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日本の演出家鈴木忠志氏 「中国には演劇の未来がある」

2018年 4月 19日9:40 提供:新華網日本語

「中国には演劇の未来がある。中国にはその条件が備わっている」。今年79歳を迎える日本の演出家、鈴木忠志氏はこのほど、新華社の取材に答えた。

鈴木氏は第二次世界大戦後の日本で起こった「小劇場運動」第一世代の演出家で、長年の実践で生まれた独自の俳優訓練法「スズキ・トレーニング・メソッド」は、ロシアやアメリカなど多くの著名芸術学校や劇場で広く採用されている。

鈴木氏は2015年、中国側の招きで司馬台長城の麓にある野外劇場を初めて訪れた。壮麗な万里の長城を背景に山に囲まれひっそりとたたずむ様子を「歳をとってから目にした、最も創作意欲を掻き立てられる劇場」だと語った。

鈴木氏は同年10月、代表作「酒神 ディオニュソス」を野外劇場で上演し、中国の演劇ファンから高評価を得た。鈴木氏はその後「スズキ・トレーニング・メソッド」を中国に持ち込み、毎年、自ら教鞭を執っている。

鈴木氏は「中国でしか教鞭を執らないのは、中国が好きだから」と語る。鈴木氏が中国の若者に伝えるのは、演劇の身体表現だけでなく、文化輸出に対する姿勢だという。鈴木氏は、中国の伝統の中には非常に優れたものがあると述べ、中国は必ずしも西洋に学ぶ必要はない、なぜ西洋のものがこれほど多くの人々に受け入れられたのかを理解し、中国の伝統をいかに伝えるかを考えるべきだとの見方を示した。

鈴木氏の演劇に対する模索の中で最も興味深いのは、多くの文化的要素が重なり合い混在しながら、同時に日本文化の核を残している点である。鈴木氏の作品は古代ギリシア演劇やシェイクスピア作品など西洋の古典を下敷きにしたものが多いが、上演形式は日本の能や歌舞伎の真髄を融合している。

鈴木氏は「日本の能や歌舞伎の舞台で、イタリアのベルディの音楽を使用したフランスの物語は、恐らく想像できないだろう。しかし、これこそが世界に通用する能や歌舞伎の芸術ではないだろうか」と語る。鈴木氏の芸術に対する考え方は、中国で演劇の革新を志す多くの若者に影響を与えている。

中国で「スズキ・トレーニング・メソッド」を受講した学生はすでに71名に上る。鈴木氏は「これまで数多くの国で演劇指導を行ってきたが、演劇の革新において中国の可能性は非常に大きいと認識している。中国にはその条件が備わっている」と述べた。鈴木氏は来年、各国の弟子たちとともに、北京の国家大劇院で「リア王」を上演するという。その弟子の中には、ますます多くの中国の演劇関係者の姿を目にするかもしれない。

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