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パリ ―アートを楽しんだ旅―
2014年 9月 22日15:37 / 提供:

夜のシャンゼリゼ大通り

  「枯葉」と言えば、シャンソンの代表的なナンバー。秋雨がシトシトと降る夜に熱いコーヒーを啜り、あのピアフの哀調を聴きながら、旅情に浸ったパリの幾日か、それはロマンチックで、忘れられないひと秋の想い出――

  昨年の枯葉の季節、夫の個展を手伝う傍ら、しばらくパリに滞在した。

  冬のヨーロッパは日が短く、このごろこの街の日の出は午前8時。天気も曇りが多かったが、それなりに黄葉のパリを楽しんだ。

(一)

凱旋門からの眺め

  私たちのホテルはあのシャンゼリゼの裏通りにあった。界隈にはたくさんのカフェがあり、従って、同じホテルでいつもの朝食を摂るよりも、毎朝散歩がてら、その都度違うカフェで朝食を楽しむことにした。

凱旋門の天井

  パリのカフェは、早朝から夜遅くまで営業していて、朝はクロワッサンとコーヒーが定番、これが夜には気軽にワインを味わえる場所に変わる。また、この街のカフェで「コーヒー!」と注文すれば、断らない限りエスプレッソーが出てくる。お店の内装はレッドを上手に使い、鏡を飾ったりして、照明が柔らかいエレガントな雰囲気だ。コーヒーは、カウンターで立ち飲みすれば幾らか安いので、出勤前に気軽に一杯という常連が多いらしい。私たちには、朝のカフェ巡りも観光のうちなので、窓際の席に坐り、香ばしいコーヒーとクロワッサンを味わいながら、街の風景や人を眺めるのが楽しみだった。本場もののクロワッサンはやはり違う。東京や上海のそれと比べて、よりしっとりした味わいがあった。

パリのカフェ

  パリのカフェには300年以上の歴史がある。1671年に東西貿易の盛んだった南仏マルセイユでフランス初のカフェがオープンしたという。早くもその翌年からはパリの貴族の間でコーヒーを嗜むのが流行となり、徐々に庶民の間にも広まったと言われている。いまや、カフェはすっかりフランス人の生活に根付いており、気分転換や社交の場にもなっているようだ。

朝のアレクサンドル三世橋

  朝食が済むとセーヌ川を渡り、中国文化センター内の夫の個展会場に向かう。

「愛の錠」が詰まったボンデザール(写真撮影:陸燕萌)   

  市内を蛇行するこの川には多数の橋が架けられていて、それぞれの橋を彩る 彫刻やデザインは、どれも違いはあるが、みんな素敵だ。時間のある時には、わざわざ遠回りして違う橋を渡ってみたりした。歌や映画に出てくる有名な橋もあれば、「愛の錠」がぎっしりと詰まった「ボンデザール」という変わった橋もあった。恋人同士が永遠の愛を誓い、その証として橋に南京錠をかけるのだ。ロマンチックな習慣だが、長年掛け重ねた錠のせいで、今年の6月に橋のバランスが崩れて、ついに壊れてしまったことを後で知って驚いた。

(文:陸燕萌  写真:馮学敏)

 

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