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中日

大歌舞伎北京公演の幕上がる 客席から屋号の掛け声も

2017年3月19日 17:07
 提供:中国国際放送局

中日国交正常化45周年記念「松竹大歌舞伎北京公演」が、18日午後から北京天橋芸術センターの劇場で始まりました。初日は午後と夜に2回公演があり、いずれも満席でした。中村鴈治郎さん、中村芝翫さん、片岡孝太郎さん、市川門之助さんらの熱演に観客たちは熱い拍手を送り、時には笑い声も沸き起こりました。

初演後に取材に応える中村鴈治郎さん会場には今回のために花道が設置された

会場の北京天橋芸術センターは、2015年に落成したばかりの施設です。今回使用されている900人収容の中ホールには、歌舞伎公演用に特別に花道も作られました。主演の一人、中村鴈治郎さんは公演に先立つ記者会見で、「大変良い施設で、日本と変わらない状態で公演できる」と満足げな表情を見せていました。演目は「義経千本桜」、「恋飛脚大和往来封印切」、「藤娘」の3本構成で、それぞれ歌舞伎の様式美、ドラマ性、女形の舞踊を伝えることに趣旨を置くという主催側の工夫が凝らされています。会場では、中国語音声ガイドの受信機が配布され、字幕が無い代わりに中国語解説を聞きながら観劇することができます。

初演終了後、中村鴈治郎さんはCRIの取材に対し、「国内公演に比べ、多少、拍手の上がるところが違うと感じたが、会場から『成駒家』の掛け声も聞こえ、とても嬉しかった。屋号の掛け声も歌舞伎の一部なので、それも含めて中国の皆さんに味わっていただけた公演になったと思う」と微笑んでいました。

初演には、一時帰国中の程永華駐日大使夫妻、中国外務省の孔鉉佑次官補、中国人民対外友好協会の戸思社副会長、日本の萩生田光一官房副長官、中曽根弘文自民党歌舞伎振興議員連盟会長らを始め、両国の政界、文化界の関係者も数多く訪れました。

歌舞伎鑑賞が初めてだという京劇役者の陳張霞さんは、「幕が上がるとともに、舞台の華やかさに圧倒された。セット、道具から役者の演技まで、すべての部分を洗練さが貫いていた。3つの演目はそれぞれ趣が異なり、飽きさせずに堪能させてもらった。中でも、『封印切』の細やかな心理描写が大変見ごたえがあり、色々勉強になった」と感想を述べました。

中国では数少ない女形で、坂東玉三郎と昆曲「牡丹亭」で共演したことがある董飛さんは「片岡孝太郎さんのしぐさや踊りの美しさに目を奪われた。また、中国で言う『90後』(1990年代生まれ)世代の中村壱太郎さんは『封印切』では、父親の鴈治郎さんと恋人役で出演。心の激動を表現する難役だったが、ベテランに劣らない演技に拍手喝采を送りたい」と話しました。また、歌舞伎をよく知る中国人として「女形の衣装や独特な声の出し方を観客が受け入れるかどうか、少し心配だった。しかし、その心配は無用だったと分かり、とても嬉しかった」と、喜びに目を光らせていました。

松竹大歌舞伎は中日国交正常化前の1955年に初めての訪中公演をして以来、これまでに1979年、2004年、2007年にも中国公演を行ってきました。10年ぶりとなる今回は、松竹株式会社の大谷信義会長が自ら約100人の公演団を率いて訪問しています。18日から20日までの3日間で計5回の公演ですが、ソーシャルメディアでの宣伝効果もあり、チケットは発売開始からわずか4日ほどで完売したということです。(取材:王小燕)