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トヨタの人事異動 中国に影響が波及
2013年 3月 17日16:21 / 提供:人民網日本語版

 トヨタ自動車は3月6日に本社役員の人事異動を行い、3人の副社長と張富士夫会長が退任し、内山田竹志副会長が会長に昇進した。

 トヨタ本社の人事異動の影響は、中国にも波及した。トヨタ中国法人は翌日、4月1日より中国事業の役員の調整を行うとした。大西弘致中国本部長が北田真治氏に代わり、中国総経理に就任する。合弁会社?広汽トヨタの総経理は、小林一弘常務役員が小椋邦彦氏から引き継ぐ。一汽トヨタの柴川早人総経理は、常務役員に昇進する。

 一汽トヨタの総経理が「昇進・増給」となったが、他2名の総経理は退任となった。この人事異動は、何を示すものなのだろうか。豊田章男社長は日本メディアの取材に応じた際に、「過去4年間はさまざまな試練が満ちていた。トヨタは将来に目を向けるべき時が来た」と述べた。

 その「将来」のカギとなるのが、中国市場だ。豊田章男社長は「中国市場が最も重要」と表明し十分な誠意を示したが、現在の状態を見る限り、トヨタの中国市場に対する調整はまだ大きく遅れている。

 業界内では、「日産やその他の日本自動車メーカーの、中国市場における発展を阻むのは、不確定な政治要因でなければ、単純な商品力・販売力でもなく、いまだ表面にとどまっている本土化戦略だ」と指摘する声があがっている。

 ゼネラル・モーターズとフォルクスワーゲンの、中国における「全バリュー?チェーンの本土化」は、すでに成功を収めている。日産と現代・起亜は長年の「慣らし運転」を経て、合弁会社の利益最大化を企業発展の最高基準とし、協力により大きな力を形成し、企業の高度成長を促している。

 そのうち東風日産は、融合度が最も高い合弁自動車メーカーと公認されている。同社が定めた「基本法」は最大の開放度を実現し、尽きることのない活力を外に示し、社員一人ひとりの潜在力を十分に引き出した。トヨタも中国で研究開発センターの設立を開始しており、中国事業の役員に中国人を迎えているが、合弁会社の経営に関しては閉鎖的・保守的だ。

 広汽トヨタも一汽トヨタも、重要なポストに中国人?外国人の二重管理制度を敷いている。中国側が得意とする人材の使用、ルート拡大、マーケティングのすべてが、日本側の管理者の同意がなければ実行に移せないのだ。近年の中国事業の不調を受け、日本側の管理者は権力の取り戻しを急いだ。双方の不信任感が悪化し始め、一触即発の状態にあるという噂が業界内で伝わったほどだ。これにより企業の深刻な資源浪費が生じ、戦略の決定力と執行力が大きく損なわれた。

 いわゆる本土化とは、商品デザインで中国人消費者の好みに合わせるだけではなく、また中国市場の資源供給を強化するだけでもない。それよりも重要なのは、管理者の現地化を実現し、開放・融合の中で権限の適切な配置を身につけ、中国側の提携先の意向を最大限に尊重し、合弁企業の利益最大化を実現することだ。そうすることにより、トヨタは中国市場で本来の実力を発揮できるようになる。

 かつてフォルクスワーゲンがまだ優位を占めておらず、トヨタ車の供給が需要に追いつかなかった時代、トヨタ中国法人のある役員は食事中に、「定年退職後に、トヨタはいかにして倒産したかという本の執筆を検討している」と冗談を言い、「トヨタの大企業病はすでに深刻で、重病になっている」と語った。トヨタの頻繁な人事異動の背後にあるものが、人材の活用であるのか、それとも新たな勢力闘争であるのかは定かでない。筆者の知る所によると、トヨタ合弁会社内部の日本人管理者の間では、誰がどの勢力に属するかは公然たる秘密になっている。日本人管理者は団結力を発揮しておらず、企業の戦略決定力に大きな疑問符が打たれている。

 トヨタは今回の人事異動により、ゼネラル・モーターズグループ元副社長のマーク?ホーガン氏ら3人を、社外取締役に任命した。トヨタは76年の歴史で、初めて社外取締役のポストを設置した。豊田章男社長は、「外の世界からより多くの意見を汲み取ることは、非情に重要だと信じている」と語った。

 豊田章男社長は中国市場で、本土化戦略を表面的に留めるのではなく、深く掘り下げる必要がある。

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