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戦争のできる国に戻る日本 アジア太平洋の安全をどうする?
2014年 6月 24日11:14 / 提供:チャイナネット

 日本ではナショナリズムと右傾化が深刻になっているが、これは疑いようもない事実である。安倍首相は就任後、靖国神社を参拝し、侵略戦争に定義はないと言ってのけ、侵略戦争の歴史の否定と美化を続けた。また平和憲法の改正を目指し、憲法解釈の修正により、戦後の平和的発展の方針をかなぐり捨てようとしている。安倍首相はさらに「安保3本の矢」を放ち、集団的自衛権の解禁と武器輸出を推進し、政治?政策面で自国の制限を緩めようとしている。

 この一連の動きは、日本のどのような政治動向を示しているのだろうか?中国およびアジア太平洋の安全情勢に、どのような影響をもたらすのだろうか?6月22日に北京で開かれた第3回世界平和フォーラムには、中国、日本、米国、韓国、シンガポールの専門家が集まり、「日本の安全政策の動向とアジア太平洋の安全」というテーマを巡り、白熱した議論を展開した。

 日本が全面的に軍事化

 専門家は、現在の日本は「戦後体制からの脱却」の道を闊歩していると指摘した。例えば安倍政権は2013年12月に戦後初の国家安全戦略、新たな防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画という「安保3本の矢」を放ち、戦略?政策?措置の3つのレベルから、日本の国家安全戦略と防衛政策を変化させた。同じ時期に日本では、3本の矢に制度?法律の保障を提供する国家安全委員会が設立され、それとセットになる特定秘密保護法が成立した。日本政府は1967年から維持してきた武器輸出三原則に代わる、防衛装備移転三原則を発表した。これまで軍事と関わりのなかった経済開発援助は、「対外援助」の名義を使い、海外との防衛協力に手を伸ばした。

 また日本の軍拡は真正面から、全面的に推進されている。中国社会科学院日本研究所所長の李薇氏は、これが次の3つの点によって示されていると指摘した。(1)国防建設の加速。(2)日米同盟による積極的な海外進出。(3)地域と世界の安全事業への積極的な参与(武器輸出など)。この3点は能力強化、安全保障、地位向上、影響力の拡大を目標としており、その規模?速度?効果は歴代内閣を大幅に上回っている。

 アジアの安全に悪影響

 日本政府の右傾化の加速、軍事面の進展の狙いは何だろうか?李氏は、「日本は軍事大国化を加速し、軍事的な台頭を求め、正常な国になるという目標を実現しようとしている。日本はまた、日米同盟における軍事的な地位と役割を強化し、国際的な影響力を強化?発揮しようとしている。それから米国を抱き込み中国を抑制することで、東アジアのリーダーとしての地位を争奪しようとしている。安倍首相が2013年の国連総会の演説で、日本は地域のリーダーになり、リーダーシップを発揮する必要があると強調した通りだ」と分析した。

 李氏は、「日本の新たな防衛枠組みはすでに確定されている。戦後の平和的発展の道はこれにより方向を変え、日本の安全?防衛政策は重大な脱皮を完了した。敗戦から約70年後の今、日本は戦争のできる国に戻ろうとしている。理論上は、強い軍事力を持ち、軍事的に完全に独立した日本が、戦争を起こす日本になるとは限らないが、絶対にそうならないとも言えない。日本は歴史認識をころころ変えており、靖国神社や慰安婦の問題を道徳レベルから認識できていない。中国などの北東アジア諸国は、日本が同じ間違いを二度と犯さないことを絶対に信じられず、日本の強兵路線を無視することもない。ゆえに日本の安全政策の動向は、中日関係の緊張を引き起こし、地域の安全の不安定性を高める」と指摘した。

 日本、自国の位置付けを理解すべき

 強兵路線を歩み、戦後体制からの脱却を目指すさまざまな動きは、日本の国際的な名誉を損ねており、必然的に日本国内の政治の対立を激化させている。早稲田大学元総長の西原春夫氏は、「日本人の大多数は、安倍政権の動向を不安視しており、賛成していない。安倍首相が自分のいわゆる政治目標を実現するため、民意を顧みないのならば、その政権の安定に影響を及ぼすだろう」と語った。

 日本は最大限に米国の戦略を利用し、米日同盟を道具とし、自国の「独立」を目指している。対外戦略は「中米対抗」を前提とし、「中米新型大国関係」という一面を無視している。これは米国の対中政策とのズレを生じやすく、情勢を見誤る可能性がある。アーミテージ元国務副長官は、「米日同盟は高度の戦略的信頼関係を意味するが、両国間に係争が存在しないということではない。米国はどちらかに肩入れするつもりはなく、日本に何度も自制を求め、靖国神社の参拝を批判し、釣魚島(日本名?尖閣諸島)に係争が存在することを認めるよう促した。米国は中国との積極的な協力を希望している。関係者は一日も早く、情勢を沈静化させるメカニズムを構築するべきだ」と指摘した。

 日本は戦後の国家発展の転換点に位置している。国家発展が重大な選択肢に直面している時に、世界の発展の流れを正確に理解しなければ、自国の位置付けを正確に把握できない。強兵路線を歩み、戦後体制からの脱却を目指す日本は、平和的発展の流れに順応し、自国の位置付けを正確に把握し、歴史を勇敢に正視することができれば、かつて侵略を受けた東アジア諸国から不安全な要素と見なされなくなるだろう。

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