上海万博開幕100日前に当たって、上海万博日本館が20日午前、上海万博局で記者会見を開催した。席上、日本の鳩山由紀夫首相の挨拶と日本館の魅力を紹介するビデオが発表された。日本の経済産業省大臣官房審議官・日本館総指揮の片瀬裕文氏が、日本館の展示概要を発表し、上海万博に向けて開発した40項目以上の最新技術を紹介した。そのうち、技術のほとんどは世界で初めて発表するものだ。
「心の和・技の和」をテーマにする日本館は万博会場のAゾーンにあり、敷地面積が6000平方メートルで、日本の伝統的特徴と現代風を備え、日本の海外出展史上最大規模のパビリオンだ。同館の外部は薄い紫で、太陽エネルギー発電装置を採用した超軽膜構造で囲まれ、巨大な蚕のようだ。
日本館は過去、現在、未来の三つのゾーンからなる。
過去:遣唐使時代を中心に、日本の文化が中国からの文化を採り入れつつ発展してきた姿を表現
ゾーン1は、遣唐使の時代を中心に、日本の文化が中国からの文化を採り入れつつ発展してきた姿を、グラフィックに映像を重ねて表現し、来場者に動く絵巻のような空間を歩いているように感じてもらう。
満開の桜の下の日本の伝統的な茶室の風景
日本の四季の移り変わり
「文化財精密複製」で、日本文化遺産をオリジナルの色を再現
現在:汚水浄化技術、「ゼロエミッションタウン」、藤前干潟の物語で人類が直面する課題に対応
ゾーン2に入ると、自然・四季を慈しむ日本人の暮らしを展示する。最先端の技術や装置の実物の展示し、体験型展示、映像や造形を組み合わせた空間演出で展開し、来場者に日本を原寸大で感じてもらう。
エスカレーターを上ると、日本における春の象徴である桜が満開となり、桜の下で日本の伝統的な茶室の風景が展開される。自然や四季を慈しむ日本人の暮らしを現し、日本人の美に対する意識を感じさせる。巨大な展望空間から、日本の四季の風景を楽しんでもらった後、引き続き夏・秋・冬の日本の様子が見える。それぞれの場面では、四季の移り変わりの様子と、四季を慈しみ自然と共生している日本人の暮らしを感じさせる。「文化財精密複製」では、風神雷神図(俵屋宗達作)、四季花鳥図(狩野元信作)、老梅図(狩野山雪作)をオリジナルの色に忠実に表現する。
最新の環境技術によって、水資源の課題を克服
「ゼロエミッションタウン」
エコカー
また、人類が克服すべき地球規模の問題の一つである水資源問題と地球温暖化問題を克服するための日本の環境技術と取り組みに焦点を当てている。水資源問題は、下水を浄化して飲料水にするバイオNキューブやメンブレンバイオリアクター(MBR)、海水を淡水にする逆浸透膜など、日本の誇るべき最先端技術を実物の技術機器と映像により展示する。地球温暖化問題に対し、都市レベルで二酸化炭素の排出がゼロになる「ゼロエミッションタウン」を、フォトジオラマと実物展示、映像装置により2020年の未来都市として登場させる。同「ゼロエミッションタウン」を実現させるために、エコカー、発電床、家庭用燃料電池ユニット、発電窓、有機EL照明、水素による製鉄プロセス革新、CO2分離回収貯蔵技術など20程度の環境技術が必要だ。
人と人のつながりで、「鳥たちが憩う藤前干潟を守る」
映像が3列、さらにその後ろに200インチスクリーンがあり、背面と前面の映像のミックスやモニター上を、映像が縦に流れるなどダイナミックな展開
地球環境問題の克服のためには、技術だけでは不十分であり、人と人とが協力することが必要だ。ここで、映像が3列、さらにその後ろに200インチスクリーンがあり、背面と前面の映像のミックスやモニター上を映像が縦に流れるなどダイナミックな展開で、鳥たちが憩う藤前干潟を守るという物語を述べる。
未来:ワンダーカメラ、ロボット、ライフウオール、i-REALなど未来技術で、未来の美しい生活を
プレショー
ワンダーカメラ
超臨場感フォト
バイオリンを弾くロボット
ライフウォール
日本と中国が協力して保護活動を行っているトキをモチーフとし、里山を舞台としたプレショーと、日本の伝統的な木造の演劇空間によるメーンショーの二つのショーがある。ショーでは、昆劇と日本の伝統芸能である能のコラボレーションや、ロボットや映像などの分野の世界初、世界最大級となる様々な未来技術などを体感させる。
プレショーでは、30年近く日本と中国が協力してトキを保護している取り組みを紹介した上で、人々の活動や心をつなぐことに役立つ未来技術を体感させる。たとえば、超高精細・超望遠機能および動画を撮影しながら笑顔を認識すると自動的に抽出できる機能を実現する未来のコンセプトモデルを、「ワンダーカメラ」が世界初公開する。「超臨場感フォト」は、日本の様々な里山風景を撮影し、会場内の壁の一部として構成したもので、高さ6m、幅27mの巨大写真は、390枚に分割撮影し、画像処理後、印刷されている。最新技術により、あらゆる部分で遠景・近景の双方でピントの合ったこの写真は、3D技術を使わずに立体感のある空間を再現する。高齢化社会のニーズを満たすための「介護・医療支援」「家事支援」など、人の活動をサポートできるパートナーロボットや弦を器用に押さえ、弓を弾き見事なバイオリン演奏が出来るロボットもある。また、「ライフウォール」は、未来のリビングの壁がテレビと一体化し、ジェスチャーだけの直感操作で、様々なコンテンツを自由に楽しむことができる。好きな場所にテレビを表示したり、 人の位置に合わせて情報が移動するなど、かしこい先進技術が組み込まれている。世界最大152インチのプラズマディスプレーを3面組み合わせた映像壁面は、横幅10メートルに及び、まるで実物の世界がそこに広がるような臨場感をもたらす。現場のスタッフの操作によって展示する。これらの技術によって、一人ひとりの小さな取り組みが、未来を開くことを予感させるショーを上演する。
メーンショー
i-REAL
プレショーに続いて上演されるメーンショーでは、日本と中国が協力して保護活動を行っているトキをモチーフとして、日中を代表する演出家である佐藤信氏とダニー・ユン氏の共同演出により、日本と中国の伝統的演劇である能と昆劇を融合させる。映像とライブショーによる複合的な演出を加えて、未来の地球を思う心のつながりの大切さを感じさせ、ミュージカルショーを上演する。同劇は、3月から本格的に稽古する。ショーでは、i-REALが登場する。それは、人間の自由に移動したいという願いを最少のエネルギーで実現する一人乗りのパーソナルモビリティだ。自然な操作で、軽やかに、しなやかに、人の手足のように自在に動き、街の中に溶け込むことができて、リアルな出会いを加速して周囲との「つながり」を実感できる。移動をより豊かで楽しいものにしてくれる新しいコンセプトの乗り物だ。
関係者によると、日本館は1日当たり1.7万人の来館者があり、すべての万博会期中、300万人以上の来館者があると見込まれている。
日本館の記者会見会場
日本館空間構造図(1階)
日本館空間構造図(2、3階)
(曹 俊)