本共産党の山下芳生書記局長は安保方案反対の集会で、日本はベトナム戦争、イラク戦争など、米国により発動された戦争を反省したことがなく、安保方案が日本に米国からの参戦の要請の断りを今後さらに不可能にさせるだろうと強調していた。山下芳生書記局長は、過去の侵略戦争も認めたがらない、このような歴史修正主義者の安倍首相が「戦争立法」を主導することは、明らかに一層の危険性を備えることになると更に指摘した。

 1995年に発表された「村山談話」では、日本が当時国策の誤ちのせいで、植民地統治と侵略の道を歩んだと指摘している。山崎拓元自民党前幹事長は、最近多くの場面で、敗戦70年後の今日、日本は類似する「国策」の誤ちを二度と犯してはならない、と安倍首相や自民党に警告を発している。

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