ようこそ、中国上海!
エコで未来を共有

Home >> 新着 >> 専門家 >> 銭暁波

世情人情純情商店街(一)

2016年 6月 2日13:08 編集者:兪静斐

 ニュースで東京の商店街ランキングが発表されているのを見て、急に語りたくなった。

 東京の商店街、ああ~懐かしい!

 ランキング入りした商店街の名をみると、どこも思い出深く、青春の影が滲んでいるところばっかりである。では、遥か二十数年前に記憶に埋め込んだタイムカプセルを掘り出し、みなさんと一緒に開けてみよう。

 10位入賞は「秋葉原電気街」。もちろん今も観光客いっぱいで賑わっているが、ここは八十、九十年代の留学生にとってはまさしく電化製品のメッカといっても過言ではない場所である。当初はメイド喫茶なんてもちろんなかった時代で、いろいろな最先端の家電にだけ目を光らせた。小生は足繁くそこに通い、新型の音響システムに垂涎しながら寒い懐を恨んだのであった。散々悩んだ末、身を切られる思いでアルバイトで貯めたお金をはたいて、当時では最先端のLD付きステレオコンポを購入した。二十数年が経った今も現役である。人生初めての大きな買い物に興奮と心痛を両方味わったが、その記憶は今もまだ鮮明に残っている。いまや電気街というより、アキバは日本のサブカルチャーの聖地ともなっているようで、その世情の移り変わりは、まさに日本ないしアジアや、世界の変転を物語っている。

 「吉祥寺サンロード」は6位入賞。アーケード商店街としてかなり有名である。地元の人はもちろん、遠く地方からの見物客も殺到するほどの人気ぶり。さまざまな由緒のあるお店の中で特に印象深かったのは、松阪牛の挽肉を使って作られたメンチカツを売っている肉屋であった。名物メンチカツを一口食べようとお店の前ではお客さんが常に行列を作って並んでいた。小生もかつてミーハーだったもので、吉祥寺に行くたびにその「長蛇の列」に加わり、揚げたてアツアツのメンチカツを手にして頬張った。商店街での食べ歩きの後、井の頭公園で散策しながら、さきほど溜め込んだ脂肪分を燃焼させていき、メタボ対策としてもなかなかいいコースである。ちなみに、「吉祥寺サンロード」は、「近くに住んでみたい商店街」の1位に輝いている。

 トップ3の中、銅メダルをとったのは「戸越銀座商店街」。ここは小生にとって最も思い出深いところである。東京暮らしの最初の二年間はここで辛抱強くつらい日々を送った。二十数年前の当時はまだ今ほど有名ではなく、古いお店が軒並み建ち並び、暖簾越しには下町ならではの昭和の雰囲気が濃かった。当時の留学生が大体経験した「四畳半、トイレ共同、風呂なし」のボロアパートで細々暮らしていたが、週一の頻度で近場の銭湯へ行くのは何よりの楽しみであった。その光景はまさに南こうせつの「神田川」に歌われたものである。

 一昨年、ほぼ二十年ぶりにもう一度「戸越銀座」を訪れた。すでに東京の人気スポットと様変わりした道をそぞろ歩きしながら、過ぎ去りし夢の幻影を探し当てた。ふと当時暮らしてたボロアパートが外壁の色が塗り替えられ、まだ元気にそこに佇んでいるのを見て、当時の喜びや辛さが一気にこみ上げてきて、目を潤ませたのであった。

 さて、商店街ランキングの銀メダルや金メダルをとったのは一体、東京のどこの商店街なのか、その話は次回までとっときましょう。