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中国が第2の故郷 遺体を中国に捧げた日本人

2017年3月10日 15:41
 提供:新華網日本語

江蘇省の蘇州大学医学部で8日、北川光男さん(享年87歳)の告別式がしめやかに営まれた。北川さんの親族や友人、蘇州赤十字会など各界の人々が集まり、涙を見せながら、北川さんに最期の別れを告げた。北川さんは蘇州市呉江区盛澤鎮で10年ほど暮らし、盛澤鎮の自宅で4日夜に亡くなった。北川さんの遺言により、北川さんの子どもたちは北川さんの遺体を蘇州大学医学部に献体した。これは、江蘇省において、外国人が献体を行った最初の例となった。揚子晩報が伝えた。

2003年に古希を迎えた北川光男さんと十寸子夫妻は大阪から蘇州市呉江区盛澤鎮に移り、主に特殊な刺繍技術を扱うアパレル企業を設立した。北川夫妻の日本人の友人が同地でアパレル工場を開業した当初、中国ではこのような特殊な刺繡技術が少ないことを知り、北川さんは思い切って日本の会社から250台もの輸入機械を同地に取り寄せ、北川さんの企業は同地で大成功を収めた。

北川さん夫妻は同地での生活を次第に好むようになっていき、中国に対する愛着が湧き、同地に長期滞在して、のんびりと余生を過ごすことにしたという。妻の北川十寸子さんは、「人が死んだ後に遺体が火葬または土葬されるというのは全く意味のないことで、病院に献体すれば少しは人の役に立つことができる。私たちの両親は自分自身の遺体を大阪の病院に献体し、臨床医学の教育研究や科学研究に役立ててもらった。呉江区盛澤鎮に来て13年になるが、ここは私たちの故郷の奈良にとてもよく似ており、早くからここを第2の故郷にしようと思った。この地で遺体を献体するのは、私たち一家がこの都市のためにできる恩返しであり、もう一つは医学の科学研究に少しでも貢献したいから」とその思いを語った。

北川さん夫妻は2009年に、遺体献体の登録手続きを行った。北川十寸子さんは、「今私が特に注意していることは、交通事故や突発的な事故に遭わないようにすること。できる限り自分の体を守って、亡くなった後に献体できるようにしたい」と語った。

呉江区赤十字会の常務副会長の沈小紅氏は、「北川光男さんは亡くなるにあたり、国境を越えて自身の遺体を中国の医療教育事業のために献体し、医療の架け橋となった。北川さんは多くの人から尊敬される形で、自身の人生に幕を下ろし、社会や人類のためにこの上ないほどの最後の貢献を行った。生前は善行を、その死後にも愛情を捧げてくれた。北川さんは人道、博愛、貢献の精神によって命の力強さ、国境を越えた愛情に満ちた思いを伝えた。私たち全ての中国人はこのことを胸に刻み、語り継いでいくべき」と語った。

(人民網日本語版)