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日本経済界訪中団「向こう側の声に耳を傾けたい」
2013年 11月 19日17:36 / 提供:人民網日本語版

 日本の日中経済協会訪中団が18日から7日間の日程で中国を訪問している。外交部(外務省)の秦剛報道官は18日の定例記者会見で「日本の経済協会訪中団は中国国際貿易促進委員会の招待で訪中する。18日に北京入りし、表敬訪問や視察訪問を行う。われわれはこうした訪問を通じて、日本経済界の中国に対する理解、中日関係に関する中国の立場と主張に対する理解を促したい。われわれは両国各界の友好人士が共に努力して、中日関係の改善と発展に原動力を与えることを希望する」と表明した。環球時報が伝えた。

 島嶼紛争が原因で中日が一触即発の状態にある中、この「安倍政権発足後最大規模の経済界訪中団」はことのほか注目されている。日本にとって中国は重要な貿易パートナーだが、今年上半期に両国間の貿易額は減少の一途にあるため、今回の訪問は自ずと両国の経済関係を修復する旅と解釈されている。中共第18期三中全会が閉幕したばかりであり、日本経済界は中国の新たな全面的改革にいかに相乗りするか思案しており、まさに良い時期を選んだと称賛する声もある。だが日本政府の関心は訪問のもたらす「突破口」により向けられているようだ。最終的に中国のどのレベルの指導者が日本代表団に接見するかに注目し、これを両国首脳会談の実現の可能性を判断する風向計としているのだ。今回の非政府間の働きかけ合いは、「政冷経冷」関係を立て直すきっかけとなるのだろうか?中国の日本研究者、劉江永氏は「中日関係はまだ底打ちしていない。安倍氏は年内に防衛計画の大綱を打ち出し、集団的自衛権の保有を図る計画であるほか、将来的には憲法改正も望んでいる。中日関係にはまだ少なからぬ危険や困難が予想される」と指摘した。

■「向こう側の声に耳を傾けるつもりだ」

 張富士夫会長(トヨタ自動車名誉会長)、米倉弘昌日本経団連会長以下180人近くの日中経済協会訪中団は18日から訪中を開始。産経新聞の18日付記事によると、中国商務部(商務省)、工業・情報化部(工業・情報化省)など政府機関の上層部と会談するほか、企業や都市を視察し、24日に帰国する。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「『最もベテランで影響力ある日本企業のリーダーたち』は中国高官と会見し、島嶼争いの影響を受けた2国間経済・貿易関係を立て直す」と報じた。張氏は18日の出発前に「両国政府間には争いがあるが、様々な分野の長期的協力を維持することは極めて重要だ」として、今回の訪問によって両国間に「少しもぐらつかない関係」を築きたい考えを表明した。張氏は以前日本メディアの取材に、中日両国経済の相互依存、相互補完関係を拡大する方法について「向こう側の声に耳を傾け、意見交換するつもりだ」と表明した。毎日新聞によると、訪中団の目標は中国政府と中国企業上層部を説得して両国関係を修復することだ。中国政府の構造改革措置への支持も表明するという。フジテレビは、訪中団は日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の加速や大気汚染対策で協力を呼びかけると報じた。

  中日はすでに「政冷経冷」の状態に陥っている。日本メディアによると、今年1-10月に中国の対EU、米国、ASEAN貿易はいずれも増加したが、対日貿易のみが7%減少した。今回日中経済協会の訪中が実現したのは、9月末の中国企業トップ訪日団への答礼訪問であると同時に、日本経済界、企業界が釣魚島問題で悪化した政治関係を避けて、民間外交を通じて両国の経済関係を強化することを望んでいるためとも解釈されている。

 シンガポール紙・聯合早報は「安倍政権発足後、最大規模の日本経済界訪中団だ」と報じた。ウォール・ストリート・ジャーナルは「日中経済協会は1975年以来、毎年訪中団を派遣してきたが、昨年は日本政府の釣魚島(日本名・尖閣諸島)『国有化』が原因で初めて取り消された」と報じた。清華大学現代国際関係研究院の劉江永副院長は18日、環球時報の取材に「日中経済協会は日中友好団体の1つだ。日本経済界の各大企業が中国との経済・貿易関係の発展を推進するための重要なパワーとして、中国の35年間の改革開放で重要な役割を発揮してきた。今回の訪問は中日関係に対する日本経済界の焦慮を反映している。彼らは企業発展の『中国チャンス』をみすみす失いたくはないのだ。また、中国新指導部との直接の接触も希望している。とりわけ中共第18期三中全会後は、中国の今後の開放方針をしっかりと把握することを望み、その流れに乗れるかどうかを気にかけている」と指摘した。

 元野村證券シニア・フェローの佐々木芳邦氏は、今回の訪中について「正しい時機を選んだ」と指摘。環球時報の取材に「中共第18期三中全会は、中国は隣国との関係をうまくしたいというメッセージを発した。日本経済界が最も望まないのは日中関係が両国間の貿易に影響を与えることだ。これは彼らが日中関係の改善を積極的に促していることの基礎でもある」と述べた。NHKは「日本政府は訪中団との会談に中国側からどのレベルの高官が出席するかを見守っており、それを基に首脳会談の可能性を探ろうとしている」と報じた。ドイチェ・ヴェレは「訪中団は習近平国家主席、李克強総理との会談を図る」とした。東京の外交筋は「訪中団が習主席や李総理の接見を受けられれば、中国上層部が日本との対話を望んでいることを意味する」と語った。だが共同通信は18日、消息筋の話として日中経済協会訪中団の期待はふいになるだろうと報じた。共同通信は、訪中団は元々19日に中国首脳との会談を計画していたが、会談に出席するのは商務担当の汪洋副総理になると報じた。劉氏は「具体的に誰が接見するかはまだ知る由もない。同協会の大規模訪中団は通常、総理の接見を受けてきたが、国家主席との会見という慣例はない」と指摘した。

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