ようこそ、中国上海!
中国国際輸入博覧会

Home >> 新着 >> 中日

清華大学でサロン開催「芸術から地域再生を」

2019年 5月 16日16:43 提供:中国国際放送局

清華大学芸術博物館で12日、「再生:芸術による地方復興の推進」と題するサロンが開かれました。今回のイベントは博物館奇妙物(清華大学芸術博物館ギャラリー販売スペース)、REBIRTH、北京当代芸術基金会の共同開催によるものです。

清華大学芸術博物館

芸術を通して地域再生の活動の取り組みを行なうアーティストの沓名美和さん、北京当代芸術基金会秘書長の胡斐さん、日本大使館経済部一等書記官の光岡伸洋さんの3人が自身の携わるプロジェクトについて紹介しました。

開会にあたり、会場である清華大学芸術博物館館長の杜鵬飛さんが挨拶しました。杜さんは「科学技術の発展、経済の向上と生産の飛躍に伴って関わりを作りながら同時に発展していく時代となっている。民族を超えて人間と自然が共生共存することが必要になってきた。今回の講演会を通じて、どのような姿勢、構想で異なる国の地域間協力を考えるかを見ることで、私たちはこれからどう世界と繋がっていけばいいか、何ができるかということを考えることができると思う」と話しました。

杜鵬飛さん

最初に沓名さんがカンボジアの薬莢をアートを通して再生する「REBIRTH」の活動を紹介しました。負の遺産を自分たちの世代で美しく変えて、次の世代に伝えていきたいとの考えから現地のカンボジア人と協力してアートやジュエリーの制作を行っています。自身の取り組みについて沓名さんは「4つの再生」を挙げました。薬莢をアクセサリーに変える「負の遺産の再生」、カンボジアにおける仕事の選択肢を広げる「働き方の再生」、戦争という歴史を平和な未来の形に変えていく「負の歴史の再生」、カンボジアの子供たちへ仕事に夢を持って生きていけるような「夢の再生」から地域の再生を話しました。

そして、今後の活動として、「日本の伝統工芸士をカンボジアに呼びたい。お神輿の飾り金具の職人が使う真鍮は工房のジュエリーと似たようなものを使っており工具も似ているので、後継者不足の問題からもこの仕事をカンボジアでできるように技術を残していきたい」と目標を語りました。

沓名美和さん

REBIRTHの作品

続いて、雲南省の少数民族・トーロン族の伝統文化、工芸品の再生プロジェクトを手がける胡さんは「女性の地位、世帯収入の向上、独立した思考、管理能力の育成、民族文化への誇りの確立をテーマにプロジェクトが始まった。工芸品の開発、日常的にインテリアとして使えるものを作りたいと考えている。私たちのプロジェクトは商品品質に優れ、関わる人の熱意が高く、中国の中でも新しい概念のものだ」と説明しました。また、「自分たちが離れてもトーロン族の女性たちが主体的に生産、販売に取り組んでいけるようにどれだけ時間をかけても努めていきたい」とこれからの展望について話しました。

胡斐さん

トーロン族の伝統工芸品

日本大使館の光岡さんは雲南省の麻栗坡・金平県における貧困脱却・環境保全事業に取り組んでいます。中国政府、民間企業と共同で農業、IoT、エネルギーの事業モデルから地域復興を行なっています。現地で生産されているバナナとコーヒーを例に挙げ、「バナナは30万人が暮らす場所で18億本のバナナが作られている。ほとんどの人がバナナ産業に関わっているため、価格が下がれば貧困が生まれてしまう。少しでも上がれば生活は豊かになる。バナナ加工でお菓子を作っているが、バナナの皮を用いて電力を産み出し生産している。また、オーガニックのコーヒーは中国に来る日本人のおみやげとして注目されるようになった」と現在の取り組みを紹介しました。

光岡伸洋さん

最後に三人によるディスカッションが行われました。現在の取り組みから見える「経済的にプロジェクトを安定させながら地域再生を継続していくにはどうしたらいいのか」という今後の課題について意見を交わし、これからの活動への指針を語りました。

3人によるディスカッション

(文責・写真星和明)