武器輸出のような敏感な問題において、自国の利益のみを考えてはならない。米国の実際のやり方は地域の軍拡競争がエスカレートする可能性を生じさせている。
米議会の最新報告によると米国の武器輸出は2011年に3倍に増加。過去最高の総額663億ドルに達し、世界の78%を占めた。第2位のロシアの武器輸出額はわずか48億ドルで、世界最大の武器輸出国としての米国の地位は確たるものだ。過去1年間世界経済は難航したが、その反対に米国の武器貿易は増加しており、その背後の原因について考えさせられる。
2011年の米国の最大の武器輸出先はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーンといった湾岸諸国だった。アナリストは湾岸諸国の武器購入熱について、イラン核問題のエスカレートによって中東に米国製武器への固定需要が生じたことを原因に挙げる。
湾岸諸国が米国製武器の主要輸出先になったのは決して昨年からではない。だが過去1年余りの間に湾岸諸国の武器輸入は爆発的に増加しており、制裁をエスカレートさせ、武力行使の声を強め、続けざまに武器を配備するという、イランをねらった米国の一連の措置との関わりは否定できない。米国の頻繁な行動が域内諸国に戦争を連想させないわけがなく、不必要な安全保障上の需要をかき立てた。これによって米国製の戦闘機やミサイルがよく売れたのも自然な流れだ。
米国は「大中東計画」を定めており、中東で「行動」を止めることは困難だ。「行動」の過程では自国の進んだ軍需産業グループのために大規模な市場を切り開くことを忘れないし、国内の低迷する雇用を刺激することもできる。一挙多得と言えよう。
米国の中東での経営は見事で、戦略上の利益と経済上の利益の双方を手に入れているように見える。だが虫のいい計算をし過ぎたようで、問題を見る目が容易に偏り、事態の推移について誤った判断をすることすらある。米国のプラグマティズムはこの地域の安全保障構造が「囚人のジレンマ」に陥る可能性を大幅に増加させる。第1に、イラン核問題を大げさに宣伝することで、湾岸諸国は「イランの野心」への懸念を募らせ、先進戦闘機や複雑なミサイル防衛システムを大量に購入する。第2に、外部の国による封じ込めと抑え込みによって、イランはますます不安を募らせ、軍事力の強化を図る。中東情勢が混迷を続ける中、米国の大規模な武器輸出が地域の平和の実現に無益なばかりか、反対に火に油を注ぎ、域内諸国間の軍拡競争をエスカレートさせ、相互信頼を失わせ、亀裂を広げ、対立を激化させることは想像に難くない。
これは決して中東だけの話ではない。米国は他の敏感な地域にも武器を投げ売りし、地域の緊張を激化させている。ニューヨークに本部を置く世界政策研究所が以前発表した報告は「メキシコ、コロンビア、バルカン、スリランカ、インドネシア、フィリピン、スーダン、アフリカのグレート・レイク地域で起きた衝突では、米国製武器が支配的役割を果たしている」と指摘している。
武器売却のような敏感な問題において、自国の利益のみを考えてはならない。この道理は米国も分かっていないわけはなかろう。さもなくば米政府高官が平和維持を名目に、他の国による武器輸出への説教に熱を上げることもないはずだ。武器輸出問題において「例外主義」の幻想に固執することは、自らの巨額の利益を除き、道義上の説得力を持ち得ないし、世界の平和と安定にも現実的な面倒をもたらすのである。
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