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安倍氏の靖国参拝、日本のイメージ低下に
2014年 1月 11日9:57 / 提供:チャイナネット

早稲田大学大学院に通う娘が、私によくこんなことを質問する。ふだん交流する日本人の多くは友好的で、安倍首相も日本で歓迎されているが、なぜ中国は日本が右傾化しているとばかり言うのだろうか?元防衛相の石破茂幹事長は、中日のシンクタンクのフォーラムで、筆者にこう聞いたことがある。日本は戦後数十年間に渡り平和の道を歩んできたが、なぜ中国はいつも日本が軍国主義を復活させようとしていると言うのか?日本のテレビ番組の司会者である田原総一朗氏も、筆者にこう聞いたことがある。中日関係は荒波を経てようやく好転し始めたのに、なぜ今になりまた嵐が吹き荒れているのか?

日本の右傾化問題については、中国が口にしたことではなく、自身の行為によって示されたものだ。25年前、筆者が初めて大阪で勤務していたとき、日本の右翼分子が中国駐大阪総領事館の前でもめごとを起こしていた。事務所主任であった筆者は当時、現地政府や警察側と頻繁に話し合い、時には右翼のリーダーと「対話」したこともある。しかし当時の彼らは規則正しく、日本人に変人扱いされて孤立していた。

しかし今日の右翼の活動はまさにのさばり放題であり、当初は大声で叫んでいたのが、大使館のドアを破り火炎瓶を投げるまでに至った。問題は右翼団体による最近のデモ活動に、多くの一般人が参加していることだ。日本の右翼の主張がより多くの同情・支持を得たのだろうか、それとも日本経済の長期的な低迷により日本国民がストレス発散の機会を欲したのだろうか?

次は日本メディアを見ていこう。仕事の関係で、筆者は日本メディアと十年以上付き合ってきた。一貫して右寄りの産経新聞はともかく、長期的に中立・公正を標榜してきた読売新聞やNHKに至るまで、過激な言論を頻繁に発表するようになった。もしくは一部の極右的な観点を持つ政治家や専門家をそそのかし、放任し、公共のメディアを私物化させ、暴言を吐かせている。筆者が右寄りだと思っていたある日本人記者が最近、筆者に次の衝撃的な発言をしたのも無理はない。彼は今日本で、時代の流れについていけない少数の親中派だと、同僚から批判されたというのだ。

さらに日本の政治家の、問題発言と問題参拝について見ていこう。かつて言行に問題があるとされていた指導者は、外交問題により引責辞任を余儀なくされていたが、今や支持率アップのチャンスになっているのだ。他にも教科書問題があるが、世界で批判の声が年々増加しているにも関わらず、戦争を美化した教科書の採用率が年々上昇しているのだ。一国で右翼団体と右翼首相、右翼メディアと右翼教材が歓迎されるならば、この国が右傾化していないと言えるだろうか?

日本が軍国主義を回復させるかという問題について、日本の最近の高圧的な軍事・安全攻勢については触れず、筆者がテレビの討論で挙げた例を繰り返そう。

筆者は日本在住の若い中国人映画監督を強く支援したことがある。彼は10年間をかけドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』を撮影した。筆者はその後、彼が中国で出版した同名の書籍に序言を書いた。本書は中国でベストセラーになり、映画は日本で抗議を受けたが、世界の映画祭でドキュメンタリー大賞を受賞した。この映画が成功したのは、ショッキングな暴露や批判があったからではなく、10年間に渡る靖国神社の関連資料そのものが深い内省を強いるものだからだ。

ある日本の青年は鑑賞後、「靖国神社に行ったことがなく、なぜ中韓が同問題にこだわるのかよく分からなかった。しかし映画を見てから、特に石原慎太郎氏のヒステリックな茶番を、靖国神社の門前に勲章付の軍服を着た元軍人が大声で戦争を喧伝するのを、遊就館の解説文が是非を混同しているのを見てからは、深く恥じ入り戦争の影を恐ろしく感じるようになった。外国人の友人が私たちを理解できないのも無理はない、私自身も受け入れがたいからだ。参拝を希望する日本の政治家も、この作品をよく見ておくべきだ」と語った。

筆者が中国駐日本国大使館で報道官を務めた5年間は、小泉純一郎氏が靖国神社を6回参拝した5年間でもある。筆者は1978年に14人のA級戦犯が密かに合祀された日より、この人と悪霊が乱れ、神と悪霊がひっくり返された靖国神社を政治家が参拝すべきではなく、特に日本の首相が行くべきではない間違った場だと知っていた。筆者の知る限りでは、一部の戦犯の家族も政治家が自らの利益のために頻繁に参拝し、死者の眠りを脅かすことを願っていない。

中国には、「一度ヘビに噛まれると、十年経っても井戸の縄が怖い」ということわざがある。日本の侵略の歴史を連想し、日本の指導者の現在の行為を見れば、間違った歴史観を持つ右翼の首相が、A級戦犯の祀られている神社を参拝するのが、平和のために祈りを捧げるためだとは誰が信じられるだろうか。さらに日本の現政権の改憲の動き、特に特定秘密保護法案の強行採決を連想すると、被害国が日本の軍国主義復活を懸念するのも仕方ないことだ。

さらに田原総一朗氏の質問に答えよう。中日関係は政治的基盤、感情的つながり、共通の利益を結びつけることで発展できる。しかし政治的基盤は日本の一部の人間、特に首相が中心となり破壊している。感情的つながりは意図的に損ねられ、さらには人為的に引き裂かれている。これでは共通の利益を守れるだろうか?中日の間に小さな揉め事が起きることは恐れないが、人為的に混乱を引き起こされることは望まない(特に中国側の核心的な利益および中日関係の政治的基盤などに関する問題で)。

安倍首相が2012年12月26日に就任すると、筆者は日本語月刊誌『人民中国』と中国紙『環球時報』に記事を掲載し、安倍首相の就任はパンドラの箱が開かれることを意味するかもしれないと指摘した。1年後の12月26日の安倍首相の行為は、人々の懸念がその通りであったことを証明した。筆者は当時、安倍首相に対して3つの忠告をした。まず領土問題で危険を冒さないこと、次に参拝問題で大博打をやらないこと、それから「唯米独尊」(米日関係だけを重視する)により隣国を敵対視しないことだ。安倍首相は筆者の記事を読んだと伝えてきたが、筆者の意見を聞くはずがないことはわかっていた。しかし少なくとも、日本国内と国際社会の声に耳を傾け、また日本国民の未来を考えるべきで、やけっぱちになるべきではない。

筆者にも安倍首相に質問したいことがある。首相による靖国参拝は国内の政教分離の原則に違反しており、国際法にも違反している。日本のイメージは中韓、さらには米国でさらに低下している。自分が気持ちよければ、何も考える必要がないと考えているのだろうか?このような極右的な観点を持ち、自分の思うがままに行動する首相が率いる日本が、国際舞台でさらに大きな役割を果たそうとするならば、国際社会が安心できるだろうか?