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コラム思い出話(一)

2016年 4月 6日13:44 提供:東方ネット 編集者:兪静斐

  作者:銭 暁波

 コラムというのは新聞や雑誌に定期的(不定期もあるが)に掲載された評論や随想のことである。短いものが多いので、読みやすいのである。コラムニスト(執筆者)の個人の考えや意見が多く、文章には個性がよく出てくる。かつて東京で生活していたとき読んでいた印象的なコラムについて少々振り返りたい。

 日本語学習者に最もよく知られているコラムはおそらく『朝日新聞』の朝刊に連載されている「天声人語」であろう。なんと1904年1月5日の初掲載から、一世紀以上にわたって長期連載されてきた。コラム長寿番付一番当確の名物コラムである。当世の政治や社会に対し急所を突くような鋭い時評が評判で、ときどき論争の的になり、日本社会にあたえる影響も大きい。コラムのタイトルである「天声人語」の意味は「天に声あり、人をして語らしむ」という中国の古典に由来するものである。言い換えれば「民の声こそ天の声」の意味らしい。コラムの言葉が短く、比較的読みやすいので、日本語学習の教材としてもしばしば使われるため、日本語学習者の間においても知名度が高く、愛読者が多い。小生はかつて『朝日新聞』を定期購読したことがあって、朝刊を開いてまず目が行くのは「天声人語」であった。

 1959年4月創刊の伝統の文芸誌『週刊文春』も小生の愛読誌の一つであった。基本は真面目な雑誌だが、面白く柔らかい記事も結構あるので、気軽に読める。一般の記事以外、個性的なコラムが多く、中でも、辛酸なめ子(池松江美)の「ヨコモレ通信」をいつも楽しく読んでいた。笑いを誘うようなペンネームやコラムのタイトルはふざけているようにみえるが、皮肉たっぷりの毒舌とユーモアなペンタッチで世の中の流行文化をバッサリと切り裁く内容は実に豪快であった。コラムのタイトルがなぜ「ヨコモレ」なのか最初はわからなかったが、読んでいるうちにようやく要領を得た。なるほど、その毒の排出の仕方は尋常ではない。根暗っぽいとも思われるがその毒舌からかなりのエネルギーが感じられるすごい文章力である。いつか自分もこういう文章を書けたらいいなと羨ましく思うが、当分無理である。

 電車や飛行機、観光バスなどの交通機関を利用して長旅するときの時間のつぶし方はいろいろあるが、小生は大体本を読むのである。旅の疲れを解消するためにみなはよく文庫本などを携帯するが(今ではiPadやKindleなどをもっていくだろうが)、怠け者なので重いと思ってあまり本を持たない。むしろ交通機関備え付けの雑誌やパンフレットなどを眺

 めて時間をつぶすのが我流である。

 さて、交通機関にもおもしろい読み物があった。

 その話は、また、次回語っていこう。