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「変廃為宝」

2015年 9月 26日13:45

  中国の都市間の競争は非常に厳しいものだ。この間、港で大爆発事故を起こした天津市は地盤沈下の典型例として知られる。たとえば、改革·開放路線が始まった当初までは、中国の主要都市を紹介するとき、「京津滬」という表現がよく聞かれた。つまり、北京、天津、上海(滬フは、上海の略称)のことを言う。そのいずれも直轄市である。しかし、いまの若者には、この表現は通じない。主要都市のランキングを見ると、いまは「京上広」つまり北京、上海、広州と変わっている。ただの省都である広州は直轄市の天津市にとって変わった。北京と上海の地位は変わっていない。しかし、その上海も安泰とは言えない。

  たとえば、世界的な企業となるような民間企業は上海では見当たらず、国有企業や外資系ばかりである。

  アリババ(杭州)、華為(ファーウェイ、深圳)、小米(シャオミ、北京)といったように、いまや中国を代表する主要企業のいずれも上海に地盤を置いていない。

  もう少し前まで話題になっていた企業もその例外ではない。

  ハイアール(青島)、レノボ(北京)、自動車関連の奇瑞(チェリー、蕪湖)、長城(保定)、吉利(ジーリー、杭州)も、上海系の企業ではない。

  こうした厳しい現状を見て、上海の行方を心配する人間も多い。そこで上海市は5月に、「世界的影響力のある科学技術イノベーションセンターの建設加速に関する意見」を議決し、科学技術イノベーションと起業を活発化させるため、財政、研究機関の管理、人材導入などさまざまな制度を改革しようとする計画をスタートした。

 上海の東方衛星テレビが私のところに取材に来た。その科学技術イノベーションセンターの建設にコメントを求められた。それに対して、私はもちろん、宇宙開発、ロボット、医薬、バイオなど「高大上」(ハイレベル)の技術開発を主要内容として描くイノベーションも必要だが、もう一つ、「接地気」のイノベーション、つまり実際の現場や生活に根を下ろした技術開発も積極的にやるべきだ、と述べた。前者はエリート選手による国際試合だとすれば、後者は間違いなく国民全員参加型の運動会だ。

 そこで具体例として、私が取り上げたのは、青森県や北海道でホタテ貝殻を粉に加工した洗浄剤だ。ごみとして捨てられたホタテ貝殻に洗浄剤という新しい命を吹き付けたこの製品開発は小さなイノベーションと言えよう。まさしく「変廃為宝」そのものだ。廃棄物を日常生活に役立つ宝物の商品に開発したのだ。それぐらいの技術開発なら、ほとんどの中小企業も参加できるし、イノベーションの成功を手にすることが可能だ。

 後ほど、フィードバックされてきた話によれば、私のコメントはかなり評価されたようだ。なんだか、私の「廃話」(無駄話)に近いコメントも変廃為宝になったような心境だ。

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変廃為宝(biàn fèi wéi bǎo)ピエン フェイ ウエイ パオ