ようこそ、中国上海!
エコで未来を共有

Home >> 新着 >> 中日

『当代外国文学紀事(1980-2000)』、世界文学を国・地域別で紹介

2017年 1月 9日17:10 提供:中国国際放送局

国・地域別、年代順で外国文学を紹介する叢書『当代外国文学紀事(1980-2000)』の出版発表会および学術セミナーが5日、北京外国語大学で行われました。

国・地域別で外国文学を百科事典の形で紹介するのは、中国では初の試みだということです。全10巻構成で、総字数は1000万字。20世紀最後の20年を取り上げ、米、英、仏、露、西、日本およびドイツ語圏、ラテンアメリカなど10の国と地域の文学発展の歩みを整理し、多様な視点からそのトレンドと基本状況を紹介しています。北京外国語大学をはじめとする中国の主要外国語大学の教師と学生100人余りが、10年間かけて完成させたものです。

いずれの巻も本文、総合評価、付録、索引の四部構成で、小説、詩歌、演劇など様々なタイプの作品を解読する内容が収録されています。年表や索引があることで、利用しやすい「手引き書」になっています。

シンポジウムに出席した専門家たちは、この叢書はその構成、編集理念、内容のいずれにおいても創意工夫に富み、中国の外国文学研究における一里塚の意義を持つ書物だとして高く評価しています。

『当代外国文学紀事』シリーズ

北京外国語大学王佐良外国文学高等研究院院長で、『当代外国文学紀事』編集長の金莉教授は席上、「この叢書は、1980年から2000年までの世界の文学の創作と研究に関する基本情報を収録しており、中国の外国文学に関する基礎研究を促す役割が期待される」と話しました。

また、同大学英語学部の張中載教授は「1980年代から、美意識や文化の好みに世界規模で変化が生じている。このプロセスをありのままに記録している」と叢書の特徴を紹介しています。

なお、1月に出版された『日本巻』には、大江健三郎や村上春樹をはじめ、評論家の柄谷行人や、新鋭作家の大岡鈴、小川洋子、目取真俊など、日本人文学者360人の600余りの作品について収録されています。小説・詩・戯曲・評論の4分野を網羅しており、対象期間中の文学史上の出来事や団体、雑誌、文学賞などの情報も整理されています。

『日本巻』の編集代表を務めた北京外国語大学日本語学部の趙暁柏教授は、「日本語学科の教師一同が仕事の合間に時間をやりくりして、執筆や編集に取り組んできた。仕上げるのに10年もの歳月がかかり、苦労もあったが、やり甲斐のある仕事なので、心から誇りに思っている」と喜びの表情を見せました。

会場の様子

また、出版元の商務印書館・于殿利総経理は、叢書の編纂プロセスを「万里の長城を築く」ことに例えて、その意義を高く評価し、執筆者に感謝の意を表しました。その上で、「このシリーズは20世紀後半の20年間だけで終わらせず、これからも続けていく価値がある」と後続の出版計画に期待を寄せました。(取材・写真:王小燕、郭蓓)