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天まであがれ(一)

2016年 9月 9日17:18 編集者:兪静斐

  作者:銭暁波

 7月の末、上海の「ジンマオタワー」(金茂大厦)の88階の展望台に、「雲中漫歩」と称される新しい観光スポットができた。地上から340.6メートルの高さに、全長60メートル、幅1.2メートルの屋外遊歩道がオープンしたのである。

 「空中歩道」と呼ばれるこの遊歩道は、すべてガラスでできているうえ、手すりなど一切取り付けられていない。安全ケーブルを身に付け、展望台から一歩外へ、世界一高いとして記録されているこの屋外遊歩道を自由自在に歩くことができる。

 かつて「東洋一の都市」と呼ばれた上海を育んだ「母なる河」の黄浦江両岸の壮大な景色を遮ることなく思う存分に眺望することができ、そのうえ、スリル満点で最高の開放感を味わえる。「空中歩道」は滬上の人気観光スポットの一つになることが予想される。高いところが大好きな小生はこのニュースを知ったときからうきうきし、いち早くそこへ上って、日頃たまりにたまったストレスを一掃し、思い切って羽を伸ばしたいと思った。

 1999年に工事が無事完工した「ジンマオタワー」が、当時では上海ないし中国においてもっとも高い超高層ビルだったが、この記録は2008年に上海ワールドフィナンシャルセンター(上海環球金融中心)の竣工によって塗り替えられた。しかし、ビルの高さに関する競争は止まるところを知らず、2016年に、螺旋形でユニークな形を有している「上海センター」が竣工し、高さ632メートルで目下、中国の超高層ビルランキングの一位を獲得している。

 これまでほぼ八年に一度更新されている上海のビルの高さは、経済力の急成長を如実に物語っている。一方、上海の国際金融センター化の計画が着実に進められていることをも示している。建築や設計などの技術力の競争がより一層激しくなり、新たな技術の開発など技術力の向上にもつながっている。

 上海は「東洋一の都市」と呼ばれ続けてきたのにはそれなりの理由があった。

 昔の上海の中心地であった22階建ての摩天楼、「国際飯店」の高さは84メートルで、なんと1952年まではアジア地域においてもっとも高いビルであった。しかし、それからの上海のビル建設は停滞がつづき、なんと1983年まで「国際飯店」より高いビルが建てられていなかった。

 ざっと計算すると、「上海センター」の高さは「国際飯店」の約7.5倍になる。この倍数はほぼ23年の間にできたものだと考えると、ビルの建設にともない、新技術の開発や、国際企業の移入と再編、国際金融センターの構築など、上海の再生は「超特急」そのものである。

 中国のみならず、21世紀に入ると、世界各国で超高層ビルの建設ラッシュがはじまった。とりわけアジア地域の経済の発展にともない、アジアがアメリカのかわりに超高層ビルの建設をリードするようになり、その数は中東と中国に集中しているようである。

 どんどん更新されていく摩天楼の高さと同じように、展望台の高さもそれによって高くなっていく一方である。

 超高層ビルの展望台へのぼるのに、もちろんエレベーターは欠かせない。それも普通のエレベーターではなく、超高速エレベーターの技術が応用され、速度に関する技術の競争もそこで繰り広げられている。

 さて、エレベーターの技術はどこまで発展していけるか。次回は目からウロコが落ちるような話を取り上げていきたい。