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米国とロシアはスノーデン氏で敵対する可能性は低い、幾分かの余地を残している
2013年 8月 6日9:29 / 提供:新華網日本語

  メディアの報道によると、アメリカ国家安全保障局(NSA)の元職員エドワード・スノーデン氏はこのほど、ロシア移民局が提供する一時亡命の許可証を得て、少なくともロシア国内に1年間滞在可能になった。

  現在、空港を出たスノーデン氏には次の2つの懸念がある。最終的にどこへ行くのか。ロシアと米国の関係は、一体どうなるのか。米国はロシアに対し「深く失望」と表明し、9月に予定されていた米国とロシアの首脳会談を開催する合理性の見直しを行っていることを明らかにした。だが、世論は米国とロシアの両国関係が時折、危機に直面することを日常的なものと捉え、両国がスノーデン氏1人のために徹底的に敵対する可能性は低いと見ている。

 スノーデン氏が空港を離れたことは、ロシアと米国の両国が公開、又は水面下で力比べをした結果と言える。ロシアにとって、この決定は決して軽率な行動ではない。人道的に見ると、ロシア大統領府(クレムリン宮)は、国際世論の重圧と国内の民意の勢いを考慮することなく、「人権擁護者」を米国に引き渡すことはできない。法的に見ると、ロシアと米国は一貫して引渡し条約を締結していない。

 国家の面子を見ると、米国はロシアの決定に対し泰然としていられない。世論は、ソチ冬季五輪のボイコット、ロシアへの経済制裁なども考えられるが、従来より米国とロシアの関係改善の「再開」に尽力してきた米国のオバマ大統領にとって、最も現実的な「対策」は、近く開催予定の米国とロシアの外相・国防相会談及びオバマ大統領とプーチン大統領の会談をもって難題を吹っかけることだと見ている。

 話しを戻すと、ロシアと米国はいずれも事件への対応に幾分かの余地を残している。ロシアは、スノーデン氏に1年間の一時亡命を提供したただけで、政治亡命ではない。ロシア政治研究センターの専門家、Олег・Любезнов氏は、米国が「過剰に反応した」措置を講じるならば、ロシアの首脳は依然として、「一定の行動スペース」があるとの見方を示した。米国議会のハフ報道官の態度にも凄まじい勢いはなく、ロシア側の措置によって、両国のボストン爆発事故以降の積極的な協力関係が損なわれたことを指摘しただけで、この一件によって、米国とロシアの全体的な関係に影響が及ばないことを希望すると表明した。

 大局を見ると、スノーデン氏の事件は目下、ロシアと米国関係における最大の関心事だが、両国の関係悪化の発端にはなり得ず、さらには、ロシアと米国の脆弱な関係の「最後の1本の稲」を押しつぶすことはないと考えられる。ロシアのウシャコフ大統領補佐官は、スノーデン氏の事件は重要ではなく、両国の政治関係に影響するまでにはならない、と表明した。

 外交方面の関係者の多くは、ロシアと米国関係はもう十分めちゃくちゃであるため、たとえ悪化しても、ものすごく悪くはならないという見方を示している。両国は弾道ミサイル防衛システム及び核軍縮方面で意見が分かれることが多く、且つ現状を見ると、いかなることでも協調し合うことがない。両国は一部の国際紛争及びテロリズム対策への協力に対しても摩擦が拡大しつつあり、両国関係の維持にとって極めて重要な経済協力についても二の足を踏んでいる。

簡単に説明すると、スノーデン氏の事件によって、米国とロシアの関係は緊張するが、両国がこの一件が原因で激しく敵対するとは考え難い。利害が深く絡み合うグローバル化したこの世界で、米国とロシアはその行動が注目される2つの大国であり、現実の政治的利害を最優先するならば、誰しも「冷戦」という旧路線に戻る選択はしないだろう。